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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

最新7月22日付ビルボードジャパンソングスチャートで、”ストリーミングの人気曲は総合チャートでも人気”が証明される

7月8~14日を集計期間とする、7月22日付のビルボードジャパン各チャートが昨日発表され、ソングスチャートはKis-My-Ft2「HANDS UP」が制しました。

また、前週首位を獲得したBTS「Lights」は2位に後退しながらも、高いシングルCDセールス指標も相まってポイントは37087→16454と高い状態が続いています。

 

今回注目するのはソングスチャート3位のOfficial髭男dism「Pretender」。以前から幾度となく注目していたこの曲ですが、遂にストリーミングで史上初となる週間500万回再生を突破しました。

Official髭男dismはストリーミング指標トップ10内に同時に3曲を送り込み(「Pretender」(1位)、「ノーダウト」(5位)、「宿命」(6位))、史上5組目となる記録を達成。またOfficial髭男dismの楽曲は今週総合で7位に初登場を果たした「宿命」を機に、『今週トップ100にチャートインした楽曲は、前週より平均16%増の再生回数を記録』(上記ストリーミングの記事より)。「Pretender」が発表からしばらく経った今になって史上初の500万回再生を突破出来たのは「宿命」の影響と言えますし、新曲の登場によってストリーミングが票割れを起こすわけではないことも証明出来たように思います。

また、「宿命」は先週火曜までに配信が始まったことで高位置に初登場出来たと言っていいでしょう。先週の弊ブログで、ダウンロード解禁日が集計期間の終盤になり勿体無いチャートアクションとなった曲が多いと書きましたが(日本の最新ソングスチャートにおける勿体無い動きから、配信先行ならば月曜解禁を提案する(7月14日付)参照)、Official髭男dismの施策の巧さを倣ってほしいと思います。

ストリーミングの影響により、Official髭男dismは先述した「ノーダウト」(2018)が総合18位、ストリーミング17位の「115万キロのフィルム」(2018)が総合84位に登場。共に最高位を更新したのみならず後者は初の100位以内登場となり、Official髭男dismが大ブレイクを果たす兆候にあることもさることながら、ストリーミングの強さが総合チャートの原動力になっていることが見て取れます。

 

ではストリーミングが強い他の曲はどうでしょうか。最新7月22日付ソングスチャートにおける、総合チャートとチャートを構成する8指標との兼ね合いをみてみます。

上記はチャートを分析する際に非常に使い勝手の高いビルボードジャパン提供のサービス。月額料金300円を支払えば総合および各指標の上位100位までを確認出来ますが、ここでは会員以外でもチェック可能な上位20曲分でチェックしてみます。

ソングスチャート(Hot 100)において表示週を最新7月8~14日に設定し更新後、総合チャート(黒)もしくは各指標をクリック(タップ)すると、総合もしくは各指標での上位20曲が上から順に登場します。その機能を使い、まずは総合チャートの上位20曲に各指標のトップ10がいくつ入っているかをみてみましょう。たとえばシングルCDセールス指標ならば濃い黄色が同指標1位、薄い黄色が同2~10位を指します。

・総合チャート上位20位以内における各指標トップ10の在籍曲数

シングルCDセールス 4曲

ダウンロード 8曲

ストリーミング 10曲

ラジオエアプレイ 3曲

ルックアップ 7曲

Twitter 3曲

動画再生 6曲

カラオケ 5曲

ストリーミングがパーフェクトを達成しています。他方最低を記録したのはラジオとTwitterTwitterはここ最近アイドル等の強さが目立ち(ビルボードジャパンソングスチャート構成指標のひとつ、Twitter指標への見方が変わりつつあります(6月26日付)参照)、ラジオエアプレイは新曲や洋楽多めという傾向があります。

そしてもうひとつ、各指標の上位20曲が、総合チャート100位以内にいくつ入っているかについても探ってみます。

・総合チャート100位以内に対する各指標上位20曲の在籍曲数

シングルCDセールス 16曲

ダウンロード 18曲

ストリーミング 20曲

ラジオエアプレイ 11曲

ルックアップ 17曲

Twitter 12曲

動画再生 17曲

カラオケ 15曲

ここでもストリーミングがパーフェクトを達成しています。ストリーミング同様接触を示す指標であるルックアップ(購入したCDをパソコンに取り込む意味合いも強いですが、CDレンタルで伸びる傾向が強い)や、動画再生も20曲中17曲が100位以内に登場し、所有を示すシングルCDセールスを上回っているのが興味深いところです。

 

 

Official髭男dismの動向、そしてストリーミング上位20曲の総合チャートでの成績の良さを踏まえるに、ストリーミングはやはりチャートにおける大事な要素であることがよく解ります。ストリーミング未解禁のままだったり解禁しても旧譜のみというのは至極勿体無いという、以前から弊ブログで書いてきた主張は間違っていないと言っていいでしょう。