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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャート、アリアナ・グランデがストリーミング女性歌手新記録で首位奪取、そしてあのクリスマスソングが最高位更新

ビルボードチャートを定点観測。

現地時間の12月11日月曜に発表された、12月15日付最新チャート。アリアナ・グランデ「Thank U, Next」が記録的なストリーミングポイントを叩き出し首位に返り咲きました。そしてあのクリスマスソングが再登場且つ最高位更新です。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

 (※米ビルボードのトップ10動画については、アップロードされ次第紹介します。)

1位 (2位) アリアナ・グランデ「Thank U, Next」

2位 (1位) トラヴィス・スコット「Sicko Mode」

3位 (4位) ホールジー「Without Me」

4位 (3位) マシュメロ & バスティル「Happier」

5位 (5位) パニック・アット・ザ・ディスコ「High Hopes」

6位 (初登場) ミーク・ミル feat. ドレイク「Going Bad」

7位 (14位) マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」

8位 (7位) コダック・ブラック feat. トラヴィス・スコット & オフセット「Zeze」

9位 (8位) リル・ベイビー & ガナ「Drip Too Hard」 

10位 (6位) シェック・ウェス「Mo Bamba」

アリアナ・グランデ、ミュージックビデオ効果でストリーミング大記録達成です。

11月30日金曜にミュージックビデオが公開され、アップロード後24時間で新記録を樹立したのは先日お伝えした通りですが。

その後も堅調に推移し、またミュージックビデオ効果で定額制音楽配信サービスでの聴取も増えたこともあってか、ストリーミング(動画再生および定額制音楽配信等)は前週比121%アップの9380万を記録しました。これはドレイク「In My Feelings」(1、2、6位)、「God's Plan」(4位)およびバウアー「Harlem Shake」(3、5位)に次いで、週間ストリーミング数で歴代7位、女性歌手ではテイラー・スウィフト「Look What You Made Me Do」の8450万を抜き歴代最多となりました。

ミュージックビデオ効果は他指標にも波及し、デジタルダウンロードは前週比146%アップの43000、ラジオエアプレイは同44%アップし5700万を獲得。ストリーミング1位、デジタルダウンロード2位、ラジオエアプレイ11位…全指標が大幅にアップ(チャートにおける"グレイテストゲイナー"を獲得)したのはドレイク「In My Feelings」(7月21、28日付)以来となります。

女性歌手で4週目の首位を記録は2016年夏のシーア feat. ショーン・ポール「Cheap Thrills」(4週)以来、また客演なしとなるとアデル「Hello」(2015-2016)の10週以来となります。次週は今回ほどストリーミングは稼げないとしても、現地時間の12月6日木曜に行われた【ビルボード・ウィメン・イン・ミュージック】でウーマン・オブ・ザ・イヤーを受賞、さらに「Thank U, Next」を披露したことで、極度の下降はないものとみられます。

 

さて面白いのは、今週は上位3曲がいずれも全指標を伸ばしているということ。前週初の1位を獲得したトラヴィス・スコット「Sicko Mode」は今週1ランク落としたもののストリーミングが前週比16%アップの4330万(同指標2位)、デジタルダウンロードが同5%アップの25000(同3位)、ラジオエアプレイが同1%アップの6570万(同8位)を記録。ワンランクアップでトップ3入りしたホールジー「Without Me」はストリーミングが前週比29%アップの3270万(同指標4位)、デジタルダウンロードが同75%アップの50000(同1位)、ラジオエアプレイが同10%アップの7170万(同6位)。ホールジーの勢いが物凄く、次週は2位と3位が入れ替わる可能性もあります。

 

今週6位に初登場を果たしたのは、ミーク・ミル feat. ドレイク「Going Bad」。

アルバム『Championships』からのナンバーがストリーミング3600万(同指標3位)、デジタルダウンロード17000(同6位)を叩き出しトップ10入り。ミーク・ミルにとっては100位以内に29曲目となるエントリーで初のトップ10入りを果たしました(これまでの最高位はクリス・ブラウンおよびニッキー・ミナージュをフィーチャーした「All Eyes On You」(2015)の21位)。そして客演参加のドレイクにとってはこれが33曲目のトップ10入りとなり、トップ10入り曲数で歴代2位のビートルズにあと1曲と迫りました。マドンナが38曲で最多記録を保持していますが、ドレイクが破るのは時間の問題でしょう。さらにドレイクは今年これで13曲目のトップ10入りとなり、ビートルズが1964年に記録した11曲の記録を更に引き離しています。ドレイクの場合は客演が4曲あり、ビートルズは全て主演曲という違いはあれど、ドレイクは今年通算29週もの首位を獲得していることもあって、如何に愛されているかが解ります。

 

さあ、クリスマスの時期になりました。

マライア・キャリーによるクリスマスの定番曲、1994年発表の「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」が昨シーズンに次いで再びトップ10入りを果たしました。しかも昨シーズンは最高9位だったため、最高位を更新した形です。前週今シーズン分がスタートしたクリスマスソングチャート(Holiday 100)で首位に立ち、今週もキープしたことで、同チャートが2011年に始まって以来37週のうち32週もの間トップに立っているこの曲は、ストリーミングが前週比29%アップの2850万(同指標8位)、デジタルダウンロードが同28%アップの15000(同9位)、ラジオエアプレイが同11%アップの3040万(同32位)を記録。デジタル、特にストリーミングが総合チャートを牽引しています。子どもたちがこの曲を歌ったときの動画をマライアがアップしたのを紹介した際、『ツイートされたことで、「All I Want For Christmas Is You」がストリーミング中心に伸びるものと思われます』と以前書きましたが(下記にリンク先を貼付)、実際その通りになっています。ストリーミングが時流を反映しやすい(ラジオエアプレイより伸びるまでのスピードが早い)ことが、この曲のアクションから証明されたような気がします。

 

さて次週はアリアナ・グランデが首位を守るのはほぼ間違いないと思われます。ミーク・ミルはヒップホップに多い2週目のジンクス(デジタルが急降下しラジオエアプレイが追いつかない)でランクダウンする可能性が。そして上位5曲が強いと思われ、そこにマライアのクリスマスソングがどこまで食い込めるか…注目しましょう。