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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) 【海外ビルボード】米では「Cruel Summer」が首位に、ジョングクおよびザ・ビートルズがトップ10初登場

(※追記(20時50分):米ビルボードソングチャートにおいて、テイラー・スウィフト「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」の構成指標の記載が不十分だったことから、ストリーミング指標の順位およびダウンロード指標の数値を追記しています。心よりお詫び申し上げます。)

 

 

 

現地時間の11月13日月曜に発表された、最新11月18日付米ビルボードソングチャート(集計期間11月3~9日)。前週初登場で首位を獲得したテイラー・スウィフト「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」は3位に後退し、同じくテイラーによる「Cruel Summer」が前週の6位から首位に返り咲きを果たしています。

テイラー・スウィフト「Cruel Summer」はストリーミングが前週比9%ダウンの1380万(同指標8位)、ダウンロードが同17%アップの4,000(同指標19位)、ラジオが同3%アップの7780万(同指標4週目の首位)を、それぞれ記録しています。

前週はテイラーによる「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」が、収録されたアルバム『1989 (Taylor's Version)』の初登場に伴いソングチャートを同じく初登場で制しました。これにより「Cruel Summer」は2週前に首位に至りながらも前週は6位に後退していた形です。

同じ歌手が別の曲を挟んだ形で首位に返り咲いたのはテイラー・スウィフトが2組目。BTSは2021年7月17日付で「Butter」が7週目の首位を獲得し、翌週には「Permission To Dance」が初登場で首位に。その翌週に「Butter」が返り咲きを果たし、同曲は通算10週首位に至っています。

 

『1989 (Taylor's Version)』は最新のアルバムチャートで2週目の首位を獲得し、収録曲の「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」はソングチャートで3位に。ストリーミングは前週比34%ダウンながら2110万を記録し、同指標2週目の首位を獲得。またダウンロードは同61%ダウンの2,000となっています。一方でラジオは、シングルとしてプロモートされたことに伴い前週の470万から1610万に増加、同指標41位に初登場を果たし(50位以内初エントリー)、トップエアプレイゲイナーを獲得しました。

 

ジョングク「Standing Next To You」が5位に初登場。ストリーミング1060万、ダウンロード99,000(フィジカルセールス含む)およびラジオ40万を記録しています。収録された『Golden』が最新のアルバムチャートで2位に初登場していますが、リード曲となった「Standing Next To You」ではオリジナルバージョンに加えて、集計期間中の11月6日にリミックス等が7種リリースされ(フューチャーファンク、ホリデー、ラテントラップ、PBR&Bおよびスロージャムという5種のリミックスに加えてバンドバージョンおよびインストゥルメンタル)、合算されています。

BTSのメンバーであるジョングクのソロとしてのソングチャートトップ10入りは3曲目に。なおBTSとしては10曲がトップ10入りし、うち6曲で首位を獲得しています。

BTSメンバーソロ活動での米ビルボードソングチャートトップ10ヒット>

・ジョングク feat. ラトー「Seven」(1位 2023年7月29日付 1週)

・JIMIN「Like Crazy」(1位 2023年4月8日付 1週)

・ジョングク「Standing Next To You」(5位 2023年11月18日付)

・ジョングク feat. ジャック・ハーロウ「3D」(5位 2023年10月14日付)

ジョングク「Standing Next To You」はダウンロード指標を制覇(84,000を記録)。同指標の首位獲得はジョングクにとって4曲目となります。

なお米ビルボードでは、BTSのメンバーによるソロ作品の100位以内エントリー一覧が記事化されています。

 

ザ・ビートルズ「Now And Then」が7位に初登場。ストリーミング1100万、ダウンロード73,000(フィジカルセールス含む)およびラジオ210万を記録しています。リリースは11月2日であり、前週は解禁日1日のみながらストリーミング230万、ダウンロード17,000およびラジオ260万を記録し米ビルボードのバブリングアンダーチャート(ソングチャート100位未満を指す)にて5位に初登場していました。解禁日には12分の映像(下記掲載)が、翌日にはミュージックビデオが公開されています。

「Now And Then」はザ・ビートルズ最後の曲と謳われており、オリジナルの音源は1977年、ジョン・レノンがデモとして初録音。当初は1990年代にザ・ビートルズ『Anthology』3部作のために作られる予定だったものがお蔵入りとなっていました。今回、新しい技術を用いてジョン・レノンの声を抽出し、メンバーのポール・マッカートニーおよびリンゴ・スタージョージ・ハリスンのギターパートも加えて完成させています。

ザ・ビートルズ「Now And Then」はデジタルダウンロード、カセットテープおよび6種のレコード(7"および12"の黒色、7"のクリア、青/白のマーブル、ライトブルーおよび小売業者のターゲット限定による12"の赤バージョン)が用意。なおレコードはCDの形でも予約が可能となっていました。

「Now And Then」はザ・ビートルズにとって2番目に初登場のランクが高い曲となりました(最高は「Let It Be」が1970年に記録した6位)。そして今回、様々な記録が誕生しています。

 

「Now And Then」はザ・ビートルズにとって35曲目のトップ10ヒットとなり、グループとしての最多記録を更新しました(ザ・ローリング・ストーンズが23曲、シカゴおよびシュープリームスが20曲で続きます)。

<米ビルボードソングチャート トップ10ヒット曲数>

76曲 ドレイク

49曲 テイラー・スウィフト

38曲 マドンナ

35曲 ザ・ビートルズ

32曲 リアーナ

30曲 マイケル・ジャクソン

29曲 エルトン・ジョン

28曲 マライア・キャリー

28曲 スティーヴィー・ワンダー

27曲 ジャネット・ジャクソン

26曲 ジャスティン・ビーバー

25曲 リル・ウェイン

25曲 エルヴィス・プレスリー

(エルヴィス・プレスリーは1958年8月のチャート開始前よりキャリアがスタート。)

ザ・ビートルズの最初のソングチャートトップ10入りは1964年1月25日付における「I Want To Hold Your Hand」でした(同曲はザ・ビートルズにとって最初の首位獲得作品でもあります)。トップ10内初登場から最新チャートまでの期間は59年9ヶ月と3週になり、クリスマス関連曲を除けばザ・ビートルズが最長となりました。なおこれまではエルトン・ジョンで51年7ヶ月と3週が最高記録を保持していました(1971年1月23日付での「Your Song」~2022年9月10日付でのブリトニー・スピアーズとの「Hold Me Closer」)。

(なおクリスマス関連曲を含めれば、アンディ・ウイリアムスが最初のトップ10ヒット輩出からの最長スパン記録を保有しています。1959年10月の「Lonely Street」から昨年のクリスマスシーズンにおける「It's The Most Wonderful Time Of The Year」まで、63年2ヶ月と3週が最長となっています。)

 

ザ・ビートルズにおける最後のトップ10入りは『Anthology』シリーズに収録された「Free As A Bird」でした(1996年1月6日付にて6位)。今回「Now And Then」がトップ10入りするまで27年10ヶ月と2週の期間があり、共演や客演等がない形でのトップ10再エントリーではクリスマス関連曲を除けば最長記録更新となります。

<米ビルボードソングチャート トップ10返り咲きまでの歴代最長記録 (クリスマス関連曲を除く)>

オジー・オズボーン (30年3ヶ月)

 「Close My Eyes Forever」(with リタ・フォード)(1989) ~ 「Take What You Want」(ポスト・マローン feat. オジー・オズボーン & トラヴィス・スコット)(2019)

・ドビー・グレイ (30年2ヶ月と1週)

 「Drift Away」(1973) ~ 「Drift Away」(アンクル・クラッカー feat. ドビー・グレイ カバーバージョン)(2003)

ポール・マッカートニー (29年と2週)

 「Spies Like Us」(1986) ~ 「FourFiveSeconds」(with リアーナ & カニエ・ウェスト)(2015)

サンタナ (28年7ヶ月と2週)

 「Black Magic Woman」(1971) ~ 「Smooth」(feat. ロブ・トーマス)(1999)

ザ・ビートルズ (27年10ヶ月と2週)

 「Free As A Bird」(1996)~「Now And Then」(2023)

・ビリー・レイ・サイラス (26年8ヶ月)

 「Achy Breaky Heart」(1992) ~ 「Old Town Road」(リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス)(2019)

・アクア (25年9ヶ月と3週)

 「Barbie Girl」(1997) ~ 「Barbie World」(with ニッキー・ミナージュ & アイス・スパイス)(2023)

ザ・ビートルズは4つ以上のディケイドでトップ10入りを果たした13組目の歌手となりました(1960年代、1970年代、1990年代および2020年代)。マイケル・ジャクソンおよびアンディ・ウイリアムスが5つの年代でトップ10入りを果たし、最高記録を保持しています。またグループでの4つ以上のディケイドにおけるトップ10ヒット輩出はエアロスミスに次いでザ・ビートルズが2組目となりました。この13組のリストについては下記リンク先をご参照ください。

「Now And Then」はザ・ビートルズにとって72曲目のソングチャート100位以内エントリーとなり、「Free As A Bird」に次いで最高11位を記録した『Anthology』シリーズ収録の「Real Love」(11位)以来となります。(自身が楽器を演奏する形での)バンドとして、ザ・ビートルズは最多エントリー曲数を更新した形です(なおグループという形ではグリー・キャストの207曲に次ぐ2位に)。バンドにおけるソングチャート100位以内エントリーはザ・ビートルズに続きザ・ローリング・ストーンズ(57曲)、ビーチ・ボーイズ(55曲)、テンプテーションズ(53曲)の順となります。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (6位) テイラー・スウィフト「Cruel Summer」

2位 (4位) ドージャ・キャット「Paint The Town Red」

3位 (1位) テイラー・スウィフト「Is It Over Now? (Taylor's Version)(From The Vault)」

4位 (8位) シザ「Snooze」

5位 (初登場) ジョングク「Standing Next To You」

6位 (11位) ザック・ブライアン feat. ケイシー・マスグレイヴス「I Remember Everything」

7位 (初登場) ザ・ビートルズ「Now And Then」

8位 (13位) ルーク・コムズ「Fast Car」

9位 (17位) モーガン・ウォレン「Thinkin' Bout Me」

10位 (15位) モーガン・ウォレン「Last Night」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。11月18日付ではGlobal 200、およびGlobal 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.の双方で、ジョングク「Standing Next To You」が首位に初登場を果たしています。

ジョングク「Standing Next To You」はGlobal 200においてストリーミング8160万およびダウンロード121,000を、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.ではストリーミング7120万およびダウンロード44,000を、それぞれ記録しています。米ビルボードソングチャート初登場の際にも言及したように、「Standing Next To You」はオリジナルバージョンに加えて、集計期間中の11月6日にリミックス等が7種リリースされ合算されています(フューチャーファンク、ホリデー、ラテントラップ、PBR&Bおよびスロージャムという5種のリミックス、バンドバージョンおよびインストゥルメンタル)。

ジョングクはGlobal 200、Global Excl. U.S.の双方において3曲目の首位を獲得。BTSメンバーのソロ作品において共演や客演を伴わない形での首位獲得は「Standing Next To You」が初となります。なおBTSとしては双方のチャートで11曲のトップ10ヒットを有し、うち7曲が首位を獲得しています。

BTSメンバーのソロ曲 Global 200におけるトップ10ヒット>

・PSY feat. SUGA「That That」(2022年5月 5位)

チャーリー・プース feat. JUNG KOOK「Left And Right」(2022年7月 5位)

・JIN「The Astronaut」(2022年11月 10位)

・ジョングク「Dreamers (Music From The FIFA World Cup Qatar 2022)」(2022年12月 9位)

・JIMIN「Set Me Free Pt.2」(2023年4月 8位)

・JIMIN「Like Crazy」(2023年4月 2位)

・V「Slow Dancing」(2023年9月 4位)

・ジョングク feat. ラトー「Seven」(2023年7月 7週1位)

・ジョングク feat. ジャック・ハーロウ「3D」(2023年10月 1週1位)

・ジョングク「Standing Next To You」(2023年11月 1週1位)

BTSメンバーのソロ曲 Global Excl. U.S.におけるトップ10ヒット>

・ジョングク「Stay Alive」(2022年2月 8位)

・PSY feat. SUGA「That That」(2022年5月 2位)

チャーリー・プース feat. JUNG KOOK「Left And Right」(2022年7月 2位)

・JIN「The Astronaut」(2022年11月 6位)

・ジョングク「Dreamers (Music From The FIFA World Cup Qatar 2022)」(2022年12月 4位)

・TAEYANG feat. JIMIN「Vibe」(2023年1月 9位)

・JIMIN「Set Me Free Pt.2」(2023年4月 5位)

・JIMIN「Like Crazy」(2023年4月 2位)

・ジョングク feat. ラトー「Seven」(2023年7月 9週1位)

・V「Love Me Again」(2023年8月 6位)

・V「Rainy Days」(2023年8月 8位)

・V「Slow Dancing」(2023年9月 4位)

・ジョングク feat. ジャック・ハーロウ「3D」(2023年10月 1週1位)

・ジョングク「Standing Next To You」(2023年11月 1週1位)

 

ザ・ビートルズ「Now And Then」はGlobal 200で152→10位に上昇、Global Excl. U.S.では9位に初登場を果たしています。Global 200ではストリーミング3760万およびダウンロード42,000を、Global Excl. U.S.ではストリーミング2710万およびダウンロード26,000を、それぞれ記録しました。「Now And Then」はザ・ビートルズにとって、双方のチャートにおいて200位以内に初めてエントリーした曲となります。