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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【海外ビルボード】米はカントリーがワンツー達成、グローバルは「Ella Baila Sola」「アイドル」が首位返り咲き

現地時間の6月26日月曜に発表された、最新7月1日付米ビルボードソングチャート(集計期間:6月16~22日)。モーガン・ウォレン「Last Night」が9週連続、通算12週目の首位を獲得しました。

モーガン・ウォレン「Last Night」はストリーミングが前週比1%アップの2980万(同指標14週目の首位)、ダウンロードが同3%ダウンの7,000(同指標2位)、ラジオが同4%アップの7220万(同指標4位)を記録しています。

「Last Night」は総合ソングチャートと計算方法を同一とするホットカントリーソングチャートにて20週目の首位に。モーガン・ウォレンはこのチャートで「Last Night」を含む7曲の首位獲得曲を保有していますが、「Last Night」は「You Proof」(2022年5-12月 19週)の首位獲得週数を上回りました。なおチャートがジャンルを包括的に反映するようになった1958年以降、ホットカントリーソングチャートで20週以上首位を獲得した作品は「Last Night」が7曲目となり、最長首位獲得曲はビービー・レクサ & フロリダ・ジョージア・ライン「Meant To Be」の50週(2017-2018)となります。

「Last Night」はさらに、カントリーエアプレイで8週目の首位を獲得し、このチャートで史上2番目に長い首位獲得曲に。過去最長記録はモーガン自身による「You Proof」(10週)となります。また「Last Night」はポップエアプレイおよびアダルトポップエアプレイの双方で8位に。「Last Night」はモーガンにとってカントリーエアプレイでは9曲目の首位獲得作品、他ふたつのチャートでは初のトップ10入りを果たしています。さらに今年度のソング・オブ・ザ・サマーチャート(Songs Of The Summer)では開始から4週連続で首位に立っています。

 

モーガン・ウォレン「Last Night」を含むアルバム『One Thing At A Time』は最新7月1日付米ビルボードアルバムチャートで通算14週目の首位を獲得し、アルバムチャートとソングチャートの同時制覇は通算10週目。この10週以上の同時制覇は史上4度目、30年ぶりの記録達成となります。

<アルバムチャートおよび(アルバム収録曲による)ソングチャート 同時制覇作品>

13週 サウンドトラック『Saturday Night Fever』およびビー・ジーズ「Stayin' Alive」(4週)、ビー・ジーズ「Night Fever」(8週)、イヴォンヌ・エリマン「If I Can't Have You」(1週) (1978)

12週 ホイットニー・ヒューストン『The Bodyguard』(サウンドトラック)および「I Will Always Love You」 (1992-1993)

10週 モーガン・ウォレン『One Thing At A Time』および「Last Night」 (2023)

10週 マイケル・ジャクソン『Thriller』および「Billie Jean」(7週)、「Beat It」(3週) (1983)

 

ルーク・コムズ「Fast Car」が3→2位へ上昇。2週前にトレイシー・チャップマンによるオリジナル版の最高位(1988年8月 6位)を超えたばかりのこのカバーバージョンは、ストリーミングが前週比4%アップの2120万、ダウンロードが同3%ダウンの10,000、ラジオが同21%アップの5130万を記録。ルークはダウンロード指標を初めて制しています。

モーガン・ウォレン「Last Night」(1位)およびルーク・コムズ「Fast Car」(2位)のように、ふたつのカントリーソング(ホットカントリーソングチャートでも1位および2位にランクイン)が同時に総合ソングチャートにてワンツーフィニッシュを果たしたのは42年以上前、1981年3月7日付にてエディ・ラビット「I Love A Rainy Night」(1位)およびドリー・パートン「9 To 5」(2位)が同時にランクインして以来となります。なお「I Love A Rainy Night」および「9 To 5」は総合ソングチャートにて、1981年2月21日付および28日付でもワンツーフィニッシュを果たしています。

トップ10ヒット曲の構成上の特徴を分析するヒット・ソングス・デコンストラクテッド(Hit Songs Deconstructed)の分析によると、2023年第1四半期に総合ソングチャートのトップ10にランクインした主要ジャンルはカントリーがポップスと並んで最も多く、カントリージャンルはこの10年で最高の成績を収めています。

またストリーミング指標では「Last Night」が首位、「Fast Car」が2位となり、カントリー曲がワンツーフィニッシュを果たした初の週となりました。

 

また「Last Night」と「Fast Car」は、カントリーエアプレイで1位および2位にランクイン。カントリーエアプレイチャートが始まった1990年以降、ソングチャートとカントリーエアプレイの上位2曲が初めて同じ曲で占められたことになります。なお「Fast Car」はアダルトコンテンポラリー、アダルトポップエアプレイおよびポップエアプレイでもトップ25内にランクインしています。

なお、「Fast Car」を単独にてソングライトしたトレイシー・チャップマンは、ソングライターとしてソングチャート最高位を更新。これまでは「Fast Car」同様単独ソングライトを担当し自ら歌唱した「Give Me One Reason」にて、1996年6月に最高3位を記録しています。

 

レマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」が4→3位へ。ラジオは前週比1%アップの8730万を記録し、同指標初制覇を果たしました。これはレマ、セレーナ・ゴメス双方において初となります(レマはラジオ指標初ランクイン、セレーナ・ゴメスは「Calm Down」が9曲目となるトップ10入り)。なお前週まではマイリー・サイラス「Flowers」が18週連続で首位に立っており、1990年に始まったラジオソングチャートにおいてザ・ウィークエンド「Blinding Lights」の26週(2020)に次ぐ歴代2位タイを記録していました(同じく歴代2位はグー・グー・ドールズ「Iris」(1998))。

Calm Down」はレマ単独版として2022年2月、ファーストアルバム『Rave & Roses』からシングルリリース。同年8月にセレーナ・ゴメス参加版のリミックスが登場し、その翌月にはリミックス版のミュージックビデオが公開されています。「Calm Down」は昨年4月に始まったU.S.アフロビートソングチャートで43週目の首位を獲得し、同チャートにおける最長首位獲得記録を更新しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) モーガン・ウォレン「Last Night」

2位 (3位) ルーク・コムズ「Fast Car」

3位 (4位) レマ & セレーナ・ゴメス「Calm Down」

4位 (2位) マイリー・サイラス「Flowers」

5位 (5位) リル・ダーク feat. J.コール「All My Life」

6位 (6位) トゥーシー「Favorite Song」

7位 (9位) テイラー・スウィフト feat. アイス・スパイス「Karma」

8位 (7位) シザ「Kill Bill

9位 (8位) メトロ・ブーミン、ザ・ウィークエンド & 21サヴェージ「Creepin'」

10位 (10位) エスラボン・アーマード & ペソ・プルマ「Ella Baila Sola

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。7月1日付ではGlobal 200においてエスラボン・アーマード & ペソ・プルマ「Ella Baila Sola」が通算6週目の首位、Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.ではYOASOBI「アイドル」が6月10日付以来通算2週目の首位に、それぞれ返り咲きを果たしました。

Global 200ではエスラボン・アーマード & ペソ・プルマ「Ella Baila Sola」が前週の2位から首位返り咲き。メキシコの作品として初めてこのチャートを制した「Ella Baila Sola」は、ストリーミングが前週比10%ダウンの5820万、ダウンロードが同6%ダウンの2,000を、それぞれ獲得しています。

(上記はYOASOBI「アイドル」の英語詞版「Idol」。米ビルボードの記事ではこちらが紹介されています。)

Global 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.ではYOASOBI「アイドル」が3週ぶりに首位返り咲き。ストリーミングは前週比3%ダウンの4010万、ダウンロードは同16%ダウンの18,000を記録しています。3週前は英語詞版「Idol」が初加算されたことも影響し同チャートを初めて制していました。また「アイドル」はGlobal 200にて8→7位となり、最高位を更新しています。記事にはありませんが、補足資料としてJ-POPのグローバルチャートランクイン状況を以下に掲載します。

 

なおGlobal 200、Global Excl. U.S.共に前者初登場で制したBTS「Take Two」については、前者が27位、後者が15位に後退しています。