イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

オリコンがランキングを用いたプロモーションをTwitterで実施していることについて、違和感を記す

昨日はBMSGから新たに登場した男性ダンスボーカルグループ、MAZZELのファーストフィジカルシングル「Vivid」について取り上げました。

複合指標から成る音楽チャートでは次回公開分にて「Vivid」のフィジカルセールスが初加算されます。同曲についてはビルボードジャパン、そしてオリコンでもフィジカルセールスを制する可能性が高いと思われます。

 

さて今回は、オリコンに対し新たに生まれた違和感を記載します。それは、上記ツイートが"プロモーション"として設定されているというものです。企業ゆえプロモーション自体は自然かもしれませんが、客観性を求められるチャート管理者として考えた場合にランキングを用いたプロモーションが果たして公正中立と言えるのかという疑問を抱いています。

※上記画像のキャプチャは5月20日土曜14時42分に実施。タイムライン内に流れてきたことでプロモーションツイートであることを確認しました。またブログ執筆日の5月22日早朝においてもこのツイートがプロモーションとして流れてきたことを確認しています。

 

MAZZEL「Vivid」は所属レコード会社からもプロモーションツイートが発信されています。こちらも上記画像と同じ日にキャプチャしています。

※ 現在元のツイートは削除されている模様です。元となるツイートは5月17日17時23分に発信されています。また"プロモーション"と記載されている部分が見切れていることをご容赦ください。

歌手側からのプロモーション発信は自然と考えますが、オリコンとレコード会社のプロモーションツイートが偶然かもしれませんが間をおかずに流れてきたことで、チャート管理者としてのオリコンの発信はどうなのかと考えるに至っています。

 

いや、ビルボードジャパンも先ヨミと題した速報を発信し、またオリコン共々歌手側の最新動向をニュースとして発信しています。それを経て所有や接触した結果チャートに反映されることはゼロではないため、極端な話をすればチャート管理者がニュースを発信することはそもそもNGだとも感じてはいます。それでも、チャート成績にオリコンへのアクセス等増加につなげる施策を絡めるのはどうかというのが厳しくも私見です。

(なお、オリコンによるこちらのツイートが自分のタイムラインにプロモーションとして登場してきたことを記しておきます。スクリーンショットを撮ることができずその証明ができないのは残念ですが、一部歌手を優遇すると捉えられかねない措置を講じたこと、そしてリリースアナウンスを発売が判明した段階ではなく発売週に行うことについて、オリコンのチャート管理者としての資質に対し疑問を抱かざるを得ません。)

ビルボードジャパンの5月10日公開分と集計期間を同一とするオリコン週間シングルランキングを制したSexy Zone「Cream」でも似たプロモーションを展開しており、上記エントリーにて違和感を記しています。そして今回の内容からは、デイリー首位になればキャンペーンを組めるとオリコンが歌手側に打診しているのではと感じています。動画バナーの用意は歌手側の協力があってこそ可能だと考えるためです。

 

オリコンTwitterにおけるプロモーションがいつから始まったかは分かりかねますが、今回のようなランキングを利用したプロモーションは歓迎できません。客観性の担保が必要なチャートを利用し、偏りを生ませるということになりかねないと感じています。加えて、同社や音楽業界が"数を積む"という論理から脱却できないのではとも危惧しています。"数を積む"については上記エントリーをご参照ください。

(たとえばビルボードジャパンにおいてはデータを用いて他社と組んだマーケティング等が実施されていますが、中長期のデータを用いるため週間チャートに影響することは小さいと考えます。一方でオリコンの場合は週間ランキングの集計期間中にプロモーションを実施していることから、その週間ランキングにも影響を及ぼしかねないという意味で危惧を表明しています。)

 

 

ちなみに、オリコンによる合算シングルランキングではYOASOBI「アイドル」が現在まで5週続けて首位に立てていません。しかし「アイドル」はオリコンによるストリーミング再生回数で史上最短となる5週目での1億回再生を記録しており、オリコン側はYOASOBIに事前インタビューを実施したのみならず動画も撮影する等、「アイドル」の勢いの大きさを訴求しています。

YOASOBI「アイドル」はオリコン合算シングルランキングで2週前に次ぐ高ポイントを獲得していますが、10万ポイントには届いていません。フィジカルセールスの係数処理を行わないこのランキングでは週間フィジカルセールスが10万枚を突破すれば「アイドル」に勝てる状況が続いており、仮に「アイドル」が年間ランキングで上位に進出しても週間単位では首位を逃すという状況が続くのです。

ビルボードジャパンにおける5月24日公開分と集計期間を同一とする次回のオリコン合算シングルランキングにおいて、MAZZEL「Vivid」の速報値を踏まえればYOASOBI「アイドル」が初めて首位を獲得する可能性が高いと考えますが、果たしてチャートポリシー(集計方法)はこれでいいのでしょうか。

 

オリコン合算シングルランキングへの違和感の表明に対し、様々なランキングがあって然るべきとの意見もいただいています。であるならば、チャートポリシー(集計方法)の設計や見直しのスタンス、過去回のポイント開示、そもそもこのランキングを用意した理由等を(今一度)きちんと示すことが必要というのが私見です。そしてTwitter上のプロモーションは、オリコンにおける新たな違和感に成り得るものと考えます。