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【海外ビルボード】テイラー・スウィフト「Anti-Hero」米3週目の首位獲得、ドレイク & 21サヴェージ が大量エントリー

(※追記(7時25分):ブログエントリーのタイトルを”【海外ビルボードテイラー・スウィフトAnti-Hero」米3週目の首位獲得、大きく伸ばした指標の背景”から”【海外ビルボードテイラー・スウィフトAnti-Hero」米3週目の首位獲得、ドレイク & 21サヴェージ が大量エントリー”へ訂正しました。)

 

 

 

現地時間の11月14日月曜に発表された最新11月19日付米ビルボードソングスチャート(Hot 100)は、テイラー・スウィフトAnti-Hero」が初登場から3週連続で首位をキープ。またドレイク & 21サヴェージ(一部メディアではトゥエニーワン・サヴェジとも表記)のアルバム『Her Loss』から8曲がトップ10内に初登場を果たしています。

テイラー・スウィフトAnti-Hero」はストリーミングが前週比13%ダウンの3110万(同指標9位)、ダウンロードが同1,793%アップの327,000(同指標1位)、ラジオが同37%アップの5130万(同指標9位)を記録しています。

ダウンロードにおいて、テイラー・スウィフトは自身の持つ最多首位獲得記録を25曲に伸ばしました。トップセールスゲイナーを獲得した同曲の急伸の理由は、集計期間(11月4~10日)において7種のリミックスを用意したため。これまでのオリジナルバージョンおよびインストゥルメンタル版に加えて、ブリーチャーズ参加版(エクスプリシットバージョンおよびクリーンバージョン)をテイラーのホームページ先行で7日にリリース(翌日デジタルプラットフォームに登場)、ルーズベルトによるリミックスをテイラーのホームページ先行で9日リリース(翌日デジタルプラットフォームに登場)、そしてジェイダ・Gによるリミックスおよびクングスによるリミックス(後者のリミックスのエクステンデッドバージョンを含む)、さらにアコースティックバージョンを10日に、それぞれリリースしています。全てのバージョンは10日の東部標準時で14時半から深夜までテイラーのホームページで、デジタルプラットフォームでは同日16時から深夜にかけて69セント(0.69ドル)で安価販売。なおクングスによるリミックスのエクステンデッドバージョンおよびアコースティックバージョンは10日の東部標準時で22時から深夜にかけてのみ、一般のデジタルプラットフォームで販売されています。

 

テイラー・スウィフトAnti-Hero」が今回ダウンロード指標で記録した327,000という数値は、テイラー自身による「Look What You Made Me Do」が2017年9月16日付で記録した353,000以来の高水準となります。「Anti-Hero」は2週前の初登場時に13,000、翌週は17,000と推移しており、3週目の売上としてはアデル「Hello」以来のハイレベルとなりました(2015年11月14日付で110万を記録した後、635,000→480,000と推移)。

またテイラー・スウィフトAnti-Hero」はラジオ指標で自身16曲目となるトップ10入り。パニック!アット・ザ・ディスコのブレンドン・ユーリーをフィーチャーした「Me!」の7位(2019年5~6月)以来となります。

 

ドレイク & 21サヴェージ『Her Loss』が最新米ビルボードアルバムチャートにおいて初登場で首位を獲得したことに伴い、収録曲が大挙エントリー。2位に「Rich Flex」、3位に「Major Distribution」、4位に「On BS」、5位に「Spin Bout U」、6位にトラヴィス・スコットをフィーチャーした「Pussy & Millions」、7位に「Privileged Rappers」、8位に「Circo Loco」、9位にドレイク単独名義の「BackOutsideBoyz」が初登場し、『Her Loss』から8曲がトップ10入を果たしました。

この8曲はこの並びでストリーミング指標8位までを占拠。「Rich Flex」は5890万を記録し、2022年においてはテイラー・スウィフトAnti-Hero」が11月5日付で初登場した際に記録した5970万に次ぐ高水準に。「Rich Flex」によりドレイクは15曲目、21サヴェージにとっては3曲目のストリーミング指標制覇となりました。

「Rich Flex」は『Her Loss』の中でダウンロード指標最大(2,600を記録)。またラジオ指標では収録曲で2位となる310万を記録しています。なお『Rich Flex』収録曲で最もラジオ指標を獲得したのは「Circo Loco」の500万となります。

今回のチャートにより、ドレイクはトップ10入りが59→67曲となり最多記録を更新。また67曲のうち49曲が主演曲でのエントリーとなります。なおテイラー・スウィフトはトップ10入りした40曲すべてが主演曲、マドンナは38曲中37曲が主演曲でのトップ10入りとなります。

<ソングスチャート最多トップ10輩出歌手>

・67曲 ドレイク

・40曲 テイラー・スウィフト

・38曲 マドンナ

・34曲 ザ・ビートルズ

・32曲 リアーナ

・30曲 マイケル・ジャクソン

・29曲 エルトン・ジョン

・28曲 マライア・キャリースティーヴィー・ワンダー

・27曲 ジャネット・ジャクソン

・26曲 ジャスティン・ビーバー

・25曲 リル・ウェインエルヴィス・プレスリー

(※エルヴィス・プレスリーは米ビルボードソングスチャート開始前にキャリアを開始。)

ドレイクはトップ10内8曲以上エントリーを複数回達成した初の歌手となり、7曲以上においては3回目に。また21サヴェージはトップ10同時エントリー曲記録において史上4位タイに登場しました。

<トップ10同時エントリー記録>

・10曲 テイラー・スウィフト (2022年11月5日付)

・9曲 ドレイク (2021年9月18日付)

・8曲 ドレイク (2022年11月19日付)

・7曲 21サヴェージ (2022年11月19日付)

・7曲 ドレイク (2018年7月14日付)

・5曲 ジュース・ワールド (2020年7月25日付)

・5曲 ザ・ビートルズ (1964年4月11日付)

・5曲 ザ・ビートルズ (1964年4月4日付)

このトップ10同時エントリー記録においてはザ・ビートルズの5曲占拠以降、2018年まで記録が登場しませんでした。この理由について、米ビルボードは記事にてこのように説明しています。

As streaming has ascended in prominence in recent years, the select acts above have run up such lofty totals in weeks that high-profile albums of theirs have arrived. The model contrasts with prior decades, when acts generally promoted one single at a time in the physical-only marketplace and on radio. That shift in consumption also helps explain certain acts having swelled their career top 10 totals to historic highs over relatively short spans in recent years.

(近年、ストリーミングが隆盛を極める中、上記の厳選されたアクトは、彼らの注目のアルバムが到着した週に、このような高額の合計を記録しています。このモデルは、一般的にアーティストがフィジカルオンリーの市場やラジオで一度に1枚のシングルを宣伝していた、過去数十年とは対照的です。このような消費の変化は、近年、あるアーティストが比較的短期間にキャリアトップ10入りを果たし、歴史的な高水準に達したことの説明にもなっています。)

・冒頭の米ビルボードの記事より(翻訳はDeepLを使用しています)。

21サヴェージはトップ10ヒットが6→13曲に。直近のトップ10入りはドレイクに客演参加した「Jimmy Cooks」で、同曲は今年7月に首位に初登場し21サヴェージにとって2曲目、ドレイクは11曲目となる首位獲得曲となりました。また「Pussy & Millions」に参加したトラヴィス・スコットは11曲目となるトップ10入りを記録しています。

 

10位にはサム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」が、前週の3位から後退。ラジオは前週比39%アップとなる5670万を記録し、トップエアプレイゲイナーを獲得(同指標12→5位)。ラジオ指標ではサムにとってノーマニとの「Dancing With A Stranger」が2019年に首位を獲得して以来6曲目のトップ10入りとなり、キムにとっては初となります。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) テイラー・スウィフトAnti-Hero

2位 (初登場) ドレイク & 21サヴェージ「Rich Flex

3位 (初登場) ドレイク & 21サヴェージ「Major Distribution」

4位 (初登場) ドレイク & 21サヴェージ「On BS」

5位 (初登場) ドレイク & 21サヴェージ「Spin Bout U」

6位 (初登場) ドレイク & 21サヴェージ feat. トラヴィス・スコット「Pussy & Millions」

7位 (初登場) ドレイク & 21サヴェージ「Privileged Rappers」

8位 (初登場) ドレイク & 21サヴェージ「Circo Loco」

9位 (初登場) ドレイク「BackOutsideBoyz」

10位 (3位) サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」

なお、『Her Loss』収録の16曲はすべてソングスチャート27位までにエントリーを果たしています。

今回の大量エントリーに伴い、ドレイクはトップ5ヒットが34曲、トップ10ヒットが67曲、トップ20ヒットが115曲、トップ40ヒットが173曲、100位以内エントリーが293曲となり、すべてにおいて最多を記録しています。また21サヴェージにおいてはトップ5ヒットが8曲、トップ10ヒットが13曲、トップ20ヒットが23曲、トップ40ヒットが35曲、100位以内エントリーが75曲となりました。

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。11月19日付では2週連続で首位を獲得していたテイラー・スウィフトAnti-Hero」がGlobal 200、Global Excl. U.S.の双方で2位に後退。Global 200ではドレイク & 21サヴェージ「Rich Flex」が初登場で首位に立ち、Global Excl. U.S.ではサム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」が返り咲きで首位の座に就きました。

Global 200ではドレイク & 21サヴェージ『Her Loss』収録曲のうち「Rich Flex」が首位に立ったほか、「Major Distribution」が3位、「On BS」が5位、トラヴィス・スコットをフィーチャーした「Pussy & Millions」が6位、「Spin Bout U」が7位、「Circo Loco」が8位、「Privileged Rappers」が9位、ドレイク単独となる「BackOutsideBoyz」が10位に初登場。「Rich Flex」はストリーミング9390万、ダウンロード3,000を記録しています。

2020年秋にグローバルチャートが新設されて以降、Global 200においてドレイクは2021年3月20日付で「What's Next」が初登場で首位に立って以来となる2曲目の頂点に。21サヴェージにとっては初となります。またドレイクはGlobal 200においてトップ10エントリーが27曲となり、全歌手における最高記録を達成。21サヴェージのトップ10エントリーは12曲、また客演参加したトラヴィス・スコットは4曲に達しています。

Global 200においてトップ10内8曲以上占拠を複数回達成したのはドレイクが初。『Certified Lover Boy』の米ビルボードアルバムチャート初登場時となる2021年9月18日付において、収録曲のうち8曲がGlobal 200でトップ10入りを果たして以来となります。なお最多同時トップ10入りはテイラー・スウィフトで、11月5日付で『Midnights』から9曲を送り込んでいます。

そのテイラー・スウィフトは「Anti-Hero」が2位に、またサム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」は2→4位に、それぞれ後退しています。

Global Excl. U.S.ではサム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」が1ランクアップし、通算5週目となる首位に。ストリーミングは前週比4%ダウンの5840万、ダウンロードは同10%ダウンの7,000を記録しています。ドレイク & 21サヴェージ『Her Loss』からは「Rich Flex」が4位に、「Major Distribution」が10位に初登場。ドレイクのGlobal Excl. U.S.トップ10入りは4曲目、21サヴェージは初となります。

オリヴァー・ツリー(一部メディアではオリバー・ツリーとも表記) & ロビン・シュルツ「Miss You」がGlobal Excl. U.S.で14→8位に。ストリーミングは前週比3%アップの3160万、ダウンロードは同12%アップの2,000を記録しています。ミュージックビデオが10月27日に公開されたこの曲は、カリフォルニア生まれのオリヴァー、ドイツ出身のロビン双方にとってGlobal Excl. U.S.初のトップ10入りとなりました。なおGlobal Excl. U.S.において、オリヴァーのこれまで最高位は「Life Goes On」での22位(2021年10月)、ロビンはキッド(KIDDO)を招いた「All We Got」での73位(2021年2月)となります。