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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(訂正あり)【海外ビルボード】ニッキー・ミナージュが米チャート初登場で制覇、Global Excl. U.S.ではAdo「新時代」がトップ10入り

(※追記(12時26分):Global Exel. U.S.において、J-PopのランクインはAdo「新時代」が2曲目と紹介しましたが、2021年1月にはYOASOBI「夜に駆ける」もトップ10入りしていました。訂正し、お詫び申し上げます。)

 

 

 

現地時間の8月22日月曜に発表された最新8月27日付米ビルボードソングスチャート(Hot 100)。2週連続で首位を獲得したビヨンセ「Break My Soul」は4位へ後退、ニッキー・ミナージュ「Super Freaky Girl」が初登場で首位の座に就きました。

(上記は公式リリックビデオ。)

ビルボードソングスチャート64年の歴史において通算1,141曲目、初登場では63曲目となる首位を獲得したニッキー・ミナージュ「Super Freaky Girl」は、ストリーミングが2110万(同指標1位)、ダウンロード指標が89,000(同指標1位)、ラジオが460万(同指標50位未満)を記録。女性ソロ歌手で客演等がいないヒップホップ作品での首位初登場は、ローリン・ヒル「Doo Wop (That Thing)」(1998)以来となります。初登場首位獲得曲については米ビルボードが別途記事にてまとめています。

「Super Freaky Girl」はニッキー・ミナージュにとって、ドージャ・キャットに客演参加した「Say So」(2020年5月16日付)、シックスナイン(6ix9ine)と共演した「Trollz」(2020年6月27日付 初登場にて首位獲得)に続く3曲目の首位獲得曲。ニッキー自身にとって、共演や客演を招かない形での初の首位作品となりました。

ニッキー・ミナージュは「Super Freaky Girl」の首位獲得により、トップ10入りが21曲に。今年に入ってからはリル・ベイビーと共演した「Do We Have A Problem?」が2月19日付で初登場且つ最高位となる2位を記録して以来、2曲目となります。ニッキーは2010年2月に初の100位以内エントリーを果たして以来、今回が124曲目のエントリー。100位以内最多エントリー数で歴代7位となりました。

ニッキー・ミナージュ「Super Freaky Girl」はストリーミングおよびダウンロード指標を制覇。ストリーミングにおいては「Anaconda」が2014年9月に3週制して以来2曲目となり、ダウンロードでは12曲目の首位に。後者では女性ラッパーで最多となり、今年においてはリル・ベイビーとの「Do We Have A Problem?」(2月19日付)、コイ・リレイとの「Blick Blick!」(4月2日付)、フィヴィオ・フォーリン(一部メディアではファイヴィオと表記するところも)との「We Go Up」(4月9日付)に続く4曲目となります。

ニッキー・ミナージュ「Super Freaky Girl」首位発進の可能性については昨日のブログエントリーで記しましたが(上記リンク先参照)、そこで述べたように次々に新バージョンを投入したことが、特にダウンロード指標の伸びにつながっています。オリジナル版(エクスプリシットおよびクリーンバージョン)を8月12日に、"Roman Remix"のエクスプリシットおよびクリーンバージョンを8月18日に、そしてオリジナルおよびリミックス版のアカペラ(エクスプリシットおよびクリーンバージョン)を8月18日夜にリリースし、すべてのバージョンを69セント(0.69ドル)で安価販売したことが功を奏した形です。

この1ヶ月においてはリゾ「About Damn Time」が7月30日付および8月6日付で、ビヨンセ「Break My Soul」が8月13日付および20日付で首位を獲得しており、女性ソロ歌手で客演等を伴わない作品が3曲続いた形となりました。これは2014年9月から2015年1月にかけてのテイラー・スウィフト「Shake It Off」~メーガン・トレイナー「All About That Bass」~テイラー「Blank Space」以来となります(なおその前は2013年9月から12月にかけて記録した、ケイティ・ペリー「Roar」~マイリー・サイラス「Wrecking Ball」~ロード「Royals」となります)。

ニッキー・ミナージュ「Super Freaky Girl」がサンプリングしているのはリック・ジェームス「Super Freak」。1981年9月にホットR&B/ヒップホップソングスチャートで3位を記録したこの曲は、後にM.C.ハマー(MCハマーと表記するメディアも有り)「U Can't Touch This」に用いられ、1990年6月に同チャートを制覇(総合では8位を記録)。また「U Can't Touch This」はホットラップソングスチャートでも2位を記録したほか、「Super Freak」を用いたジェイ・Z「Kingdom Come」は2006年にホットR&B/ヒップホップソングスチャートで52位、総合で98位、グッチ・メイン「Freaky Gurl」は2007年に前者で19位、後者で62位に到達しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (初登場) ニッキー・ミナージュ「Super Freaky Girl」

2位 (2位) ハリー・スタイルズ「As It Was」

3位 (3位) リゾ「About Damn Time」

4位 (1位) ビヨンセ「Break My Soul」

5位 (4位) ケイト・ブッシュ「Running Up That Hill (A Deal With God)」

6位 (6位) スティーヴ・レイシー「Bad Habit」

7位 (8位) ニッキー・ユーア & デイジー「Sunroof」

8位 (7位) フューチャー feat. ドレイク & テムズ「Wait For U」 

9位 (11位)バッド・バニー & チェンチョ・コルレオーネ「Me Porto Bonito」

10位 (13位) ポスト・マローン feat. ドージャ・キャット「I Like You (A Happier Song)」

ラジオ指標の首位はリゾ「About Damn Time」(総合3位)。前週比7%ダウンの8240万を記録し、7週目の首位に立ちました。またこの指標ではニッキー・ユーア & デイジー「Sunroof」(総合8位)が前週比9%アップの6560万を記録し、3週目のトップエアプレイゲイナーを獲得。同曲においてはストリーミング指標でも前週比15%アップの1000万を記録し、ストリーミングゲイナーに輝いています。

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。8月27日付ではビザラップ & ケベード「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」がGlobal Excl. U.S.で5連覇を達成し、Global 200でも前週の2位から返り咲きを果たしました。またJ-PopではAdo「新時代」がGlobal Excl. U.S.で18→8位に上昇し、初のトップ10入りを達成しています。

ビザラップ & ケベード「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」はGlobal 200においてストリーミングが7410万、ダウンロードが1,200を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが6880万、ダウンロードが800を記録(両チャートの双方の指標について、記事では前週比が記されていません)。Global 200では通算4週目の首位を獲得し、Global Excl. U.S.では5連覇を達成しました。

米チャートを制したニッキー・ミナージュ「Super Freaky Girl」はGlobal 200でストリーミング3590万、ダウンロード52,000を記録し5位に初登場(ただしGlobal Excl. U.S.ではトップ10入りせず)。ニッキー・ミナージュにとってGlobal 200でのトップ10入りは、リル・ベイビーとの「Do We Have A Problem?」が今年2月に初登場にて最高位となる7位を獲得して以来2曲目となります。

Global 200ではスティーヴ・レイシー「Bad Habit」が12→10位となり、自身初のトップ10入り。ストリーミングは前週比3%アップの3470万、ダウンロードは同21%アップの1,500を記録しています。

 

マヌエル・トゥリソ「La Bachata」がGlobal Excl. U.S.で12→7位に上昇。ストリーミングは前週比18%アップの3540万を獲得しています。コロンビア出身の歌手にとってこれまでの最高位はマイク・タワーズおよびラウ・アレハンドロとの「La Nota」が2020年11月に記録した40位であり、マヌエルは「La Bachata」で自身初のトップ10入りを達成しました。

映画『ONE PIECE FILM RED』に用いられたAdo「新時代」が18→8位となり、自身初のトップ10入り。ストリーミングは前週比31%アップの2180万、ダウンロードは同17%アップの19,000を記録しています。これまで7曲がGlobal Excl. U.S.200位以内にエントリーし、「うっせぇわ」が2021年2月に最高位となる16位を記録していましたが、今回初のトップ10入りを果たしたことになります。

 

 

最後に補足として。グローバルチャートは米ビルボードソングスチャート同様に金曜が集計期間初日となります。今回の8月27日付における集計期間は8月12~18日となり、日本では8月10日水曜にアルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』がリリースされたことを機に、Adoさんのアルバム収録曲が日本でさらなるヒットとなりました。

J-Pop歌手におけるGlobal Excl. U.S.チャートでのトップ10入りはLiSA「炎」が2020年10月31日付で最高2位を、YOASOBI「夜に駆ける」が2021年1月30日付で最高6位を記録して以来となります。「炎」は同日付のGlobal 200でも8位を記録していますが、「新時代」は最新8月27日付において同チャートトップ10入りを果たしていません。ただし前週は40位に初登場していることから、上昇が予想されます。このチャートの全容は日本時間の本日18時以降に明らかになる模様です。「炎」のグローバルチャートトップ10入りについては下記ブログエントリーをご参照ください。

 

(※追記(12時26分):Global Exel. U.S.において、J-PopのランクインはAdo「新時代」が2曲目と紹介しましたが、2021年1月にはYOASOBI「夜に駆ける」もトップ10入りしていました。訂正し、お詫び申し上げます。)

 

グローバルチャートにおけるストリーミング指標は動画再生も含みます。これらチャートポリシー等については、下記ブログエントリーにて解説していますのでご覧ください。