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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【海外ビルボード】『ミラベルと魔法だらけの家』サントラ、米でアルバム・ソングス両チャート同時制覇

現地時間の1月31日月曜に発表された最新2月5日付米ビルボードソングスチャート(Hot 100)。カロリーナ・ガイタン、マウロ・カスティージョ、アダッサ、レンジー・フェリズ、ダイアン・ゲレロ、ステファニー・ベアトリス & エンカント・キャスト「We Don't Talk About Bruno (邦題:秘密のブルーノ)」が初の首位を獲得しました。

63年の歴史を誇る米ビルボードソングスチャートにおいて1133曲目の首位となったカロリーナ・ガイタン、マウロ・カスティージョ、アダッサ、レンジー・フェリズ、ダイアン・ゲレロ、ステファニー・ベアトリス & エンカント・キャスト「We Don't Talk About Bruno (邦題:秘密のブルーノ)」。ストリーミングは前週比8%アップの3490万(同指標4週目の首位)、ダウンロードは同32%アップの12300(同指標3位)、ラジオは同239%アップの150万(同指標50位未満)を記録。ダウンロードについてはiTunes Storeにて69セント(0.69ドル)の安価販売を行ったことにより、トップセールスゲイナーを獲得しました。

1月8日付の米ビルボードソングスチャートにて50位に初登場を果たした「We Don't Talk About Bruno」は在籍5週目で初の首位に到達。同曲はディズニーアニメ映画『Encanto (邦題:ミラベルと魔法だらけの家)』サウンドトラックに収録され、同作品はアメリカで11月24日映画が公開、1ヶ月後にDisney+(ディズニープラス)より配信されています。

ディズニーアニメ映画関連曲では、『アラジン』(1993年)よりピーボ・ブライソン & レジーナ・ベル「A Whole New World」が1993年3月6日付で首位に立って以来、「We Don't Talk About Bruno」は2曲目の首位到達曲となりました。「A Whole New World」はコロムビア・レコード発であり、ウォルト・ディズニー・レコードからリリースされた「We Don't Talk About Bruno」は同レーベル発のディズニーアニメ映画サウンドトラック曲では初の首位獲得となります。

ウォルト・ディズニー・レコードからリリースされたディズニーアニメ映画以外の曲においてはこれまで、『ハイスクール・ミュージカル』よりザック・エフロン、アンドリュー・シーリー & ヴァネッサ・アン・ハジェンズ「Breaking Free」が2006年2月11日付にて4位を記録したのが最高でした。また『アナと雪の女王』よりイディナ・メンゼル「Let It Go」が2014年に5位に到達しています。

(なおディズニー・ミュージック・グループにはハリウッド・レコードも含まれており、そこからはプレイン・ホワイト・ティーズ「Hey There Delilah」が2007年に2週首位を獲得しています。)

 

最新の米ビルボードアルバムチャートでは『Encanto (邦題:ミラベルと魔法だらけの家)』サウンドトラックが前週比11%アップとなる115000ユニットを記録し、3週目の首位を獲得しています。

先述した『アラジン』サウンドトラックは6位が最高位であり、ディズニーアニメ映画のサウンドトラックおよびそこからの曲がアルバム/ソングスチャートを同時に制したのは今回が初。またディズニーアニメ映画以外のサウンドトラックで同時制覇を果たしたのは映画『A Star Is Born (邦題:アリー/スター誕生)』およびレディー・ガガブラッドリー・クーパー「Shallow」が2019年3月9日付で達成して以来となります。

 

「We Don't Talk About Bruno」はリン=マニュエル・ミランダが単独で書いた作品。エミー賞グラミー賞そしてトニー賞等数々の名誉に輝いたリンにとってはソングライター名義で初となる首位獲得を果たしました。これまではソングライター/歌手双方の名義による「Almost Like Praying」(リン=マニュエル・ミランダ feat. アーティスツ・フォー・プエルトリコ名義)が2017年10月に20位を獲得したのが最高となります。

また単独のソングライター名義による作品の首位獲得はエド・シーラン「Perfect」が2018年1月に6週首位を獲得して以来となります。単独のソングライターによる作品の首位獲得は2020年代では初、2010年代は4曲、20000年代は9曲に限られています。

「We Don't Talk About Bruno」のプロデュースを手掛けたのはリン=マニュエル・ミランダおよびマイク・エリゾンドであり、リンにとってはプロデューサー名義では初の首位獲得(なお後述する「Surface Pressure」が2曲目となるトップ10作品となります)。またマイクにとってはドクター・ドレーと共同プロデュースした50セント「In Da Club」が2003年3月から9週間首位を獲得して以来、2曲目の制覇となります。

マイク・エリゾンドにとって、プロデュース曲のトップ10入りは「We Don't Talk About Bruno」そして「Surface Pressure」で8曲となりました。直近のトップ10入り曲はいずれもトゥエンティ・ワン・パイロッツによる「Stressed Out」および「Heathens」(2016年 共に2位)となります。

ソングライターはひとりですが、歌手のクレジットでは最多となったのが「We Don't Talk About Bruno」。カロリーナ・ガイタン、マウロ・カスティージョ、アダッサ、レンジー・フェリズ、ダイアン・ゲレロ、ステファニー・ベアトリス & エンカント・キャストという今回のクレジット数は、2017年3月20日付で首位を獲得したDJキャレド feat. ジャスティン・ビーバー、クエヴォ(クエイヴォと表記するメディアもあり)、チャンス・ザ・ラッパー & リル・ウェイン「I'm The One」を上回っています。そして「We Don't Talk About Bruno」の参加者においてはいずれも初の首位獲得を達成しました。、

(なお、マイケル・ジャクソン等が参加した「We Are The World」が1985年に4週首位を獲得していますが、同曲の名義はUSAフォー・アフリカとなります。)

 

『Encanto (邦題:ミラベルと魔法だらけの家)』サウンドトラックからは、最新ソングスチャートにおいて7曲が100位以内にエントリー。「Surface Pressure」は1ランクアップし9位に上昇しています。

セバスチャン・ヤトラによる「Dos Oruguitas」は前週より8ランクアップし36位に到達。セヴァスチャンにとっては初のトップ40入りとなりました。さらに映画でブルーノ・マドリガルを演じるジョン・レグイザモは「All Of You」に参加しており、同曲は82位にランクイン。ジョンは初の100位以内エントリーを果たしています。

 

ピーボ・ブライソン & レジーナ・ベル「A Whole New World」が14週首位を獲得していたホイットニー・ヒューストン「I Will Always Love You」を破ったように、「We Don't Talk About Bruno」もアデルによる10週首位獲得曲「Easy On Me」を逆転しました。「Easy On Me」はストリーミングが前週比2%ダウンの1410万、ダウンロードが同1%アップの5200、ラジオが同1%ダウンの9460万を獲得し、ラジオにおいては10週目の首位を記録しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) カロリーナ・ガイタン、マウロ・カスティージョ、アダッサ、レンジー・フェリズ、ダイアン・ゲレロ、ステファニー・ベアトリス & エンカント・キャスト「We Don't Talk About Bruno」

2位 (1位) アデル「Easy On Me」

3位 (3位) グラス・アニマルズ「Heat Waves

4位 (4位) ザ・キッド・ラロイ & ジャスティン・ビーバー「Stay」

5位 (5位) コダック・ブラック「Super Gremlin」

6位 (6位) エド・シーラン「Shivers」

7位 (7位) ガンナ & フューチャー feat. ヤング・サグ「Pushin P」

8位 (8位) ゲイル「Abcdefu」

9位 (10位) ジェシカ・ダロウ「Surface Pressure」

10位 (9位) エルトン・ジョン & デュア・リパ「Cold Heart (Pnau Remix)」

トップ10からの脱落、もしくは新たなトップ10入りがなかった今週。ゲイル「Abcdefu」(8位)はラジオが前週比27%アップの3790万を記録しトップエアプレイゲイナーを獲得しています。またデュア・リパとの「Cold Heart (Pnau Remix)」が10位にエントリーしたことで、エルトン・ジョンは1971年1月23日付においてキャリア初のトップ10となった「Your Song」以来、最新のトップ10入りまでのスパンを51年と2週に伸ばしています。

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。2月5日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にゲイル「Abcdefu」が4連覇を達成しました。

ゲイル「Abcdefu」はGlobal 200でストリーミングが前週比4%ダウンの5610万、ダウンロードが同21%ダウンの12700を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比3%ダウンの4310万、ダウンロードが同15%ダウンの5900を記録しています。

グラス・アニマルズ「Heat Waves」がGlobal 200で6→4位となり初のトップ5入り。同チャートでは今回が56週目のチャートインであり、トップ5入りまでの最長記録を大幅に更新しました(これまではデュア・リパ「Levitating」の29週が最高)。ストリーミングは前週比1%ダウンの5000万、ダウンロードは同6%ダウンの4700を記録しています。またGlobal Excl. U.S.においても7→5位となり、エントリー54週目でのトップ5入りはこちらもデュア・リパ「Levitating」の29週を抜き最長記録を更新。Global Excl. U.S.では「Heat Waves」はストリーミングが前週比1%ダウンの3720万、ダウンロードが同1%ダウンの1800を記録しています。

ジェシカ・ダロウ「Surface Pressure」がGlobal 200で13→9位となり初のトップ10入り。ストリーミングは前週比2%アップの3930万、ダウンロードは前週比1%未満のダウンとなる9200を獲得しています。俳優で歌手のジェシカにとっては同チャート初のトップ10入りとなります。

ガンナ & フューチャー feat. ヤング・サグ「Pushin P」がGlobal 200で12→10位となり、こちらも初のトップ10入り。ストリーミングは前週比5%アップの3370万、ダウンロードは同16%ダウンの1100を記録しています。Global 200においてはガンナおよびフューチャーは2曲目、ヤング・サグにとっては3曲目となるトップ10入りを達成。またフューチャーとヤング・サグは共にドレイク「Way 2 Sexy」に参加しており、昨年9月にこのチャートで2位に到達しています。