今年いっぱいで活動を休止する嵐が明後日デジタルリリースする新曲を、ブルーノ・マーズが書き下ろしています。
最新デジタル・シングル「Whenever You Call」が9月18日(金)にリリースされます!
— ARASHI (@arashi5official) 2020年9月9日
僕たち嵐のために、曲を書き下ろしてくれたブルーノ・マーズに心から感謝✨✨✨この曲をみんなに聴いてもらえるのが今からとても待ち遠しいです😊ぜひ楽しみにしていてね!🎶 https://t.co/23ppXFNUy6#WheneverYouCall pic.twitter.com/AJsvWlpdcM
この曲名でしかもバラード(音楽ナタリーの記事では”ミディアムバラード”と記載)となればマライア・キャリーとブライアン・マックナイトのデュエット(→YouTube)を思い出す自分がいますが、当然ながら同名異曲。それにしても今回のインパクトは大きいですね。アナウンスの段階で"ブルーノ・マーズ"がTwitterでトレンド入りしていることから、これまでのデジタルシングル以上に大きなリアクションが生まれるのは確実。尤も、「Turning Up」も「IN THE SUMMER」も名うてのソングライターが手掛けているのですが。
いや、ブルーノ・マーズは歌い手としても、自身の曲を構築するのも巧いながら、他者への提供曲も見事なのです。なるほど嵐がブルーノ・マーズに頼んだのも納得と言えます。そんなブルーノ・マーズの提供曲における”4つの特徴”を以下にまとめてみます。
ブルーノ・マーズはアジアとの親和性が高いのが特徴。たとえば以前も紹介したSHINeeのテミンによる初のフルアルバムからのリード曲「Press Your Number」(2016)はブルーノ・マーズとステレオタイプスが手掛けた作品。
またBTS「Dynamite」以前にアジア系の歌手として米ビルボードソングスチャートを制した(ただしメンバー全員が米国在住のため、厳密にはアジア人ではない)ファーイースト・ムーヴメントにも曲作りに参加。米チャートを制した「Like A G6」に次ぐ「Rocketeer」(共に2010)は最高7位を獲得。客演にはワンリパブリックのライアン・テダーが招かれています。
そのライアン・テダーはブルーノ・マーズ同様にソングライターとしても人気なのですが(ビヨンセ「Halo」(2008)、アデル「Turning Tables」(2011)等)、ブルーノはソングライター兼歌手との共作が多いことも特徴。2013年にはアリシア・キーズと「Tears Always Win」(2013)を共作。
2年後にはアデルの現段階での最新作『25』に収録された「All I Ask」(2015)で、彼女と共にペンを執ります。
昨年にはエド・シーランのコラボ集にて、カントリー界のクリス・ステイプルトンと共に「Blow」に参加。ブルーノ・マーズはプロデューサーも担当しています。
ちなみにアリシア・キーズは今週リリースのニューアルバム『Alicia』に、エド・シーランと共作した先行シングル「Underdog」を収録。才能溢れる者同士のコラボレーションは期待度が高まりますし、実際にその期待を軽く超える作品が生まれているように思います。
嵐は昨日ニューアルバム『This is 嵐』をアナウンスしたことにより、ブルーノ・マーズによる嵐への提供曲は活動休止前の最後のシングル曲になるのかもしれません。となると、歌手にとってモニュメントとなる曲を手掛けているのもブルーノの特徴と言えそうです。たとえば来月ニューアルバム『Cherry Blossom』をリリースするイギリスのバンド、ザ・ヴァンプスが7年前にリリースしたデビューシングルにはブルーノ・マーズが関与。ボーカルのブラッド・シンプソンの声がどことなくブルーノに似ている気がするのは気のせいでしょうか。
リリースの度にソウル色を高めていくシーロー・グリーンに、ブルーノ・マーズはFワードを堂々と冠した曲を10年前に提供。シーローはこの曲でナールズ・バークレイの一員としてリリースした「Crazy」に並ぶ米ビルボードソングスチャート最高2位を獲得しています。なお下記ミュージックビデオはクリーンバージョンの「Forget You」。
この「F**k You!」や先述したアリシア・キーズに代表されるように、ブルーノ・マーズは懐かしのソウルミュージックを現代風にブラッシュアップすることにも余念がなく、そのことは自身の3枚目のアルバム『24K Magic』(2016)におけるファンクの復権からも明らかですが、今年はチャーリー・ウィルソン御大にステッパーズを提供。
ステッパーズといえば、性的スキャンダルによる数々の事件で収監中のR.ケリーによる「Step In The Name Of Love」(2003)を真っ先に思い出す方は多いはず。ブルーノはカーディ・Bとの「Please Me」(2019 →YouTube)でR氏的な佇まいを魅せていたことから、ソングライティング面でR氏の影響を大きく受けたのかもしれません。
自身の客演作品も含め、ブルーノ・マーズの提供曲には4つの特徴があると考えていますが如何でしょう。ちなみにブルーノの仕事は日本にも影響を与えていると感じていて、たとえば7月に新作『B7』をリリースしたブランディについては以前2004年以降の仕事についてまとめていますが、そこでも取り上げた「Long Distance」(2008)にもブルーノが関与。そしてこの曲の美しさはBoA「Milestone」(2011)にも受け継がれているように思います。
嵐が「Whenever You Call」で大ヒットに至れば尚の事、追随する日本の作品が出てくるようにも思います。とにかく、嵐の新曲がどのような感じになるのか今から楽しみです。