4月29日~5月5日を集計期間とする、5月13日付のビルボードジャパン各チャートが昨日発表され、総合ソングスチャートはあいみょん「マリーゴールド」が登場43週目にして初の首位を獲得しました。
【ビルボード】あいみょん「マリーゴールド」がチャートイン43週目で初の総合首位獲得 https://t.co/Eswx4LUGDn pic.twitter.com/tbxaxELFSw
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) May 8, 2019
『大型連休のため発売されたシングルが少なく、セールスが全体的に低調となった』ことで、シングルCDセールスやデジタルダウンロードに特化しない作品が上位に残る形となったのが今回のチャートの特色といえます(『』内は上記記事より)。とはいえ今回首位を獲得したあいみょん「マリーゴールド」の総合ポイントは前週比117.6%、2位の米津玄師「Lemon」は同119.7%、そして初のトップ10入りとなったFoorin「パプリカ」は同145.1%…と、ロングヒットを続ける曲はいずれもポイント前週比が伸びているという結果に。他方、高いシングルCDセールス指標が要因となり前週トップに立ったジャニーズWEST「アメノチハレ」は、シングルCDセールス指標で首位を守りながら枚数を大きく落としたことや(全国推定売上枚数は前週比7.5%)、デジタル指標未加算も相俟って13位へダウン。総合ポイントは前週比14.6%となっています。
今週が改元のタイミングであったことからチャートを駆け上がったのがゴールデンボンバー「令和」。
ラジオエアプレイが復活、カラオケが初登場し、他6指標すべてがアップという全指標上昇により総合チャートで53→17位へ再浮上。まさに新元号となった5月1日にレンタルが解禁されたことでルックアップ指標がさらに加算されたことも影響しています。
そして、今回CHART insightを見て、この曲こそ”年のはじめ”ソングなのだということを実感したのが、ファレル・ウィリアムス「Happy」でした。
特筆すべきはラジオエアプレイ指標で、前週100位未満(300位以内)だったこの曲が18位にジャンプアップ。「Happy」が同指標で20位以内に入るのは今年1月14日以来なのですが、この1月14日というのは昨年の大晦日からの1週間が集計期間となるのです。
さらにその前にラジオエアプレイ指標20位以内ランクインのが、2018年元日からの1週間を集計期間とする2018年1月15日付(12位)。そして昨年1月15日付、今年1月14日付では共に、その前週のラジオエアプレイ指標が未ランクイン(300位未満)となっていることを踏まえれば、年が明けて「Happy」がラジオで急激にかかったと考えられます。
元来「Happy」は映画『怪盗グルーのミニオン危機一発 (原題:Despicable Me 2)』(2013)で用いられ、翌年ファレル・ウィリアムス自身のアルバムに収録。2014年の米ビルボード年間ソングスチャートを制しています。日本では2015年、ビルボードジャパン年間ソングスチャートで41位にランクインするなど長く愛され、テレビ番組や車のCMで用いられてきました。そして2016年以降は主にラジオエアプレイと動画再生の各指標が牽引する形で総合ソングスチャートにランクイン。動画再生指標は2015年6月8日付以来常に300位以内に登場していますが1週だけ突出することがない一方、ラジオエアプレイにはムラが。とはいえ、突発的にこのタイミングで上昇を果たしたのは、ラジオエアプレイが季節感を反映していること(日本のチャートにおける桜ソング上昇の原動力はやはりラジオエアプレイ指標だった…一方で動画再生指標が弱い理由(4月5日付)等をご参照ください)の証拠であり、”年のはじめ”を表すにふさわしい楽曲がファレル・ウィリアムス「Happy」であるとラジオが捉えているからかと。新元号初日にハッピーニューイヤーならぬ”Happy New Era”という言葉も用いられたようで、ゆえに今回正月同様のチャートアクションがあったと考えられます。来年の正月もまた、「Happy」がラジオでかかりまくることでしょう。