イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「Dancing With A Stranger」が米トップ10入り目前、サム・スミスと共演するノーマニが辿る偶然の一致

ここ数週、米ビルボードソングスチャートにおけるラジオエアプレイの”弱さ”が目立っていることを危惧しています。数週間前までは同指標首位が1億超えで推移していたのですが、最新4月20日付において、同指標トップのアリアナ・グランデ「7 Rings」が8200万…8000万台前半まで下がっているのです。

ラジオエアプレイ指標のラインアップを見れば、今になって(実際は前週から)「7 Rings」が首位に立つのは遅すぎるとか、流行を反映しにくいという批判が出てくるかもしれません。が、瞬発力が高く反映されるデジタル2指標(デジタルダウンロードおよびストリーミング)とは異なり、ラジオエアプレイは瞬発力は低いとしても持続力があるゆえ、ロングヒットになるかどうかはこの指標が大きく関わると言えるでしょう。それはすなわち、ラジオエアプレイでは他指標以上に好い曲が上昇する傾向があると言えるわけで、ラジオエアプレイで支持されれば地道ながら着実にヒットの階段を駆け上がっていく…というのが自分の見方です。

 

その観点からすれば、サム・スミスとノーマニのこのデュエットは現在、とてもいい位置につけていると言えます。

・Sam Smith & Normani「Dancing With A Stranger」(2019)

1月前半にリリースされたこの曲(曲の解説等はbmrに詳しく掲載されています)は、ラジオエアプレイ指標を示す最新4月20日付米ビルボードラジオソングスチャートで前週より3ランク上昇し6位に。ここ5週の動きをみると12→9→9→9→6位となり、足踏みはあったもののすべて赤丸が付いています。総合のソングスチャートでも18→17→17→15→12位と推移し、トップ10入りを狙える位置にいるのみならずラジオエアプレイ同様すべて赤丸付という状況です。次週はBTSの高位置での初登場が見込まれライバルは少なくありませんが、非常に素晴らしい曲と思うゆえ是非ともトップ10入りを果たしてほしいと思っています。

 

(ちなみに、日本でのアクションを見ると、ビルボードジャパンソングスチャートでは100位以内に一度のみランクイン。ラジオエアプレイが大きな要因となり1月28日付で初登場85位に入りました(詳細はダンシング・ウィズ・ア・ストレンジャー / サム・スミス & ノーマニ | CHART insight | Billboard JAPANをご参照ください)。日本では洋楽(特に新曲)のヒットは主にラジオが起因することが多いのですが、ただ調査対象局やそもそもの局数自体がアメリカに比べて著しく少ないこと、ビルボードジャパンのホームページからラジオエアプレイ指標のみのチャートがある時点から掲載されなくなったこと等を踏まえるに、ビルボードジャパンソングスチャートにおけるラジオエアプレイ指標のウェイトは高くないものと思われます。また「Dancing With A Stranger」のラジオエアプレイの動向を見るに、新曲における日本での動向はアメリカとは異なりロングヒットが見込みにくいのも特徴と言えるでしょう。)

 

面白いのは、ニューアルバム『Free Spirit』で最新4月20日付米ビルボードアルバムチャートを制したカリードとの「Love Lies」でソロとして既にトップ10入りした経験を持つノーマニが、デビューアルバム発売前に2曲目の、それもいずれもデュエットの形態でトップ10入りを果たす可能性があるということ。仮に今回トップ10ヒットとなれば、そろそろソロアルバムリリースの気配が高まってきそうで楽しみです。ノーマニは活動休止したフィフス・ハーモニーの一員ですが、そのフィフス・ハーモニーから脱退したカミラ・カベロも、マシン・ガン・ケリーとの「Bad Things」、ヤング・サグをフィーチャーした「Havana」の2曲が、ソロアルバム『Camila』発売以前にトップ10入りしていました。「Havana」は長らく2位どまりだったもののアルバム初登場週に首位となり、シングル・アルバム同時制覇を果たしています。カミラも先述した2曲共に単独曲ではないゆえ、ノーマニはカミラと同じ道をたどっている気がしており、その偶然の一致はなんだか面白いですね。

とはいえ、この偶然の一致が生まれるには「Dancing With A Stranger」が次週以降トップ10入りすることが大前提。次週のチャート発表が楽しみです。