イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

レコード会社は洋楽国内盤を売る気はないのか

強い言い方の題目ではあるのですが、一昨日のレンタル解禁措置問題(洋楽レンタルが1年未満の解禁措置を中止した模様)でも取り上げたユニバーサルの洋楽国内盤の販売方式に不信感を抱いています。

 

ユニバーサルインターナショナルの公式Twitterアカウントが昨日公式リツートしたのはこちらでした。

半月前までツイートを遡ってみましたが、国内盤に言及したのはこれが最初であり、アカウント自体の発信文(つぶやき)では未だ言及がない状態です。ちなみに、The Weeknd | ザ・ウィークエンド - UNIVERSAL MUSIC JAPAN(注意:音が出ます)にはトップページに発売アナウンスがあり、HMVでは1月7日付で国内盤発売の記事が掲載されています(ザ・ウィークエンド最新アルバム、遂に国内盤が決定|ローチケHMVニュース)。

 

このアルバム『Beauty Behind The Madness』、アメリカのビルボードチャートでは週間1位、昨年度年間チャート13位を記録。シングルも軒並み大ヒットしており、映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』サウンドトラックに先行収録された「Earned It」が週間3位(年間9位)、「Can't Feel My Face」と「The Hills」が共に1位と大ヒット(前者は年間12位、後者は同10位)、またブレイクのきっかけとなったアリアナ・グランデとの「Love Me Harder」が週間7位(年間56位)を記録しており、昨年のシングル年間チャートにおいて実に4曲も送り込んでいるのです。さらに日本では、昨年のJ-WAVE年間チャートで「Can't Feel My Face」が75位を記録しており、ラジオで全く無視されたわけではないはず。にもかかわらず、ここまで国内盤発売が延びるとは…正直言って論外だ、というのが自分の考えです。

 

実は昨年、こんなブログエントリーを行っています。

洋楽の国内盤発売の遅さを憂う (2015年1月6日付)

サム・スミスの国内盤発売を8ヶ月遅らせたレコード会社への”願い”(2015年1月7日付)

これらエントリーにおいて、国内盤発売遅れに至った理由およびその心理を記載しました。

・輸入盤と同時(もしくはそれに近いタイミングでの)リリースでは、”手探り”ゆえに売れない、もしくは売りにくいと判断したのでは

・”後出し”となると、現地での状況(売れ方、マーケティングの成果等)があらかじめ分かるため、日本での露出の仕方やシングルカットを何にすればいいか等を判断しやすい

・”後出しは音楽ファンに失礼だ!"と非難される可能性があるとしても、大量のボーナストラックなどでお得感を演出するなどすれば、国内盤に対してむしろプラスの印象を抱いてくれかねない、更には輸入盤買った人でもまた買ってくれるかもしれない、などと考えている

穿った見方を覚悟でまとめるならば、後出しに長けるようになっ(てしまっ)たレコード会社は、"冒険心が失せた"、”度胸がなくなってしまった”のだと思います。

(以上、洋楽の国内盤発売の遅さを憂うより)

 

仮に『In The Lonely Hour』がグラミー賞を獲るだろうと見込んでここまで発売をずらしたのならば、”世間への浸透<自社の利益”という優先構図が見て取れ、苛立ちすら覚えます

(以上、サム・スミスの国内盤発売を8ヶ月遅らせたレコード会社への”願い” より)

事実、サム・スミス同様にザ・ウィークエンドは今年のグラミー賞において主要2部門を含む7部門にノミネートされています(グラミー賞ノミネーション一覧はこちら)。ノミネーション発表は先月であり、また同時期に年間チャート等発表になったことでようやく発売に踏み切ったのかもしれませんし、もっと失礼な言い方をするならば、日本のレコード会社がいよいよ無視できなくなったゆえ発売に至らざるを得なかった…ということかもしれません。さすがに邪推甚だしいかもしれませんが、しかし以前サム・スミスの件で指摘した際の改善希望(”願い”)が何ら果たされていないことを考えれば、これははっきり言ってユニバーサルインターナショナルの怠慢ではないでしょうか。

 

無論、アメリカでヒットするものが日本でヒットするとは限りません。また配信はタイムラグなしで行っており(→iTunes Store)、そちらで補完出来るのかもしれませんが、しかし、現地の音楽は解説や対訳(もしくはボーナストラック)を望む人、フィジカルで欲しいと願う人の欲求はなんら満たされることがないのです。そういったニーズが少なからず存在することをなぜ無視するのでしょう。利益面で割に合わないというのが理由だとしたら、レコード会社は商品のみならず(いやそれ以上に)音楽文化を扱っているということをきちんと認識していただきたいものです。

そういえば、洋楽作品のレンタル解禁までの措置をユニバーサルは1年間に戻した模様ですが(洋楽レンタルが1年未満の解禁措置を中止した模様(1月7日付)より)、仮にレンタル解禁を早めたことでCD売上が減少したことを考慮しての措置ならば、CDの国内盤を充実させることが何よりもまず大前提になるのではないでしょうか。