イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

最新9月2日付ビルボードジャパンチャートから、ジャニーズ事務所運営レコード会社のリリース手法を思う

8月19~25日を集計期間とする、9月2日付のビルボードジャパン各チャートが昨日発表され、ソングスチャートはHey! Say! JUMP「ファンファーレ!」が制しました。

「ファンファーレ!」は7月29日付で首位となった日向坂46「ドレミソラシド」以来となる、シングルCDセールスおよびルックアップ指標の同時制覇を達成。パソコン等に取り入れた際インターネットデータベースへアクセスした数を示すルックアップは、シングルCDセールスと実際の購入者数(ユニークユーザー数)が乖離していないかやCDレンタル数がどれくらいかを推測するために欠かせない要素。ここ最近のシングルCDセールス上位陣でルックアップに乏しい例が少なくなかったため、「ファンファーレ!」のシングルCDが”多くの方に聴かれている”と言えるかもしれません。特に前週首位に立ったNMB48「母校へ帰れ!」がシングルCDセールス1位に対しルックアップが17位と大きな差が生じていたこともあり、尚の事です。

ちなみに以前記載したのですが、ジャニーズ事務所所属且つ同事務所が運営するレコード会社に所属する歌手のシングルCDは、この春からレンタル解禁をアルバム同様発売の17日後に遅らせる措置を採り始めています(ただし、9月11日リリースの嵐「BRAVE」は同日解禁を実施する模様)。外部レコード会社に所属する歌手については1分のティーザー的ミュージックビデオ公開やフル尺のダウンロード等を実施し少しずつデジタルに明るくなる(そしてダウンロードや動画再生指標がチャートに加算されている)のとは相反する動きであり、『自社内でコアなファンの囲い込みを徹底させる一方、ライト層はCDを購入しない限り受け付けない(と言っても過言ではない)体制を徹底させてきている』(6月3日付ビルボードジャパンソングスチャート首位曲からはじまる、ジャニーズ事務所所属歌手のシングルCDの展開手法を疑問に思う(5月30日付)より)のがジャニーズ事務所運営レコード会社の現状と言えます。それでもHey! Say! JUMP「ファンファーレ!」のルックアップが強いのは購入されたCDの多くがきちんと取り込まれているからでしょうし、『前作「Lucky-Unlucky」は初週売上199,377枚で、本作は初週売上を4万枚超伸ばして』いることから、レンタル解禁を遅らせたことが売上につながった可能性も(『』内は上記ビルボードジャパンの記事より)。ライト層を受け付けない接触手段の減少を実施して売上が伸びたならば、ともすれば今後この動きは強化されるかもしれません。

 

さて、接触手段の減少ある意味功を奏したかもしれない「ファンファーレ!」に対し、堂本剛さんのニューアルバム『NARALIEN』のリリース手法はなんだか勿体無いと思っています。前週初登場で首位を獲得したのですが今週は20位へと大きく後退してしまいました。

『NARALIEN』においては”逆風”も。日本を代表する夏フェスのひとつ、SUMMER SONICでの16日の東京公演が予定されていたのですが、台風の影響により屋外ステージが中止したあおりを受けて堂本剛さんの出番はなくなりました。公演終了後の19日月曜にワイドショー等で取り上げられていれば、そして屋外ステージに観に来ていた堂本さん目当てではないライト層も魅了出来ていたならば売上増が見込めたかもしれません。なお2日後の大阪公演は無事行われました。

一方で上記記事の表題にあるように、ジャニーズ事務所運営のレコード会社所属歌手としては異例となる動画広告展開も行われたそうですが、現在はInstagramの発信源(アカウント)自体が無くなった模様です。

 

前作『HYBRID FUNK』(2018)から続くファンク道を極めた流れについては、丸屋九兵衛さんの寄稿を読むとよく分かります。

『HYBRID FUNK』は好事家を中心に評判となり、堂本剛さんさんをジャニーズ事務所所属だからと甘く見る音楽通の方は最早皆無に近いと思うのですが、しかし手に取りにくい問題も。レコード会社がストリーミングやダウンロードを解禁していないためアルバムCD購入以外の接触手段がレンタルに限られること(そのレンタルは今週末解禁)に加え、『HYBRID FUNK』そして今作『NARALIEN』共々3種リリースされその3種とも収録曲が少しずつ異なることから、彼の楽曲を全て集めるには3種全て手にしないといけないのです。収録曲の差異については上記『NARALIEN』の特設サイトおよび『HYBRID FUNK』のディスコグラフィーをご参照いただきたいのですが、どれを選ぶか迷うというより、選択するのが面倒になってどれも選ばなくなる…そんな心理が芽生えてもおかしくないと思います。全種揃えると1万円以上かかることも心理的な枷となっていそうです。

(ちなみに先述したHey! Say! JUMP「ファンファーレ!」も3種リリースであり、全種手に取らないと彼らの楽曲を全て手に入れることは出来ません。この手法はアイドル中心に用いられていますが、しかしシングルでは目立ってもアルバムではなかなか採り入れられていないように思います。)

堂本剛さんが奏でるファンクは丸屋九兵衛さんのお墨付きもあり海外でも通用すると思うのですが、しかしデジタルに明るくない姿勢のみならず、ファン以外の間口(買いたいと思う欲求)を狭めていると思わせかねない販売手法が、折角の才能の伝導を堰き止めてやいないかと思うのです。初週にファンの多くが3種全て購入したであろうその反動もチャートの大幅ダウンに影響したかもしれず、この手法は実に勿体無いと思います。

 

収録曲が全種異なる仕様については一本化してほしいと思うのですがそれとは別に、どうしてもCDでの購入を促したいならば、たとえば先日取り上げた森口博子GUNDAM SONG COVERS』(2019)のように、先行曲をダウンロードおよびストリーミングで解禁しながらもアルバム全体のデジタル化を遅らせる措置を採るのが効果的なのかもしれません。

尤もこの施策自体には疑問を抱くのですが、デジタルに懐疑的にみえるジャニーズ事務所の、それも同社運営レコード会社側がデジタルでの宣伝を行い、実はデジタルに意欲的かもという意志が見えることから、この手もありではないかと思うのです。何より堂本剛さんの音楽性を広く伝えたいならばやはり配信して海外に轟かせる手段を採るべきではないでしょうか。ストリーミング非解禁でダウンロードのみだとしても、ダウンロード購入画面で試聴出来るようになるだけで、彼の音楽性の認知度は飛躍的に上昇すると思うのですが。

MTVビデオ・ミュージック・アワード受賞、カミラ・カベロに次ぐ活躍なるか? フィフス・ハーモニーから登場したノーマニに注目

日本時間の昨日発表された8月31日付米ビルボードソングスチャート。

ショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」が首位の座を射止めたことで、プロデュース&ソングライトを担当したベニー・ブランコにとって米ソングスチャート8曲目の1位獲得となります。彼の作品群は以前まとめていますのでよろしければ。

また、カミラ・カベロにとっては2曲目となる全米制覇を達成。元フィフス・ハーモニーのメンバーながらグループとしては首位獲得自体成し得なかったわけで、先に脱退した彼女の成功を活動休止中の他のメンバーはどう思っているのか気になるところではあります。

 

そのフィフス・ハーモニーの現メンバーの中で、ここに来て台頭してきたのがノーマニ。

映画『Love, Simon (英題)』のサウンドトラックに収録されたカリードとの「Love Lies」(2018)が米ソングスチャート最高9位、そしてサム・スミスとの「Dancing With A Stranger」(2019)が同7位を獲得。特に後者はラジオエアプレイを制したこともあり、その名は広く知れ渡ったはずです。

その認知度をさらに高めるであろう出来事が。日本時間の昨日午前に行われたMTVビデオ・ミュージック・アワードで、シンガー/ラッパーのブラック(6lack)をフィーチャーし昨秋リリースした「Waves」が最優秀R&Bビデオ賞を受賞しました。

 

さて、これまで紹介した楽曲群はいずれも客演を含むため、ヒットしたのは客演陣の影響も?という意地悪な見方が出るかもしれません。活動休止中のフィフス・ハーモニーにおいても、唯一のトップ10ヒットとなった「Work From Home」(2016 4位)にはタイ・ダラー・サインが客演参加しているわけで。彼女はそれを見抜いているのか、今月16日にリリースした新曲「Motivation」は客演なしで挑んでいます。

プロデュースおよびソングライトを手掛けたのはイリア・サルマンザデ。アリアナ・グランデ「No Tears Left To Cry」や「God Is A Woman」(共に2018)などで知られる方ですが、今回共にソングライターに携わったのが「No Tears Left To Cry」の共同プロデューサーであるマックス・マーティン、そしてアリアナも参加。「Motivation」は最新8月31日付米ビルボードソングスチャートで33位に初登場し上々の滑り出しとなりました。MTVビデオ・ミュージック・アワードでは同曲をパフォーマンスしておりチャート上昇の可能性は高く、客演参加なしで結果を残したならばカミラ・カベロに次ぐ大活躍と言い切って間違いないでしょう。

フィフス・ハーモニーとしての活動再開は遅れるかもしれませんが、今はノーマニの動向を見守っていきたいと思います。

ビリー・アイリッシュが1週で陥落、新たな首位はショーン・メンデス&カミラ・カベロ…しかし来週はテイラーが? 8月31日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。現地時間の8月26日月曜に発表された、8月31日付最新ソングスチャート。前週リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」から首位の座を奪ったビリー・アイリッシュ「Bad Guy」はわずか1週で陥落。新たな首位に立ったのはショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」でした。

「Señorita」はショーン・メンデスにとって初、カミラ・カベロにとってはヤング・サグをフィーチャーした「Havana」で首位となって以来2度目の1位獲得となりました。ラジオエアプレイは前週比6%アップの1億240万(同指標3位)、ストリーミングは同3%アップの3750万(同指標4位)、ダウンロードは同4%ダウンの22000(同指標5位)と、どの指標も首位には至っていませんが堅調に推移し、我慢のゴルフの如き展開で首位に躍り出た形です。とはいえ、下記”リハーサルビデオ”の投入もストリーミングの推移に効果を与えたかもしれません。

現段階で540万回再生されたこのビデオは、デジタル2指標の集計期間初日にあたる8月16日に公開されたもの(ラジオエアプレイは8月19日からの1週間が集計期間)。なるほど、ここにも”仕掛け”が施されています。

ショーン・メンデスとカミラ・カベロといえば以前にも「I Know What You Did Last Summer」が2016年初頭に20位を獲得しており、相性の良さはお墨付きなのですが、この”デュエット”での首位は今年2曲目。レディー・ガガブラッドリー・クーパー「Shallow」が3月9日付で首位を獲得して以来となります。1年に2曲ものデュエット曲が首位となったのは1987年以来となり、その際はアレサ・フランクリンジョージ・マイケル「I Knew You Were Waiting (For Me)」およびビル・メドレー & ジェニファー・ウォーンズ「(I've Had) The Time Of My Life」が首位となりました。

今週2位に沈んだビリー・アイリッシュ「Bad Guy」は、前週の集計期間終盤に投入したヴァーティカル・ビデオ(スマートフォン仕様の縦型ミュージックビデオ)によるストリーミング、および公式サイトにおける同曲のカセットシングル発売効果によるダウンロードの効果が今週も見られたのか、こちらも堅調に推移。ストリーミングは前週比1%ダウンの3890万(同指標3位)、ラジオエアプレイは同3%ダウンの9110万(同指標6位)、ダウンロードは同1%アップの20000(同7位)となりました。「Señorita」との差は特にラジオエアプレイに表れたと言っていいでしょう。なお、前週のチャート紹介(「Old Town Road」が遂に陥落、ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」が首位を獲得した理由は新たな”投入”にあり…8月24日付米ソングスチャートをチェック(8月20日付)でカセットシングルの紹介を省いてしまったのですが、カセットシングルがダウンロードに加算されるのは恥ずかしながら知りませんでした…今後、もしかしたらこの施策を用いる歌手が出てくるかもしれません。

3位にはリゾ「Truth Hurts」が最高位を更新。ダウンロードは前週比17%アップの26000(同指標2位)、ラジオエアプレイは同4%アップの9910万(同指標4位)、ストリーミングは同6%アップの2840万(同指標6位)で全指標上昇、次の首位候補に躍り出ました。このリゾに逆転を許したリル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」が4位に交代。総合では2週間前まで19週連続、ストリーミングでは前週まで20週連続で首位の座を保持していたのですが、ストリーミングも遂に陥落し前週比5%ダウンの5070万(同指標2位)、ダウンロードは同12%ダウンの23000(同4位)、ラジオエアプレイは同17%ダウンの2840万(同指標35位)と大きく後退。特にラジオエアプレイが低水準となり、仮に今後もリミックスを投入しストリーミングを伸ばしたとしても、延命措置こそあれ首位の座は射止められないでしょう。

その「Old Town Road」が20週守り続けたストリーミング首位の座を奪ったのがリル・テッカ「Ran$om」。総合でも5位に上昇しました。

ストリーミングは前週比21%アップの5230万で同指標首位、ダウンロードは同8%アップの5000(同39位)、ラジオエアプレイは同21%アップの1500万ですが同指標50位未満に。今後のチャートアクションはラジオエアプレイの伸びにかかっています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) ショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」

2位 (1位) ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」

3位 (4位) リゾ「Truth Hurts

4位 (3位) リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」

5位 (8位) リル・テッカ「Ran$om」

6位 (5位) カリード「Talk

7位 (6位) クリス・ブラウン feat. ドレイク「No Guidance」

8位 (7位) エド・シーラン & ジャスティン・ビーバー「I Don't Care」 

9位 (9位) ポスト・マローン feat. ヤング・サグ「Goodbyes」

10位 (10位) ショーン・メンデス「If I Can't Have You」

ラジオエアプレイは今週もカリード「Talk」(総合6位)が制覇していますが、前週比3%ダウンの1億2120万とダウン。また今週はトップ10の顔ぶれは変わらず、同日付のアルバムチャートを制したヤング・サグの楽曲が入ってくることはありませんでした。

 

さて来週は、テイラー・スウィフトがアルバム『Lover』収録曲が大挙エントリーする予感がします。アルバムリリース日にミュージックビデオを公開したタイトル曲「Lover」は前週にシングル化、今週のチャートで19位に初登場を果たしています。

ダウンロードは35000をマークし同指標首位を獲得、同指標での首位獲得曲数を18に伸ばし最多記録を更新しています(ちなみに2位はリアーナの14曲)。テイラー・スウィフトは日本時間の今日、MTVビデオ・ミュージック・アワードのオープニングアクトに登場しますが、おそらくこの曲を披露してくれるのではないでしょうか。それ次第では次週「Lover」のトップ10、いや首位獲得もあり得ると考えています…ということは前週弊ブログにて予想しました。

ただ…次週のアルバムチャートで『Lover』がユニット数(セールスに単曲ダウンロードのアルバム換算分およびストリーミングのアルバム換算分を加えた計算単位)でミリオンを突破すると読んでいたのですが、昨日付の記事によると。

業界筋の予想によると『ラヴァー』は、8月29日までの集計週を反映した9月7日付の“Billboard 200”で70万ユニットを獲得し、1位デビューを果たすことが有力視されている。

予想を大きく下回る数値に驚いています。もしかしたら首位獲得は難しいかもしれません。

TOKYO FMは『村上RADIO』の推しが強すぎるあまり、様々な犠牲を生んでやいないか

首都圏ラジオ局は今日から1週間が聴取率調査週間。聴取率を獲得すべく”スペシャルウイーク”と化すかは局により判断が分かれていますが、聴取率獲得のために手段を選ばないニッポン放送の姿勢を以前から問題視しています。

このレギュラー番組休止の方式はニッポン放送だけと捉えていましたが、これに今回TOKYO FMが倣ってきました。一言で言えば圧倒的なまでの”村上春樹推し”なのです。

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村上春樹さんがDJを務める『村上RADIO』は、不定期放送ではあれど毎回聴取率調査週間にOAされ、JFN38局がほぼ同時刻(日曜19時台)にOA。これにより、同時間帯にレギュラー番組がある放送局はその週の差替が余儀なくされます。

しかも今回は2週連続で『村上RADIO』が用意され、その第1弾は昨日放送。つまり地方局ではその分も差替が発生してしまうこととなるわけです。

しかしこれは地方局の問題であり、TOKYO FMでは日曜19時が『TOKYO FMサンデースペシャル』枠である程度の自由が利くため、同枠で『村上RADIO』を放送することが問題ないと言われればそれまでです。

しかしこれはさすがにどうかと思います。

番組が休止になること、それもスペシャルウイークに…という事態はニッポン放送の姿勢を強く想起させます。差替対象番組はあたかも聴取率を獲れないとでも局が言っているかのようで、DJやスタッフに失礼です。しかもニュース等を扱う生ワイド番組が休止というのは、番組を時計代わり等に用いるリスナーにも無礼ではないでしょうか。そして差替してまで放送するのが『村上RADIO』の再放送というのですから、『村上RADIO』がどれだけ推されているのか、逆に言えばそれ一辺倒なのかがよく分かります。ちなみに日曜18時台も昨日と来週が休止となり、9月1日の放送は昨日放送の『村上RADIO』の再放送というのですから驚かされます。

ディズニーファンが納得するのかは不明です。

 

このように、TOKYO FM聴取率を主な目的に『村上RADIO』を強く推しはじめたことで地方局にも、そしてレギュラー番組を持つ方にもしわ寄せが来ている事態に、弊ブログで度々指摘しているニッポン放送と同様の姿勢を感じ、TOKYO FMに対し強い不信感を抱いています。

 

不信感といえば。TOKYO FMでは先日、不適切な会計処理について発表していました。

問題はまだ途中段階であり、『9月下旬をめどに過年度決算を修正する』とのこと(『』内は上記記事より)。であれば、経過状況はきちんとホームページで報告するのが好いと思うのです。しかし。

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現段階でTOKYO FMのトップページにはこの問題に関する情報が一切掲載されていないようです。

何も堂々と大きく貼れと言っているのではなく、そのほうが好いと捉えているのですが…こういうところから、地方局にも制作側にもリスナーにも厳しいTOKYO FMの”局の一部には甘い”という姿勢が見えてくるようで、非常に残念に思います。

問題の解決は勿論のこと、”推し”を一度聴取率調査週間から手放さない限り、TOKYO FMの姿勢は改善しないかもしれません。

森口博子『GUNDAM SONG COVERS』、レンタル未導入の店舗の多さを憂う

流行に追いつけていない店舗に対しては言葉は悪いものの見限れば好いのかもしれませんが、それがチェーン全体でならば大きな問題でしょう。

 

今月7日に発売された森口博子さんのアルバム『GUNDAM SONG COVERS』は、テレビ番組の企画によるガンダム関連曲の人気投票により選ばれた、自身の楽曲を含むトップ10全てを収録した(セルフ)カバー集。8月19日付ビルボードジャパンアルバムチャートで5位、同日付オリコンアルバムランキングで3位に初登場を果たしています。

オリコンでは、トップ10入りインターバルで女性歌手最長記録となりました。

カバー集から先行公開となった、バイオリニストの寺井尚子さんをフィーチャーした「水の星へ愛をこめて」は7月13日にミュージックビデオが公開され、現段階で110万を超える再生回数を記録。

インストアイベントやラジオでのライブも好評で、自分も拝聴した『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)ではMCの巧さもさることながら、原曲キーを維持するどころか歌唱も説得力もさらに深まった彼女のパフォーマンスに魅了されました。

聴いた方が口々に彼女の素晴らしさを讃えているのですが、レコード会社等の予想を超える評判となりCDはバックオーダーが多数(その枚数は1万以上とも聞こえきます)。ゆえに、たとえばAmazonでの次回入荷予定は9月以降。それまで待てないという方はデジタルで…と思うでしょうがしかし、アルバムは全体でのダウンロードおよびストリーミング解禁が成されていません。

3曲が先行で解禁されていたのですが、全容を知るにはCDを聴くしかありません(個人的にこの戦略については思うところがありますがここでは割愛)。とはいえ先述したように売切状態ならば、CDレンタルが最後の手段となります。そのレンタルは昨日解禁されたのですが…。

これはTSUTAYAアプリを調べて判った事実。同アプリで商品検索すると登録店舗の在庫状況が確認出来るのですが、自分の行きつけの店舗では在庫ありの[○]でも貸出中の[×]でもなく、商品が未導入であることを示す[ - ]が表示されます(この場合、”申し訳ありません。この商品は現在検索が出来ません。”と出てくるのですが、検索が出来ないという表現は貸出中と混同されかねないのでは。非常に紛らわしいですね)。その在庫照会場面で[在庫のある店舗を探す]を選択し地図上の店舗をタップすると、各店舗の在庫照会が出来るのですが、青森県で最も大きい店舗のひとつであるTSUTAYA青森中央店ですら未導入の状況であり、このように調べた結果青森県内は全滅と判明したわけです。さらに悪いことには、東北地区の旗艦店と銘打ったMORIOKA TSUTAYAですら未導入という事態。

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一方のGEOでもアプリによる登録店舗の在庫検索が可能。調べると、青森県内で最も信頼できるGEO青森柳川店に導入されていました。が、どうやら午前の段階で貸出中となった模様で、導入数が多くなかっただろうことが想定されます。それでも在庫があるだけまだマシだと思うのですが、少なくとも青森県のほぼ全ての店舗で導入されていない状況を強く憂います。

 

店舗側が商品を導入するか否かの判断をいつ行うかは解りかねますが、森口博子さんが今回アルバムを制作するきっかけとなった『発表!全ガンダム大投票』(2018 NHKBSプレミアム)がSNSを中心に大きな賑わいをみせたこと(5月5日はオルガ記念日! 「全ガンダム大投票」結果発表、いきまーす! MS部門1位はνガンダムに - ねとらぼ(2018年5月6日付)参照)を踏まえれば、セールスチャート上位登場はある程度予想出来たことでしょう。またアニメジャンルを厚くする店舗は少なくないわけで、ならば尚の事『GUNDAM SONG COVERS』を入れてもよかったはずです。ダウンロードとストリーミングをアルバム全体で解禁していない以上、レンタルのニーズが高まることは想定可能と言えます。

 

個人的には今回のヒット、およびNHKガンダムを大きく取り扱うことを踏まえれば、森口博子さんの『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)への復帰もあり得るかもしれません。仮にそうなれば尚更、自分の住む青森県や近隣県のTSUTAYAやGEOにおけるアルバム未導入は判断ミスが過ぎると思ってしまいます。前作の売れ行きにこだわりすぎたり、流行(の可能性)を探るリサーチ力不足も否めませんが、店舗やチェーンに元来リサーチしようとする気概がなかったのでは…というのは考えすぎでしょうか。仮にデータだけとにらめっこし、事務的に導入可否を決めるならばそれはやめていただきたいものです。

ニューアルバム『Lover』でこれまでにない姿勢を示すテイラー・スウィフト、そしてタイトル曲でソングスチャート頂点もあり得る?

昨日、テイラー・スウィフトのニューアルバム『Lover』が世界同時リリースとなりました。

そして嬉しいことに、『Lover』はテイラーにとって初のストリーミング同時解禁作品となるのです。

この同時解禁が、テイラー・スウィフトのこれまでにない姿勢を示しています。実はテイラー、ストリーミングに懐疑的な過去が。

歌手のテイラー・スウィフトは、6月30日にサービスを開始するAppleの定額制の音楽ストリーミング配信サービス「Apple Music」に自身の最新アルバム「1989」を配信しないと発表した。

(中略)

テイラーはこれまでも、音楽ストリーミング配信サービスの大手Sportifyからも、自身の作品を引き上げている。

テイラー・スウィフト、Apple Musicでもストリーミング配信拒否 Apple副社長の返答は? | ハフポスト(2015年6月22日付)より

各種ストリーミングサービスが無料トライアル期間を用意することで、その期間の再生分は歌手へ対価が支払われないのではと示唆したテイラー・スウィフトの思いは理解出来なくはないものの、問題が解決し2017年初夏にストリーミングを解禁したにもかかわらず同年リリースの『Reputation』においては、リリースと同時にストリーミングを解禁しませんでした。

『Reputation』は11月10日にCDとiTunes限定配信のみでリリースされていたが、その3週間後にようやくSpotifyApple Music、Tidalなどのストリーミングサービスでも配信が開始。

テイラー・スウィフトの『Reputation』、ついにストリーミング配信が解禁 | MTV Japan(2017年12月4日付)より

ストリーミング解禁を3週遅らせた『Reputation』はアメリカでの初週セールスが121.6万枚となり、『Speak Now』(2010)以降4作品連続で初週ミリオンを達成したのですが、この4作品連続との記録をみるに、ストリーミング未解禁はセールスの数字を伸ばしたい、初週ミリオンの記録を守りたい表れではと考える自分がいます。米ビルボードアルバムチャートはCDやダウンロードセールスに加え、ストリーミングのアルバム換算および単曲ダウンロードのアルバム換算も含めた”ユニット数”で決まるのですが。ちなみに『Reputation』初登場週のユニット数は123.8万であり、セールスからわずか2.2万しか増加していないのは寂しいと思うのです。

しかし今作『Lover』ではストリーミングを同時解禁。セールスの減少が予想されますが、テイラー・スウィフトのファンならば音源を確実に所有するのではないかと思われます。以前からのファンは年齢を重ね(たとえばカントリーからポップスへ移行していく『Red』(2012)からのファンならばファン歴が7年に)、アルバムにお金を出しやすくなったと想定されることに加え、テイラーの過去のストリーミングへの姿勢を踏まえれば購入したほうが応援になると考えているかもしれません。そして今回ストリーミングを同時解禁したことで、彼女のファンというわけではないものの曲等に興味はある”ライト層”が作品に触れやすくなり、ストリーミングのアルバム換算分が加わればセールスのみで初週ミリオンを突破出来なくともユニット数はミリオンを突破し、結果的には前作を超えるのではないかと思うのです。

 

『Lover』が再来年ではなく来年開催のグラミー賞、最優秀アルバム賞のノミネート対象作品となるよう発売日を設定した点も、テイラー・スウィフトのこれまでにない姿勢のひとつ。

しかもこれまでオリジナルアルバムは全て10~11月にリリースされた一方、先行曲は9月までに発表しています。これにより、先行曲とアルバムとで2年連続グラミー賞主要部門にノミネート(もしくは受賞)されやすい状況となっていました。今回はこれまでのスケジュールを採用しないということになります。

個人的には潔い判断だと思っています。無論、2021年開催のグラミー賞に向けて、対象期間内(今年9月以降)に『Lover』からシングルカットすれば2年連続の主要部門ノミネーションを狙えますが、今回は来年に向けての1点集中型。グラミー賞にノミネートされ、受賞に至れば尚の事、アルバムは少なくとも半年は注目を集め続けます。話題になるたびにストリーミングで聴かれるようになれば、たとえばドレイクやポスト・マローンの昨年のアルバムが1年以上米ビルボードアルバムチャートで上位にランクインしているのと同様の現象がテイラーにも起きるはずです。

 

これまでにない姿勢は他にも。アルバムのタイトル曲を、アルバムリリースのタイミングに合わせてシングル化してきました。これまでにも「Fearless」(2010)や「Red」(2013)といった例はありましたが、アルバムの発売と同時にミュージックビデオを投入した例は今回が初。

ちょうど1週間前には同曲のリリックビデオを公開して空気を温めていたわけですが(→YouTube)、これは実に上手い試みと言えます。アルバムタイトル曲、それも一単語で入力しやすい曲を用意することで、ファンが歌手名と曲名とをツイートすればそれがアルバムプロモーションにもなるわけです(逆に歌手名とアルバムタイトルとをツイートすれば、楽曲プロモーションにも)。両方がツイートされるとTwitter指標が加算されるビルボードジャパンのソングスチャートとは異なりアメリカのソングスチャートではTwitter指標はありませんが、SNSでアルバム/楽曲名が広く知れ渡っていくことは間違いないでしょう…と書いてみて、星野源『POP VIRUS』(2018)と「Pop Virus」を思い出した次第。

「Pop Virus」のミュージックビデオはアルバムリリースの1週間前に公開されており若干のタイムラグはありますが、やはり展開は似ていますね。

テイラー・スウィフトの場合、「Lover」の音源をアルバムリリースの1週間前に公開したことで、火がつきにくいラジオエアプレイを少しずつ温めていく作戦に出たと考えていいでしょう。そしてアルバムリリースのタイミングでミュージックビデオを公開し、アルバムをストリーミング同時解禁することで、再来週発表の9月7日付米ビルボードソングスチャート(集計期間はストリーミングおよびダウンロードが8月23~29日、ラジオエアプレイが8月26日~9月1日)においてストリーミングが大きく伸びることが予想され、またラジオエアプレイも50位以内に登場する可能性があります。最新8月24日付ではビリー・アイリッシュ「Bad Guy」が初制覇しながらもチャート構成指標群の数字がとりわけ高いわけではないことを踏まえれば、テイラーが「Lover」を同名アルバムから初の首位に据えようとしているのではと考えますし、また出来なくはないかもしれません。しかも、集計期間内の8月26日に開催されるMTVビデオ・ミュージック・アワードのオープニングを務めることも発表しており、とりわけメディアでのパフォーマンスと相性の良いストリーミングが加速する可能性もあります。

 

テイラー・スウィフトが『Lover』で採ったこれまでにない姿勢はいずれも、ストリーミングを味方にすることがベースにあるといっていいでしょう。果たしてそれが功を奏するのか、再来週発表の米ビルボードチャートに注目しましょう。

最新8月26日付ビルボードジャパンソングスチャートでFoorin「パプリカ」が最高ポイントを更新、その原動力は

米津玄師「馬と鹿」がダウンロード配信に伴い最新8月26日付ビルボードジャパンソングスチャートで2位にジャンプアップ。その影響で旧譜も上昇していることは昨日お伝えした通りです。

その前週にはミュージックビデオ効果で米津玄師さんのセルフカバーによる「パプリカ」がチャートインし、2週続けてソングスチャート18位に登場しています。

実はこのタイミングで、オリジナルのFoorinバージョンが2週続けて最高ポイントを更新しています。2週前、8月12日付でも前週比105.6%と伸びていたのですが、8月19日付で前週比114.2%の4138ポイント、そして最新週で前週比121.1%となる5011ポイントとなり、自身初の5千ポイント超えを達成しました。なお、これまでのポイント推移は下記に。

(ちなみに、上記ブログエントリーでの”同じ轍を踏まない”とは、Foorinバージョンの2種類の動画にソングスチャートを構成するひとつである動画再生指標の加算対象となるISRCが未付番であるゆえ、米津玄師さんバージョンではきちんと付番してほしいとの願いを込めての表現でした。米津さん版はきちんとカウント対象となった一方、Foorinバージョンは未だに一度として動画再生指標が加算されておらず、至極勿体無いと思います。詳しくはFoorin版「パプリカ」はビルボードジャパンソングスチャートで数万ポイントを逃した? ミュージックビデオをアップする際のISRC付番の重要性(8月10日付)をご参照ください。)

 

さて、今回のFoorinバージョン躍進の要因について。CHART insightで確認すると、ソングスチャート構成の8指標で大きく上昇したのはTwitterで、過去最高位となる37位を記録。そして個人的に注目したいのはラジオエアプレイの28位で、昨年8月27日付の16位以来となる高水準をマークしています。

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(Foorin「パプリカ」のCHART insightより、上記は総合ソングスチャートおよびチャート構成8指標を、下記は総合およびラジオエアプレイ(緑の折れ線)のみを抽出したもの。なおTwitterは水色、動画再生は赤で示されます。)

先述した昨年8月27日付で総合チャート100位以内に入ったFoorin「パプリカ」は翌週以降100位圏外(300位以内)となり、本格的なブレイクは昨年大晦日の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)以降となるのですが、今年に入ってからもラジオエアプレイは他指標に比べて低水準となっていました。音源リリースに先駆けて上昇する一方、他指標に比べてランクダウンも速いというのがラジオエアプレイの特徴なのですが、それがここに来て急上昇しています。

一方、米津玄師さんバージョンの「パプリカ」のCHART insightをみると、チャートを構成するのは動画再生とTwitterの2指標のみ。ラジオエアプレイは加算されていません。

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おそらくはラジオエアプレイ解禁前ということでしょう。これにより、【米津玄師さんバージョンの「パプリカ」へのリクエストが寄せられる→解禁前のためOA出来ない→FoorinバージョンをOAして対応する】…ゆえにFoorin版がラジオエアプレイ指標で再浮上したと想像出来るのですが、いかがでしょう。

 

新曲等の解禁で過去曲や関連曲へ注目が集まるのはよくみられることですが、とはいえ今回の米津玄師さんバージョンの登場でFoorinバージョンが最高ポイントを更新する事態をみるに、米津玄師さんが如何に影響力を持っているかを強く実感させられます。