イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米アダルトR&Bソングスチャート、オリエンタルな2曲が初登場

(※追記(8月13日):bmrがEvvie McKinneyについて情報を掲載、その際”エヴィ・マッキニー”と表記していたことから、当エントリーの表記を訂正ました。)

 

最新8月11日付、米ビルボードアダルトR&Bソングスチャート。27~30位が初登場で占められていますのでご紹介。

・27位 ショーン・ストックマン「Feelin Lil Som'n」

・28位 エヴィ・マッキニー「How Do You Feel」

(※ビルボードでは「How Does It Feel」と表記されていますが正確には「How Do You Feel」と思われます。)

・29位 ジョージャ・スミス「February 3rd」

(※bmr表記ではジョージャ。日本のレーベルではジョルジャと表記。)

・30位 ボビー・V「Love Me Slow」

ドレイクのプレイリスト『More Life』にフックアップされたことで注目を集めるジョージャ・スミス、今年始まったアメリカのオーディション番組『ザ・フォー:バトル・オブ・スターダム』のシーズン1を制したエヴィ・マッキニーのオリジナル曲が登場する中、面白いのはボーイズIIメンのメンバー、ショーン・ストックマンがボビー・V(ボビー・ヴァレンティノ)よりボビー・Vな音を鳴らしているという点。

最新作『Electrik』(2018)収録曲と、ファーストアルバム『Bobby Valentino』(2005)からの先行曲で米ソングスチャート8位を記録した大ヒット曲に共通するこのオリエンタルなムードは、(好き過ぎて幾度となくブログに記載しているのですが)プロデューサーチームのティム&ボブによる仕事。最新作『Electrik』はティムことティム・ケリーがほぼ全編を手掛けています。

そして上記bmrの記事にはショーン・ストックマンの名が載っているのですが。

Feelin Lil Som'n - Single

Feelin Lil Som'n - Single

  • ショーン・ストックマン
  • R&B/ソウル
  • ¥200

r&b SOUrCEで新曲紹介記事が出た直後に発売された音源をチェックすると"SoNo Recording Group"のクレジットが。bmrで書かれていた通りショーン・ストックマンがレーベルと契約し、アルバム制作が進行していることが分かります。そして「Feelin Lil Som'n」のプロデューサーは不明ながら、このオリエンタルなムードはティム・ケリー作と言い切っていいでしょう。

もしかしたらティム・ケリー(およびSono Recording Group)は今年、ボビー・Vそしてショーン・ストックマンを介して、オリエンタルなR&Bを復活させようとしているのかもしれません。今年出るとみられるショーンのアルバムが楽しみです。

米ソングスチャート、ドレイク「In My Feelings」が次週ストリーミング最高記録を更新する予感

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の8月6日月曜に発表された、8月11日付最新チャート。ドレイク「In My Feelings」が4週連続の首位を獲得、DJキャレドの新曲が5位に初登場を果たしました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

 

ドレイクの強さは変わらず。

ダンス・チャレンジムーブメントによりストリーミング過去最高の数値を叩き出した「In My Feelings」。未だムーブメントは途絶えることなく、今週もストリーミングは9540万という歴代6位の記録を叩き出しました(同指標首位)。前週より10%ダウンしているとはいえ、上記ミュージックビデオが先週末に公開されたこと(で次週のチャートに再生回数が反映されること)、またビデオにはこれまで"#InMyFeelingsChallenge"に投稿された作品も登場することから、次週のチャートではもしかしたら歴代最高記録を更新するかもしれません。他指標でも、デジタルダウンロードは前週比30%ダウンながら72000という高い数値で4週目の首位に、そしてラジオエアプレイは前週比18%大幅アップとなる9570万で同指標3位。3指標、ほぼ完璧な数値でトップをキープしています。

ラジオエアプレイトップはマルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」で、前週から7%アップし1億2370万を記録...しかし総合では1ランクダウンの4位に。これは前週初登場を果たしたシックスナイン feat. ニッキー・ミナージュ「FeFe」が強いゆえ。

ストリーミングは前週比44%もの大幅アップで6580万という高水準に達しています。デジタルダウンロードも同4%アップしており、高位置で初登場しながら翌週には大幅ダウン...というありがちなパターンとは真逆の結果に。ラジオエアプレイがついてくればロングエントリーもありそうです。

5位に初登場を果たしたのが、DJキャレド feat. ジャスティン・ビーバー、チャンス・ザ・ラッパー、クエヴォによる「No Brainer」。

7月27日にリリースされた同曲はデジタルダウンロード2位(それでも41000ですから、ドレイク「In My Feelings」が如何に強いかが分かります)、ストリーミング5位(2980万)、ラジオエアプレイ28位(3580万)でのスタート。ラジオエアプレイが高めな印象を受けます。DJキャレドにとっては4曲目のトップ10入りですが、ジャスティン・ビーバーにとっては14曲目。さらにジャスティンは100位以内に70曲目となるエントリーを果たし、60年のチャート歴史上15組目となる70曲以上エントリーの快挙を達成しました。同じく客演したチャンス・ザ・ラッパーは2曲目、そしてクエヴォは5曲目のトップ10入り。9位にランクインしているタイガ「Taste」に客演しているオフセットも、クエヴォと同じミーゴスの一員であり、同じグループのメンバーがソロでそれぞれトップ10入りしているののはかなり珍しいことです。

 

もうすぐトップ10はこちら。

・カリード feat. ノーマーニ「Love Lies」(18→15位)

以前も紹介している曲ですが、ラジオエアプレイでは遂にトップ10入り(12→10位 前週比9%アップの6660万)。こういう曲が上がってくること、そしてエラ・メイ「Boo'd Up」がトップ10内にキープしていることを踏まえれば、この言葉には説得力がありますね。頼もしいです。

 

ニュースは"番宣の手段"なのか?

昨日、自分がスタッフの一員を担当するラジオ番組が終わり車に乗り込むと、エフエム青森で『JFNニュース』(別の局においてはその局名を冠したニュースの番組名になっているかもしれません)がOAされていました。しかしその18時台最後のニュースでの、最後に報じられた内容が強い違和感だったのです。

作家の村上春樹さんがはじめてDJ(ディスクジョッキー)を務めるラジオ番組が、今日TOKYO FMなどJFN全国38局で放送されます。番組のテーマは"走ることと音楽"で、年に1回はフルマラソンを走るという村上さんが、普段ジョギングの際に携帯音楽プレーヤーで聴いている曲などを紹介します。番組は一部地域を除いて、この後7時からの放送です。

JFNニュース(8月6日 18時55分放送分)より

今回報じられたのは5項目。山形等の豪雨や酷暑、台風といった天候に関する報道、西日本豪雨仮設住宅の件、米の中国への追加関税について、高校野球結果速報、そして最後に『村上RADIO』の番組宣伝が。

首都圏ラジオ局が昨日まで聴取率調査週間であったことからこの企画を目玉に据えたかったというTOKYO FM側の思いもあったでしょうし、地方局においても村上春樹さんが初のラジオ挑戦というのは訴求要素があると考えていたはずです。とはいえ、ニュースに宣伝を紛れ込ませることは絶対に違うというのが私見。ニュースとはこれまでに発生した出来事を伝えることですし、山形等東北各地で豪雨が発生し万一の事態が想定されるならばその報道の尺を拡げるほうがはるかに有意義でしょう。そしてそもそもニュースは宣伝の場ではありません。

これはNHKがニュースに『NHKスペシャル』の番宣を刷り込ませた例(なお、当時のNHKニュースのリンク先は消えていますので本日付で補足しております)。これはこれで問題ながら刷り込みというパターンであり、一方で今回のラジオニュースはあまりに堂々と番宣を行っていて唖然。自分がひねくれた人間なのかもしれませんが、その後放送される『村上RADIO』を前に、ラジオを切ってしまいました。radikoで後追い出来ると思ったのもありますが、興味が一気に薄れたのは事実です。

宣伝するならCM等で堂々とやっていただきたいものです。自然災害が最悪発生しかねない状況が想定出来るならばそこに十分な尺を割き、念には念を入れた呼びかけを行ったほうが好いはず。ニュースに番宣は強い違和感でしかありません。

 

なお『村上RADIO』は、エフエム青森でも19時からOAされたはずですが、radikoではこのように表示されます。

RHYMESTERDJ JINさんとDJ HERIさんによるJoint&Jamの画像で村上春樹さんの声...というのは違和感ですね。ちなみに、8月改編?TOKYO FMはどうなる(7月29日付)で記載した木村拓哉さん新番組や、前番組の後番組(『コエチャン!』)についてもエフエム青森では現段階でタイムテーブルに記載して(更新されて)おらず、その点においても不親切さを感じて仕方ありません。ほんの少しだけでも、リスナーやユーザーへの気配りが出来ていればこのような問題は解消されたのではないでしょうか。

新人ゴスペル歌手コリン・ホーソーン、米ゴスペルチャートで驚異的な記録を更新中

日本時間の先週火曜日に発表された、最新8月4日付米ビルボードゴスペルソングスチャート。新人コリン・ホーソーンによる「Won't He Do It」が9週連続、通算20週目の首位を獲得しています。

実はこの曲、既に昨年8月にリリースされたデビューEPに(上記リミックス版が)収録されています。また、日本ではNetflixのオリジナル作品として配信されている『グリーンリーフ シーズン2』(2017)のサウンドトラックにはオリジナル版、およびドラマに出演するロション・フェガンとの共演版が収録されています。

リミックス版はその後、毎年1月リリースの『WOW Gospel』最新作にも収録。

アメリカではドラマが『第一話は300万人超の視聴者を数え、オプラ・ウィンフリー主宰のTV局OWNで、当時最高の視聴者数を叩き出した』(グリーンリーフ | Netflix (ネットフリックス) 公式サイトより)こともあってか、「Won't He Do It」が3月3日付のゴスペルソングスチャートで初の頂点に。その後最新週に至るまで、都合3週分の陥落はあれど2度のカムバックを果たし、現在に至るまで通算20週首位に立っているという状況です。

 

コリン・ホーソーンは現在20歳。"米オーディション番組『The Voice』シーズン8で4位に入った"という経歴を、実は以前このブログに書き残しています。

プレデビュー、そして本格デビュー時にサウンドトラック参加というお墨付きを受けたコリン。「Won't He Do It」の通算20週という首位は、女性歌手では歴代3位となりました(最上位2曲は共にタメラ・マンによる「Take Me To The King」(25週)、「Change Me」(23週))。歴代最高となるマーヴィン・サップ「Never Would Have Made It」の46週にはまだまだ及びませんが、デビューヒットがここまでの記録になるというのは素晴らしいことです。

とはいえ、この曲はまだまだ伸びる可能性があります。先月コリン・ホーソーンがフルアルバム『Unstoppable』をリリースしており、7月28日付ゴスペルアルバムチャートを制しています(最新週は2位)。この後押しもあって「Won't He Do It」が未だに赤丸を続けていること、またライバル曲が見当たらないことからこの勢いはしばらく続くかもしれません。

『Unstoppable』にはR&B界でも活躍する制作陣、ウォーリン・キャンベルやトロイ・テイラー、ジョンテイ・オースティン等が参加(ちなみにジョンテイは先に引用したブログ記事で紹介したサントラ、『Saints & Sinners』のタイトル曲のソングライターにクレジット。プロデュースは同じくR&B畑のポロウ・ダ・ドン)。また「Won't He Do It」のソングライターのひとり、マケバ・リディックビヨンセ「Déjà Vu」(2007)やリアーナ「Rude Boy」(2009)、テイマー・ブラクストンの復帰作「Love And War」(2012)などに関わっており、ゴスペルのみならずR&Bファンからも人気を集めていると言えそう。そういう意味でもコリン・ホーソーン、覚えていて損はない名前だと思いますよ。

明日のラジオにちなんだR&B"涼"曲集

暑い日が続きます。そして青森県は祭り三昧...どこかしらで体力を温存しないと大変です。

明日のラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時 サイマル放送で全国どこからでも聴取可能)の音楽特集は【イッツクール納涼祭】。スタッフオススメの"聴いて涼しくなる"曲をお送りします(ですので今回はリクエストはお受けしません、ご了承ください)。放送終了後に弘前ねぷた運行がはじまるため、せめてラジオの時間だけでもクールダウンを...と考えております。

で、自分も選曲考えているのですが、一応決まったものの悩みに悩みまして...この1週間ほど、R&Bで適度なクールネスを湛えた曲はないかと考えを巡らせていました。

アメリカでは今もエラ・メイ「Boo'd Up」が流行り続けているのですが、まさにこういうエレガントで、クールな感じながらも熱を内包した曲が自分にとってストライクだったり。新曲もこの傾向で嬉しいですね。

そこで、新旧R&Bで似たテイストの(と個人的に考える)楽曲を羅列してみます。聴いて涼しさを得られたならば幸いです。

 

 

・ジャネイ「Crush」(1997)

・マックスウェル「Lake By The Ocean」(2016)

・エンジェル・グラント「Lil' Red Boat」(1998)

・ユナ feat. アッシャー「Crush」(2016)

・ユーナム feat. ティム・オーウェンズ「Give Me The Night」(2012)

最後はジョージ・ベンソンのカバーで。年代関係なく載せてみましたがいかがでしょうか。

 

というわけで明日はよろしくお願いします。ちなみに明日の最高気温は23度の予報...まさか企画に相応しくない天候になろうとは...。

米ビルボードソングスチャート開始60周年記念、オールタイムベストソングスチャート公開

アメリカのビルボード、ソングスチャート"Hot100"が初めて登場したのが1958年8月4日付のこと。あれから60年の節目を迎え、日本時間の今日未明、ビルボードは60年間のオールタイムベスト600曲を公開しました。

上位100曲には解説も施されているほか、年代やジャンル、男女もしくはグループというフィルターをかけてチャートを見ることも出来るので便利です。

 

面白いのは、ドレイクが現在あれだけ人気ながらその最高位は「One Dance」の141位。先日フジロックフェスティバルに登場したポスト・マローンによる、トゥエニーワン・サヴェジとの「Rockstar」が88位となっていて、同じく1位を獲った作品でもこうも違うのかと驚かされます。

また、この中には週間チャートを制することの出来なかった曲も存在。リアン・ライムス「How Do I Live」は週間チャート最高2位どまりながら、オールタイムチャートでは5位を記録。この"週間チャート首位は逃しながらオールタイムチャートに登場する楽曲ランキング"も別途用意されており、かゆいところに手が届くようになっています。

 

ソングスチャート"Hot100"登場60周年記念サイトはこちら。もしくはTwitterで"#hot100turns60"と検索してみてください。懐かしい曲に出逢えたり、新たな発見が得られることでしょう。

DA PUMP、「U.S.A.」が過去最大のポイント数獲得&代表曲ランクイン

最新8月6日付のビルボードジャパンソングスチャート、嵐「夏疾風」が首位に立ちました。

他方、こちらでほぼ毎週追いかけているDA PUMP「U.S.A.」は1ランクダウンの3位。しかし『ストリーミングと動画再生では1位を守り続け』(上記リンク先の記事より、最高得点を叩き出しました。

日付 総合順位 総合ポイント

 各指標順位(ダウンロード/ストリーミング/シングルCDセールス/ルックアップ)

6/18 3位 7554ポイント 2位/10位/10位/30位

6/25 5位 6551ポイント 5位/1位/19位/18位

7/  2 3位 6236ポイント 3位/2位/29位/14位

7/  9 4位 7243ポイント 2位/1位/23位/7位

7/16 2位 8033ポイント 2位/1位/15位/5位

7/23 2位 8090ポイント 1位/1位/27位/4位

7/30 2位 8371ポイント 1位/1位/20位/5位

8/  6 3位 9923ポイント 3位/1位/22位/4位 ←New

ここにきての急激な伸びは、先週月曜からの1週間に2つ、夜放送の音楽番組に出演したことが大きいと言えるでしょう。

こちらはオリコンの記事。『SONGS』(NHK総合 7月28日放送分に出演)登場効果について触れています。『2018 FNSうたの夏まつり』(フジテレビ 7月25日放送)に次ぐ出演でニーズがさらに高まったと思われますが、YouTube再生回数は前週比2.8%のアップにとどまっていることから、各指標が総合的に上昇したといえるかもしれません。

(余談ですが、オリコンは近日中にチャートポリシーを変更する模様ですが、その前触れでしょうか、デジタルダウンロードや今回紹介したYouTubeチャートも積極的に紹介し始めており、チャートの複合指標化を着々と進めている印象があります。)

そして、DA PUMP出演効果は他にも。オリコンYouTube記事では『「週間楽曲ランキング」では2000年発表のヒット曲、「if...」も20位まで浮上した』とありますが、『SONGS』での披露等が功を奏してか、ビルボードジャパンソングスチャートで82位にランクインしています。尤も前週は67位に初登場していたためランクダウンしてはいるのですが、過去の楽曲にスポットライトが当たる状況は、今のDA PUMPへの注目の高さを示していますね。

上記をはじめ、6月に過去のミュージックビデオが一斉解禁。

現体制となったDA PUMPが過去の4人体制も堂々と示すことで、たとえば今のメディアが過去の在籍者をなかったことのようにするような措置(モザイクや不自然なカメラワーク等)を採ったり、または市井が過去を茶化すような悪しき風潮が如何に愚かであるか、DA PUMPが如何に今を走っているのか、これらを表しているかのようで格好いいと思うのです。そしてこの一挙公開が下地となり、テレビでのパフォーマンスを見て生まれたニーズに応えることに成功、YouTubeのみならず複合指標のチャートにも入ってきているわけですから、チャートアクション的にもそしてマーケティング面でもお見事と言うよりほかありません。

 

今週は音楽番組でのテレビ出演はなさそうですが、月曜にはバラエティ番組に出演(『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ))。音楽番組からバラエティ番組に出演をシフトしていくことで、さらに認知度が高まっていきそうです。総合ポイント数がどう推移するかは分かりかねますが、先週のブログでの『1万ポイントを超えるのは厳しいかも』という自分の予想をいい意味で裏切ったこともあり、今後ますます推移を追いかけていきたいと思っています。