イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

邦楽ベストアルバムについての”4つのお願い”

一昨日紹介した安全地帯ならびに玉置浩二さんのベストアルバムは2枚組でしたが、2010年代に入ってからは”2枚組以上の” ”オールタイムベストアルバム”が目立っているように思います。たとえば、ビルボードジャパンによる2013年の年間アルバムチャートをみると10作品中6つがベスト盤、しかも全て2枚組以上の作品。FUNKY MONKEY BABYSのように活動の集大成という意味での最終ベストもありますが、たとえば松任谷由実さんのように今後も活動を続ける方がオールタイムベストをリリースするとなると、”またどこかのタイミングで集大成ベストを出すのでは?”と勘ぐる自分もいることはいます。とはいえ、ベストアルバムは特にその歌手の総集編もしくは入門編として、またカラオケの必須アイテムとしても人気となっていることは間違いありません。

 

 

さて、個人的になのですが、このベストアルバムについて歌手、そして(主に)レコード会社に対してお願いしたいことがあり、私見と銘打った上で以下に記載させていただきます。要望というか、問題点の解消です。

 

① ”2作品同時にリリース”という、買い手の負担が増す販売手法をやめてほしい

これは通常盤と豪華盤のように、同梱されるDVDやブルーレイの有無が差となっているものは指しません。CDの内容自体がどちらも一緒ならば1作品と定義した上で記載します。

たとえば最近ではAimerが『blanc』と『noir』の2作品を同時リリースしました。共にDVD同梱版を購入した場合、店舗での割引がなければ7,160円(税込)となります。また、先述した2013年のビルボードジャパン年間アルバムチャートを例に取ると、B'z(3位・4位)、西野カナ(11位・13位)、BUMP OF CHICKEN(15位・18位)、YUI(30位・31位)、JUJU(51位・56位)のベストアルバム各2作品がいずれも同時リリース(以上敬称略)。個人的にはソニー系によくある手法だとは思っており、特にL'Arc~en~Cielは2003年に3作品、2011年にも3作品発売しています。当時はまだあまりオールタイムベストという概念がなかったかもしれませんし特に2003年頃はCDが売れていた時代だったかもしれませんが、それでも買い手の負担はかなりのものだったでしょう。こういうレコード会社の販売手法に萎え、いずれ近い将来にオールタイムベストが出るとして買い控えを起こす人、もしくは負担が強すぎて買い渋る人が出るだろうことは想像に難くありません。ならば、2枚組以上の収録枚数で1作品という形でのベストアルバム発売を切望します。その場合の価格設定は2枚組で高くても4千円台で収められるはずで買い手の負担が収まるどころか、レコード会社への違和感等マイナスイメージを払拭できる効果もあります。

 

② ベストアルバムにはオリジナルバージョンを収録してほしい

歌手にとって、大ヒット曲のリリース当初より今のほうが歌も上手くなりまたアレンジもより洗練出来るようになった...という自負はあるでしょう。そのためか、新バージョンを公開する歌手は少なくありません。また、その新バージョンをベストアルバムに収録する方もいらっしゃいます。

とはいえ、買い手にとっては、その曲のオリジナルバージョンを聴くことで、その曲が流行っていた時期の自分自身を思い出したり出来るのです。曲はその時代の、そしてその時代を生きる自分自身の栞だと考えれば、オリジナルバージョンを収録してくださるほうが遥かにありがたいことなのです。

無論、レコード会社を移籍した等で以前の音源が使えないという状況は理解出来ます。とはいえリリース後数年経てば人々から移籍云々の記憶は薄れるものの、ベストアルバムの存在は(商品という形あるものですから)頑然なまでに残ります。そうすればなぜオリジナルバージョンじゃないのかという疑問が再燃することだってあり得るのです。レコード会社云々の実情を失念した(もしくはそもそも知らずに買った)人にとって、その不満の対象は歌手になってしまうのです。

 

③ ベストアルバムは曲目をきちんと網羅してほしい

これは一昨日書いた玉置浩二さんのベストアルバムにおける堀田家BAND「サヨナラ☆ありがとう」に顕著で、言い換えるならば”ベストアルバムとしての立ち位置がブレている”ということ。特に、以前記載した少年隊の件がとりわけその問題を明確にしています。

唯一のベストアルバム『BEST OF 少年隊』においては「仮面舞踏会」が新録等という②の問題も孕んでいます。尤も、少年隊が所属するジャニーズ事務所において定期的にベストアルバムをリリースしている歌手が少ないというそもそもの問題もありますが、とはいえこれはファンにとっても失礼な行為ではないかと。

ちなみにベストアルバムの選曲基準においては、シングル(およびそのカップリング)コレクション、ファン投票重視、歌手側のこだわり...と様々あり、それについてはどれも間違いではないと考えます。ただ、仮に投票やこだわりによって収録から漏れたシングル曲があるのならば、別途シングル曲のみでまとめた盤をボーナスディスクとして用意していただきたいものです(これはラジオ番組で選曲を担当する立場としての意見でもあります)。

 

④ ベストアルバムのタイミングに合わせて、オリジナルアルバムを廉価盤でリリースしてほしい

冒頭で触れたように、ベストアルバムはその歌手の総集編でありながら、一方で入門編という役割も果たします。ベストアルバムに漏れた曲でいい曲があるというということも多々。ならばベストアルバムを機にオリジナルアルバムを掘り始める人も少なくないはずです。しかし今、ベストアルバムのリリースタイミングでオリジナルアルバムを復刻させるという動きが妙に少ない気がするのは気のせいでしょうか。いや、仮にあったとして、高音質CDという付加価値をつけることで旧作が新作と変わらぬ価格で再発されることのほうが目立つ気がします。

しかしそれではちょっと高すぎやしないかと思うのです。たとえば山下達郎さんは『OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜』をリリースした翌年、『MELODIES』および『SEASON'S GREETINGS』を再発していますが、『リマスタリングされているほか、ボーナストラックや本人による詳細なライナーも』用意されており実に手が込んでいるので再発自体も納得ですし、それでいてどちらも2,376円(税込)という価格設定はあまりに良心的だといえます(『』内は山下達郎20&30年前の名作リマスター+ボーナス付きで再発 - 音楽ナタリー(2013年7月2日付)より)。しかしながらそのような例は他にはあまり見られないのが実情。今なら配信で探すという手段もありますが、歌手によっては配信に未参加もしくはラインナップが不十分ということも、日本では残念ながら少なくありません。

その一方で、海外の再発がどれだけ早く、そして安価なことでしょう。たとえば今月ニューアルバム『Witness』をリリースするケイティ・ペリーにおいては、大ブレイクのきっかけとなったアルバム『One Of The Boys』(2008)を来月12日に税込1,080円で発売、先週『Damn.』の国内盤が発売されたケンドリック・ラマーは、共にグラミー賞で最優秀アルバム賞にノミネートされた『good kid, m.A.A.d city』(2012)および『To Pimp a Butterfly』(2015)を、7月12日にいずれも税込1,080円で再発します(リンク先はいずれもHMV)。これは洋楽だから出来るんだとか、邦楽だとコストの関係で難しい...といわれればそれまでですが、それでも1500円前後で出来なくはないと思いますし、またベストアルバムや最新オリジナルアルバムのタイミングで過去のオリジナルアルバムの廉価版が登場すれば、過去作のついで買いという需要も喚起出来るはずです。オリジナルアルバムを欲しくても買えない、洋楽に比べて圧倒的に高いという事態は、入門者を次のステップに導かせることが出来ないという意味において機会損失ではないかと考えます。

 

 

 

厳しい物言いですが、目先の利益に執着して複数枚同時リリースを選択し価格を高騰させることは、レコード会社やCDのショップにとって短期的には有益でも、長い目で見ればファン離れすら起こしかねず、結果的にマイナスになる可能性があることは否めません。ベストアルバムはオリジナルバージョンを入れてきちんと曲目を網羅し、複数枚組にして価格を抑えること。買い手の手元に残った金銭をオリジナルアルバムの廉価版復刻分に回すように導くこと...今回紹介した4つの問題が解消され願いが叶うならば、邦楽はもっと社会に循環、浸透するようになるはずです。

『荻上チキ Session-22』の第54回ギャラクシー賞ラジオ部門大賞受賞を心から祝う

昨日贈賞式が開催された、第54回ギャラクシー賞。テレビ部門およびラジオ部門の大賞および優秀賞がこの日発表され、テレビ部門では『NHKスペシャル ”ある文民警察官の死~カンボジアPKO23年目の告白~”』(NHK総合 2016年8月13日放送)が、ラジオ部門では『荻上チキ Session-22』(TBSラジオ 月-金曜22時)が大賞を受賞しました。テレビ部門の大賞は、下記サイトを経由してNHKオンデマンドで有料配信されています。

また、『荻上チキ Session-22』の受賞回となったのは、2017年1月17日放送、【薬物報道ガイドラインを作ろう!】の回。これは聴き手ながら個人的にも思い入れが強く、特にこのガイドライン作成が必要な理由を、(ガイドライン自体は薬物依存に苦しむ方を救うための側面が勿論強いですが、個人的には)現行報道番組の問題に照らし合わせて紹介させていただきました。

自分が現行の報道番組全般に感じる問題について、ストレートニュース以外のほとんどの報道番組と『荻上チキ Session-22』(番組ハッシュタグは #ss954 )との差を昨夜ツイートしました。

昨日のギャラクシー賞受賞報道については、現段階で確認出来る限りオリコンしかありません(ので、これもまた、薬物報道ガイドラインを報じたくない等の姿勢なのか?と邪推してしまうのです)が、この受賞がタイトル通りの”一石”となることを願うばかりです。薬物依存者を救うための薬物報道における一石のみならず、すべての報道番組があらゆる報道を伝える際に冷静になるための布石として。

 

昨日の『荻上チキ Session-22』、オープニングでも授賞式の模様が取り上げられています。下記に当日の放送分の音声(およびページ内に受賞回【薬物報道ガイドラインを作ろう!】のリンク先)がありますので是非チェックしてください。添付された音声は、TBSラジオクラウドに無料登録すれば聴取可能ですので登録をお勧めします。また荻上チキさんと南部広美さんによる受賞コメント動画も掲載されています。

 

なお、各賞については下記オリコンニュースをご参照ください。

玉置浩二のオールタイムベストにあの名曲が収録されないという無念

今週、安全地帯と共に初のオールタイムベストアルバムをリリースした玉置浩二さん。下記の収録曲解説の充実っぷりもさることながら、『在籍したレーベルの垣根を越え』てリリースというのは実に嬉しい限り。『』内は下記特設サイトより。

5月30日付のオリコン、デイリーCDアルバムチャートでは7位発進という好スタートを切っています。これを機に玉置さんの魅力、特に業界内で”最も歌が上手い”と評されていることに、より多くの方が気付いて(もしくは再認識して)ほしいと願うばかりです。

 

さて...そんな流れを堰き止めるつもりはないのですが敢えて、アルバムに対する”唯一の不満”を書かせてください。

ひとつだけ、どうしてもひとつだけ入れて欲しかった曲があります。堀田家BANDとしてリリースされた「サヨナラ☆ありがとう」がその曲。歌詞は下記に。

2013年リリースのドラマ、『東京バンドワゴン 下町大家族物語』(日本テレビ系)の主題歌。離れ離れになっても笑顔で...という歌詞に、ゴスペル的なコーラスを効果的に配することで爽快感と前向きさが増すという、個人的に大好きな楽曲。作詞作曲を玉置さんが手掛け(また須藤晃さんが共同で作詞を担当)、ドラマに主演した亀梨和也さんと共に歌い上げています。セールスチャートで1位を獲得し、上記特設サイトの解説において「サヨナラ☆ありがとう」ならびに堀田家BANDの文言を確認することも出来ます。にもかかわらず、ドラマからはエンディングテーマの「サーチライト」のみ収録され、「サヨナラ☆ありがとう」が見送られてしまいました。

このタイミングでの疑問の提示はあたかもベストアルバムのマイナスプロモーションと捉えられかねませんが決してそのつもりはなく、むしろ現在、亀と山P「背中越しのチャンス」がチャートを制して間もない今、仮に玉置さんのベストに「サヨナラ☆ありがとう」が収録されていたならば、亀梨さんのファンが購入してくれる可能性だってあっただろうに...と思うのです。より多く売れるかもしれないチャンスがあったはずなのです。

 

この収録されなかった問題については、たとえば別名義や企画ユニットでの楽曲は収録しないという玉置さん側のポリシーがあったのかもしれません。しかし記憶が確かならば玉置さんが参加した企画ユニットはほとんどなく、あったとしてもたとえばUSED TO BE A CHILD(「僕らが生まれた あの日のように」(1993)をリリース)はチャリティーを目的としたグループのため、参加者のアルバムには再収録されていません。

となると、チャリティー特性のない堀田家BANDについては問題ないだろうと思ったのですが...もし収録しようと玉置さん側が動いたとして叶わなかったならば、おそらく理由はひとつ。ドラマのエンディングテーマだった「サーチライト」はソニー・ミュージックからの発売、一方「サヨナラ☆ありがとう」はジェイ・ストームから。後者はジャニーズ事務所所有のレーベルであり、それゆえ自由がきかなかったのでしょう。同事務所に関しては、仮に所有レーベルじゃなくとも所属タレントのベストアルバムが中途半端になってしまう(たとえば少年隊については少年隊のオールタイムベストを切望する(2016年1月14日付)で記載しました)傾向があり、またとりわけ企画物(トリオ・ザ・シャキーン「愛しのナポリタン」、トラジハイジ「ファンタスティポ」など)は参加メンバーが所属するグループのアルバムに再収録されません。ちなみに修二と彰青春アミーゴ」は後に山下智久さんのアルバム『SUPERGOOD, SUPERBAD』に収められますが、シングル発売から5年以上経過してからの収録であり、新鮮味が薄いように考えます。もしかしたらジャニーズ事務所側は、”企画物のシングルはシングルとして売りたい/基本的にアルバムへの再収録は考えない”、”事務所に所属していない方とのタッグの場合、さらに自由がききにくい”というスタンスを採っているのだと思うのですが如何でしょう。

 

 

仮に事務所側のスタンスを理解しようと努めても、しかしそれが名曲を埋もれさせかねないことに至っていると考えると、やはり勿体無いことだと思うのです。しかも昔と違いCD制作枚数が減り新品・中古盤共に手に入れにくい状況であるばかりか、同事務所に関してはデジタルダウンロードもほぼNGのため万事休すに近い状況なんですよね。スタンスをもっと柔らかくして玉置さんのベストアルバムに「サヨナラ☆ありがとう」が収録されたならば同アルバムにもより注目が高まるでしょうし、またジャニーズ事務所に好感を持つ方も少なからず増えると思うのです。いわゆるWin-Winの関係を逃したという意味でも、残念だなあと思ってしまいます。

米ソングスチャートは凪状態、そして再来週からフィフス・ハーモニー”4対1”の戦い?

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の5月29日月曜(日本時間の火曜早朝)が祝日だったため、翌日に発表された、6月10日付最新チャート。ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」が3週目の首位に立ち、磐石の布陣を築きつづあります。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

 

最初に謝罪を...先週は”波乱の次週...?”と予想したのですが、トップ10内の初登場はなし(1曲のみ再浮上)という状態でした。現地時間の5月21日(日本時間の22日)に開催された【2017 ビルボードミュージック・アワード】(以下BBMAs)の影響が色濃く反映されると思ったのですが予想が甘かったですね。反省です。

 

「Despacito」は全指標を大幅に伸ばしてきています。ストリーミングは前週比10%上昇し6540万回、デジタルダウンロードは前週比19&上昇し137000で両指標とも首位に。ラジオエアプレイでは順位こそ先週と変わらぬ7位でしたが、前週比21%もの大幅アップ。同部門で首位を獲得したブルーノ・マーズ「That's What I Like」(総合2位)は前週比5%ダウンとなり、「Despacito」の勢いがキープ出来れば、数週後にはラジオエアプレイ指標での首位交代もありそうです。

 

さて今週は新記録達成の報告が。

ビルボードの”中の人”のツイートの通り、エド・シーラン「Shape Of You」が【5位以内に初登場して以来、5位以内を連続してキープ】の新記録を達成しました。この20週という記録は前人未到で、エルトン・ジョン「Candle In The Wind / Something About The Way You Look」(1997-1998 16週)、マライア・キャリーボーイズIIメン「One Sweet Day」(1995-1996 17週)、ブラック・アイド・ピーズ「I Gotta Feeling」(2009 17週)、マルーン5 feat. ウィズ・カリファ「Payphone」(2012 17週)、ジャスティン・ビーバー「Sorry」(2015-2016 19週)を上回る記録に。「Shape Of You」は1月28日付で1位に初登場し、一度陥落するも再び首位に返り咲いて今に至っており、年間チャートでもトップ5入りすることはほぼ間違いないでしょう。

 

 

さて、BBMAsで披露された曲で目立った動きはというと。

・ジュリア・マイケルズ「Issues」(前週14→11位)

ユニバーサルミュージックバイオグラフィーこちら。先述したジャスティン・ビーバー「Sorry」(2015 全米1位)やセレーナ・ゴメス feat. エイサップ・ロッキー「Good For You」(2015 全米5位)、フィフス・ハーモニー feat. フェティ・ワップ「All In My Head (Flex)」(2016 全米24位)をはじめ、シャキーラリンキン・パークジョン・レジェンドグウェン・ステファニーブリトニー・スピアーズなどの中堅~ベテランの作品を書いてきた彼女。いよいよ満を持して自身の作品を...と思ったのですが実はこの曲、既に今年1月にリリースしているのです。ここにきてようやくブレイクしつつあり、そのタイミングでBBMAsに出演し最高位を更新という状況に。なお、イギリス版ヒットコンピレーション『Now 96』に収録されています。


・イマジン・ドラゴンズ「Believer」(前週20→15位)

「Radioactive」(2012 全米3位)、「Demons」(2013 全米6位)のヒットを持つロックバンド、イマジン・ドラゴンズ。来月23日にリリースするアルバム『Evolve』からの先行曲で既に米ビルボードロックソングスチャートを制覇しています。BBMAsでのパフォーマンスがアルバムの出足へのいい布石になるかもしれません。

 

 

他にも初登場等がある中で、個人的な注目はフィフス・ハーモニー対”元”フィフス・ハーモニーの争い。脱退したカミラ・カベロによる、単独名義では初のシングル「Crying In The Club」が47位に初登場。

一方、4人体制になったフィフス・ハーモニーの新曲「Down」が6月2日に解禁されるそう。金曜解禁とのことですから、デジタルダウンロードおよびストリーミングが1週間分丸々、再来週付のチャートに反映されます。

”女の戦い”だと焚き付けるつもりは個人的にはないのですが、タイミングがほぼ合致したとなればそういう見方をする人は少なくないかもしれませんね。

全ての川はジャズミン・サリヴァンへ流れる

自分の好きなものをつなげていくと、行き着くところはジャズミン・サリヴァンというR&Bシンガー/ソングライター…となる件についてつらつらと。

 

たとえば昨日のエントリー、"ダ・チーチーチー"について。まず最初にお礼を。まさか『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(TBSラジオ 土曜22時 以下”タマフル”)のTwitterアカウントで引用してくださるとは...本当に感謝の思いでいっぱいです、ありがとうございます!

5月20日放送のタマフル内、DJミックスコーナーにて、DJ JINさんがかけたうちの一曲がホセ・ジェイムス「Live Your Fantasy」。

この曲が収録されたアルバム、『Love In A Time Of Madness』(2017)には「Let It Fall」という曲もあり。そこでフィーチャーされているのはR&B/ゴスペルシンガーのマリ・ミュージック。

いよいよ今週末にリリースされるマリのアルバム、『The Transition Of Mali』からは「Gonna Be Alright」が先行シングルとしてリリースされ、上記で紹介しています。エントリー後、ミュージックビデオが正式に解禁。

次いでアルバムから先行で公開されたのが「Loved By You」という3連バラード。そして、そこに参加しているのがジャズミン・サリヴァン…という次第。

 

 

一方、先月アルバムをリリースしたのがメアリー・J・ブライジ。そのアルバム、『Strength Of A Woman』は好事家の間で大絶賛、自分も『Mary』(1999)以来、深く聴き込んでいるような気がします。音楽プロデューサーの松尾潔氏は自身のラジオ番組、『松尾潔のメロウな夜』(NHK-FM 最終週を除く月曜23時)にて『今年2017年を代表する女性R&Bのアルバムと言われるんじゃないでしょうか』と仰るほど(松尾潔 Mary J. Blige『U + Me (Love Lesson)』を語る - miyearnZZ Labo(5月27日付)より)。リンク先ではアルバムからのセカンドシングル「U + Me (Love Lesson)」について語っていますが、ファーストシングルで米ビルボードアダルトR&Bソングスチャートを制した「Thick Of It」には件のジャズミン・サリヴァンがソングライターに関与しているのです。ここでもジャズミンにたどり着いたということに。

『Strength Of A Woman』におけるジャズミン・サリヴァンの活躍は先行曲にとどまらず、「Set Me Free」「Glow Up (feat. クエヴォ、DJキャレド&ミッシー・エリオット)」「Thank You」の4曲に参加。いずれもDJ・キャンパーのプロデュース作となっています。アルバムの詳細はbmrをご参照ください。

 

そのbmr、タイトルに"ジャズミン・サリヴァン"と登場する記事も登場し、驚きました。

記事の主役であるナイアについてですが、彼女をバックアップするロビン・ハンニバルが所属するライやクァドロンについてはブログで触れていないものの、いずれも好きなグループであり、ならばナイアも間違いない!とアルバムを予約済。そのプロデューサーならびに歌手がジャズミン・サリヴァンと組んだというのですから、尚の事興奮せずにはいられません。

ナイア側はジャズミン・サリヴァンを指名した理由として『強くて、とんでもなく才能に溢れていて美しい女性』と挙げています(上記bmrの記事より)。

リリースタイミングが重なったとはいえ、4月のメアリー、5月のナイアそして6月のマリ...短期間でこれだけの曲に関わるのはとんでもないこと。特に同性から絶大なる支持を集めるメアリー・J・ブライジの作品に深く関与したとなると、ジャズミン・サリヴァンは女性のあらゆる側面を詞曲で紡ぐことが出来る方というお墨付きをメアリーから与えられたと言っても過言ではないでしょう。

 

 

ジャズミン・サリヴァンは2008年、シングル「Need U Bad」、アルバム『Fearless』でデビュー。これまで3枚のアルバムをリリースしており全ての作品を米ビルボードR&B/ヒップホップアルバムチャートのトップ5内に送り込むのみならず、好事家の高い支持を集め、デビューアルバムにてグラミー賞最優秀新人賞にもノミネート。総合ソングスチャートでのトップ40入りは「Need U Bad」およびセカンドシングル「Bust Your Windows」にとどまり、直近のアルバム『Reality Show』(2015)からは一曲も総合チャートで100位以内に入らなかったことから、ともすれば次作は…とネガティブに考えてしまったのですが、昨年大きな話題となったフランク・オーシャンのアルバム群(ビデオアルバムの『Endless』およびほぼ未フィジカル化の『Blonde』ではバックボーカルも含め5曲にフィーチャー(『Blonde』では、ジャズミンは「Solo」にてアディショナルボーカルを担当)。2016年の重要作における起用により注目を集めたことが先述した客演につながっているのではないかと考えれば、今後も数多あるR&Bアクトからのラブコールは必至ではないかと。客演、ソングライターとしての活躍も望みつつ、いつか出るであろう主演作にこそ、大きな注目が集まって欲しいものです。

”ダ・チーチーチー”関連作がベストセラーに! 再来月にはあの名作が廉価版で再登場

放送から1週間以上経過しても未だ自分の中で冷めやらないのが、5月21日放送『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(TBSラジオ 土曜22時 以下”タマフル”)の特集コーナー、【サタデーナイトラボ「ダ・チーチーチー is Back!みんな大好き<ダ・チーチーチー>特集 第2弾!by DJ JINMOBY feat.バーナード・パーディー」】なのです。

リンク先はradikoタイムフリーの音源ですが、放送から一週間以上が経過したため聴くことは出来ません(ですので番組の一部を聴く方法を下記に掲載します)。

番組の名誉プロデューサーによるこのツイートが何ら大袈裟ではないことは、この回の放送を聴けば絶対理解出来ると断言します。なんせ、ドラムの神様、バーナード・パーディー氏に対し、パーディー・シャッフルという奏法について尋ねたメディアは数あれど、パーディー・シャッフルに負けじと数多くの名曲で挿入される”ダ・チーチーチー”について聞いてきたというのはこの番組が最初なのですから。なおパーディー・シャッフルについてはこちらに。”ダ・チーチーチー”については以前このブログでも、タマフルでの特集第一弾をきっかけに取り上げました。

また、上記エントリーで引用した程ほど多く挿入されていないとしても、たとえば山下達郎「LOVE SPACE」(1977)では開始から1分20秒のところで件のフレーズが挿入されていますので、聴くとなるほどこれは”ダ・チーチーチー”だ、と解るはずです。

 

その”ダ・チーチーチー”の起源や、さらにはパーディー氏のドラムソロまで聴くことが出来た、5月21日放送回の放送後記は下記に。

リンク先には”ダ・チーチーチー”特集の音源もあります。TBSラジオCLOUDに無料登録すると一週間以上前の音源も聴取可能となりますので、登録することをお勧めします。

 

 

さて、この放送の反響は番組で言及された作品の売上にも反映されています。実に素晴らしいことです。

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”ダ・チーチーチー”がはじめて披露されたパーディー氏のアルバム、『Soul Drums』(1968)は昨日21時台の段階でHMVでベストセラーを記録。そして。 

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これまで演奏陣が不明だったアリス・クラークの名盤、『Alice Clark』(1971)のドラムも、DJ JINさんの質問によりパーディー氏本人と判明。この作品もベストセラーとなっているのです。間違いなくラジオの影響ですね。

 

『Alice Clark』の国内盤は今からほぼ10年前にPヴァインよリリース。解説や歌詞および対訳のほか、本人による各曲コメントも掲載されていますが、このアルバムが再来月、新たにウルトラ・ヴァイヴから発売されることもアナウンスされています。自分はこちらを予約した次第。

歌詞や対訳等が掲載されているかは不明ですが、90年代に再評価されたいわゆるフリーソウルの名盤がなんと1,000円プラス消費税で購入出来るのですから、買わない手はないと思いませんか。フリーソウルのコンピレーションに収録された曲を下記に掲載しますので、気になる方は是非、そして購入のご検討を。

この曲で”ダ・チーチーチー”が流れる度に味わえる多幸感たるや! 心の中で\ウェーーーイ!/ってしたくなりますね。

NHKネットラジオ【らじる★らじる】新サービス開始といくつかの不満

先週木曜、いよいよNHKネットラジオらじる★らじるが聴き逃しサービスを開始しました。新ポータルサイト誕生に合わせての開始となります。

らじる★らじるのホームページは下記に。”聴き逃し番組一覧へ”をクリックすると一部番組のタイムシフト聴取が可能です。

また、iOSAndroid版のアプリでも(更新することにより)聴き逃しサービスに対応しています。

 

 

と書いたところで、今回の新サービスについては正直不満が募っています。いや、タイムシフトサービスがはじまるのは正直なところ渇望していました。

エントリー記載時から半年ちょっとの時を経て、叶ったのは嬉しい限り...なのですが。

 

問題をいくつか述べるならば。

・新ポータルサイト、および聴き逃しサービスの開始アナウンスが不十分

たとえばらじるのTwitterアカウントでは5月14日に開始アナウンスがはじめて登場したのですが、19日まで一日一回のアナウンスのみ、20日から24日まではアナウンスどころかつぶやきすらなく、25日になって”生まれ変わったラジ~”とつぶやいています。これには『ごごラジ!』(NHKラジオ第一 月-金曜13時05分)を曜日パーソナリティと共に担当する神門アナウンサーが冗談半分で苦言(?)を。

ナカノヒトがいないとして、いや仮にbotだとしても、こういう新サービスを訴求しないのは公式アカウントとしてどうなのかと思います。

さらには、らじる★らじるのトップページを下にスクロールしないと開始したというアナウンスが見られないというのは、変化を気付かせにくいという点において機会損失ではないでしょうか。

 

radikoタイムフリーより優位性のある機能を紹介しきれていない

聴き逃しサービスを主とした”よくある御質問”はこちら。しかしこちらには大事なことが謳われていないように思います。

radikoは1番組(長時間番組ならば1分割分)につき再生から3時間が経つと聴取出来なくなります。らじる★らじるの聴き逃しサービスは1週間以内であれば何度でもというのですから、radikoに比べて大きな武器になるはずです。しかしこれが”よくある御質問”の中ではっきりと記載されていないのもまた機会損失かなと。もしかしたら『各音声には、公開期間が設定されています』(よくある御質問より)という文言の行間を読めば分かる、ということなのかもしれませんが...。

 

・聴き逃しサービス対応番組が少なすぎる

たとえば、本日午前8時前の段階での、5月27日放送分の聴き逃し番組一覧。3波もあってたったひとつ、なのです。

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さらにNHK-FM分でみると、新着といいながら10番組分。2番組分の空きスペースがあります。

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『ゆうがたパラダイス』(NHK-FM 月-木曜16時40分)ははんにゃ・金田哲さんと欅坂46のメンバーが担当する月曜と、三森すずこさんが担当する火曜が聴き逃しサービス未対応。またサービス開始直後に確認したのですが『らじらー!』(NHKラジオ第一 土曜・日曜20時05分)はオリエンタルラジオ等が担当する日曜版は聴き逃しサービスに対応しているものの、ジャニーズ事務所のメンバーが登場する土曜版は未対応でした。『らじらー!』については今後も同様の措置が採られるものと思われます。

つまりは、聴き逃しサービス対応番組が少なすぎるのです。そしてこれは根本的な問題なのですが、たとえばジャニーズ事務所所属タレントに関してはradikoでも基本的にタイムフリーNGだという事態について、ラジオ好きの方のみならずインターネットに詳しい方ならば多くの方が薄々承知であるとは思うのですが、ではインターネットにさほど詳しくない年配のリスナーはこのネット上で通底している事情(ゆえに聴き逃しサービス未対応であること)を果たして理解していただけるのでしょうか? そして他にも配信されない番組が多過ぎるという状況に、果たして納得するのでしょうか? 『著作権などの問題で、すべての番組の聴き逃し配信には対応していません。登録された番組でも、権利の都合により配信できない場合もあります。また音楽は、聴き逃しサービスでは編集でカットする場合もあります』とらじる★らじるとは | NHKラジオ らじる★らじるの”聴き逃し”の項目に記載されていますが、radikoのタイムフリーに対して聴き逃しサービス対応番組があまりにも少ない事実に、年配のリスナーのみならず多くのラジオ好きが納得出来るとは到底思えません。

 

 

無論、今後サービスを拡充するであろうと前向きな予測はしているのですが、サービスのあまりの不十分さに、radikoとの大きな差を感じた方は自分だけではないでしょう。ともすればこの不十分さがラジオ好きの間で、らじる★らじるの聴き逃しサービス開始がほぼ伝わっていない、大きな理由かもしれません。

らじる★らじるには更なる改善を強く求めます。