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【海外ビルボード】ビヨンセ「Break My Soul」、アルバム初登場週にソングスチャートも制覇

現地時間の8月8日月曜に発表された最新8月13日付米ビルボードソングスチャート(Hot 100)。2週連続で首位に立っていたリゾ「About Damn Time」を逆転し、ビヨンセ「Break My Soul」が初の首位を獲得しました。

(上記は公式ヴィジュアライザー。)

ビルボードソングスチャート64年の歴史において1140曲目の首位となったビヨンセ「Break My Soul」。ストリーミングは前週比114%アップの1890万(同指標3位)、ダウンロードは同113%アップの13000(同指標5位。記事未記載ながらこちらのツイートで判明)、ラジオは同8%アップの6170万(同指標4位)を記録し、トップストリーミングゲイナーおよびトップセールスゲイナーを獲得しました。

今回の集計期間中に、「Break My Soul」はオリジナル版以外に6つのバージョンが登場(アカペラ、インストゥルメンタルおよび4つのリミックス)。なおマドンナ「Vogue」を用いた"The Queens Remix"は次週8月20日付米ビルボードソングスチャートの集計期間初日にあたる8月5日金曜に解禁されています。

 

ビヨンセは「Break My Soul」でソロとして8曲目の首位を獲得しました。

ビヨンセの首位獲得曲一覧>

「Crazy In Love (feat. ジェイ・Z)」 2003年7月12日付以降 通算8週

「Baby Boy (feat. ショーン・ポール)」 2003年10月4日付以降 通算9週

「Check On It (feat. スリム・サグ)」 2006年2月4日付以降 通算5週

「Irreplaceable」 2006年12月16日付以降 通算10週

「Single Ladies (Put A Ring On It)」 2008年12月13日付以降 通算4週

「Perfect (エド・シーラン duet with ビヨンセ)」 2017年12月23日付以降 通算6週(ビヨンセとの共演版はそのうち5週)

「Savage (メーガン・ザ・スタリオン(一部ではミーガン・ザ・スタリオンと表記) feat. ビヨンセ)」 2020年5月30日付 1週

「Break My Soul」 2022年8月13日付 1週

またデスティニーズ・チャイルドのメンバーとしては「Bills, Bills, Bills」(1999 1週)、「Say My Name」(2000 3週)、「Independent Women (Part 1)」(2000-2001 11週)、「Bootylicious」(2001 2週)の4曲を首位に送り込んでいます。

「Break My Soul」は、ビヨンセが「Crazy In Love (feat. ジェイ・Z)」で初めて米ビルボードソングスチャートを制して以来19年と1ヶ月を経ての首位となりました。

<初の首位獲得から最新の首位獲得までの最長スパン トップ10>

マライア・キャリー 31年5ヶ月1週 (1990年8月4日付-2022年1月8日付)

・シェール 28年5ヶ月 (1971年11月6日付-1999年4月3日付)

ビーチ・ボーイズ 24年4ヶ月 (1964年7月4日付-1988年11月5日付)

エルトン・ジョン 24年11ヶ月1週 (1973年2月3日付-1998年1月10日付)

マイケル・ジャクソン 22年10ヶ月3週 (1972年10月14日付-1995年9月2日付)

スティーヴィー・ワンダー 22年6ヶ月 (1963年8月10日付-1986年2月8日付)

ロッド・スチュワート 22年4ヶ月 (1971年10月2日付-1994年2月5日付)

ビヨンセ 19年1ヶ月 (2003年7月12日付-2022年8月13日付)

ジョージ・ハリスン 17年3週 (1970年12月26日付-1988年1月16日付)

・マドンナ 15年9ヶ月1週 (1984年12月22日付-2000年10月7日付)

上記の記録にデスティニーズ・チャイルド時代も含めれば、ビヨンセのスパンは23年3週となります(「Bills, Bills, Bills」は1999年7月17日付で首位を獲得)。ただし他の歌手においてもグループ時代を含めれば、シェールはソニー&シェール時代を含めて最長記録となる33年7ヶ月2週(1965-1999)、マイケル・ジャクソンジャクソン5時代を含めて25年7ヶ月1週(1970-1995)、ジョージ・ハリスンザ・ビートルズ時代を含めて23年11ヶ月2週(1964-1988)となります。

ビヨンセマライア・キャリーに並び、1990年代以降4つのディケイドで首位を獲得した歌手となりました。ビヨンセデスティニーズ・チャイルド時代を含め、またマライア・キャリーは2010年代および2020年代においては「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」で記録しています。

ビヨンセは(単独)主演曲として、「Break My Soul」は「Single Ladies (Put A Ring On It)」以来13年7ヶ月ぶりの首位獲得となります。これはシェールが「Dark Lady」(1974年3月)~「Believe」(1999年3月)で記録したほぼ25年(25年マイナス10日)以来の長さとなります。

ビヨンセは今回、通算43週目の首位獲得となりました。

<歴代首位獲得週数 トップ10>

87週 マライア・キャリー

60週 リアーナ

59週 ザ・ビートルズ

54週 ドレイク

50週 ボーイズIIメン

47週 アッシャー

43週 ビヨンセ

37週 マイケル・ジャクソン

34週 アデル、エルトン・ジョンブルーノ・マーズ

仮にデスティニーズ・チャイルド時代の17週を含めれば、ビヨンセの首位獲得週数は通算60週となります。この場合、上記表掲載歌手に関してはザ・ビートルズポール・マッカートニーが通算89週(ソロ30週分を含む)、ジョージ・ハリスンおよびジョンレノンが通算65週(ソロ6週分を含む)、リンゴ・スターが通算61週(ソロ2週分を含む)となり、またマイケル・ジャクソンジャクソン5時代の10週を含めると通算47週となります。

ビヨンセ「Break My Soul」はロビンS「Show Me Love」を使用しており、同曲のソングライターであるアレン・ジョージおよびフレッド・マクファーレンは「Break My Soul」にもクレジット。これにより2名はソングライターとして「Show Me Love」が1993年6月に5位を記録して以来、キャリア初の首位を獲得しました。なお「Break My Soul」はビヨンセを含め8名のソングライターおよび4名のプロデューサーで構成されています。

ちなみに曲のタイトルに"Break"もしくは"Soul"が用いられ首位を獲得した曲は以下の通り。

<タイトルに"Break"が付く首位獲得曲>

コニー・フランシス「Don't Break The Heart That Loves You」(1962)

ニール・セダカ「Breaking Up Is Hard To Do」(1962)

エルトン・ジョン & キキ・ディー「Don't Go Breaking My Heart」(1976)

トニ・ブラクストン「Un-Break My Heart」(1996-1997)

マライア・キャリー feat. ジェイ・Z「Heartbreaker」(1999)

・タイオ・クルーズ feat. リュダクリス「Break Your Heart」(2010)

ビヨンセ「Break My Soul」(2022)

<タイトルに"Soul"が付く首位獲得曲>

・ザ・ライチャス・ブラザーズ「(You're My) Soul And Inspiration」(1966)

・ソウルジャ・ボーイ(・テレム)「Crank That (Soulja Boy)」(2007)

ビヨンセ「Break My Soul」(2022)

 

ビヨンセは最新8月13日付米ビルボードアルバムチャートにて、「Break My Soul」がリード曲となった『Renaissance』が初登場首位を獲得しています。

この『Renaissance』収録の16曲すべてが、最新米ビルボードソングスチャートで100位以内にエントリーを果たしました。これにより女性歌手の米ビルボードソングスチャートエントリー記録ではアレサ・フランクリンおよびアリアナ・グランデを抜いて歴代3位に。テイラー・スウィフトが最多168曲、次いでニッキー・ミナージュが123曲を記録しています。

 

スティーヴ・レイシー「Bad Habit」が11→7位となり、自身初のトップ10入り。ストリーミングは前週比8%アップの2000万(同指標1位)、ダウンロードは同26%アップの800、ラジオは同247%アップの1000万(2指標共順位記載なし)となっています。

「Bad Habit」はスティーヴ・レイシーにとって初の100位以内ランクイン曲で、7月16日付で100位に初登場。カリフォルニア州コンプトン出身でジ・インターネットの一員でもあるスティーヴはこれまでフランク・オーシャンやタイラー・ザ・クリエイター、ヴァンパイア・ウィークエンド等とも組んでいます。「Bad Habit」はアルバム『Gemini Rights』に収録され、米ビルボードアルバムチャートでは7位を記録しています。

ニッキー・ユーア & デイジー「Sunroof」が12→9位となり、2組にとって初のトップ10ヒットに。ラジオは前週比18%アップの5570万を記録し同指標6位につけたほか、ストリーミングは前週比6%アップの860万、ダウンロードは同21%アップの3000となっています(2指標共順位記載なし)。

ニッキー・ユーアはカリフォルニア州オレンジ郡出身。デイジーからインスタグラムでダイレクトメッセージを受け取ったことで制作がスタートし、ニッキーがソングライトを、デイジーがプロデュースを担当して生まれた「Sunroof」は、両者にとって初の米ビルボードチャートランクイン曲となりました。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (6位) ビヨンセ「Break My Soul」

2位 (1位) リゾ「About Damn Time」

3位 (2位) ハリー・スタイルズ「As It Was」

4位 (3位) ケイト・ブッシュ「Running Up That Hill (A Deal With God)」

5位 (5位) フューチャー feat. ドレイク & テムズ「Wait For U」 

6位 (4位) ジャック・ハーロウ「First Class」

7位 (11位) スティーヴ・レイシー「Bad Habit」

8位 (8位) バッド・バニー & チェンチョ・コルレオーネ「Me Porto Bonito」

9位 (12位) ニッキー・ユーア & デイジー「Sunroof」

10位 (7位) ハリー・スタイルズ「Late Night Talking」

2週連続の首位から後退したリゾ「About Damn Time」(総合2位)は、ラジオ指標において5週目の首位を獲得。前週比3%アップの9390万を記録しています。

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。8月13日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にビザラップ & ケベード「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」が3連覇を達成しました。

アルゼンチンのプロデューサー/歌手のビザラップ(Bizarrap)とスペインのケベード(Quevedo)による「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」は、Global 200においてストリーミングが前週比5%ダウンの8700万、ダウンロードが同11%アップの1000を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比6%ダウンの8180万、ダウンロードが同1%アップの800を記録しています。

(上記はリリックビデオ。)

ビヨンセ「Break My Soul」がGlobal 200において22→6位に躍進。ストリーミングは前週比87%アップの4070万、ダウンロードは同98%アップの16000を記録しています。Global 200では7月上旬に一度9位を記録しており、同曲がビヨンセにとってこのチャート初のトップ10入りとなります。また「Break My Soul」はGlobal Excl. U.S.においても31→9位に上昇。ストリーミングは前週比65%アップの2280万、ダウンロードは同91%アップの6000を記録し、同チャート初のトップ10入りとなりました。

ロザリア「Despechá」がGlobal 200で8位に初登場。ストリーミングは3940万、ダウンロードは3000を記録しています。スペイン出身のロザリアにとって、このチャートではバッド・バニーとの「La Noche De Anoche」が2020年12月に初登場で7位を記録(最高位も同様)して以来2曲目のトップ10入り。またGlobal Excl. U.S.ではストリーミング3550万、ダウンロード2000を記録し6位に初登場。このチャートでは「La Noche De Anoche」およびファルッコにセック(Sech)、ダディー・ヤンキー、J.バルヴィン共々客演参加した「Relación」が2020年に共に8位を記録して以来、3曲目のトップ10入りとなりました。