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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり)【海外ビルボード】リゾ「About Damn Time」が米チャート、YouTubeセッション曲がグローバル初制覇

(※追記(7月27日):米ビルボードソングスチャートトップ10の画像ツイートを貼付し忘れており、貼付しました。大変申し訳ございません。)

 

 

 

現地時間の7月25日月曜に発表された最新7月30日付米ビルボードソングスチャート(Hot 100)。リゾ「About Damn Time」が初の首位を獲得しました。

リゾ「About Damn Time」はストリーミングが前週比18%アップの1430万(同指標8位)、ダウンロードが同29%アップの14000(同指標1位)、ラジオが同3%アップの8820万(同指標1位)を記録。ダウンロードについてはiTunes Storeでの安価販売が功を奏しトップセールスゲイナーを獲得。これによりおよそ64年の歴史を持つ米ビルボードソングスチャートにおいて1139曲目の首位に到達しました。

「About Damn Time」の首位獲得は、同作をリード曲とするアルバム『Special』が最新米ビルボードアルバムチャートで2位に初登場したことも影響。69,000ユニットを獲得し、リゾにとってアルバムチャート最高位および最高ユニット数を記録しています。

リゾにとってソングスチャートでの首位獲得は「Truth Hurts」(2019年9月以降 通算7週)に続く2曲目。トップ10ヒットには他に「Good As Hell」(2019年11月 最高3位)、カーディ・Bを招いた「Rumors」(2021年8月 4位)があります。

「About Damn Time」の各ワードが用いられた曲での記録をみると、”Damn”が使われた曲での首位獲得は今回が初。これまではヤングブラッズ feat. リル・ジョン「Damn!」が2003年に4位を記録したのが最高でした(歌手単位ではダム・ヤンキース(Damn Yankees)「High Enough」が1991年に3位を記録)。”About”では映画『Encanto (邦題:ミラベルと魔法だらけの家)』から「We Don't Talk About Bruno」が今年3月まで5週連続で首位を獲得したばかり。”Time”についてはジャ・ルール feat. アシャンティ「Always On Time」が2002年に2週首位を獲得して以来、「About Damn Time」がその座に就いています。

「About Damn Time」ではワールズ・フェイマス・シュプリーム・チーム「Hey DJ」(1984)を用いています。「Hey DJ」はソングスチャートで100位以内登場には至りませんでしたが、同曲をサンプリングしたマライア・キャリーHoney」が1997年9月に3週首位を獲得しています。

 

前週まで通算10週首位を獲得していたハリー・スタイルズ「As It Was」は2位に後退。ストリーミングは前週比4%ダウンの1740万、ダウンロードは同6%アップの5000、ラジオは同2%ダウンの7300万を記録しています。

 

Netflixのドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界 シーズン4』に用いられリバイバルヒット中のケイト・ブッシュ「Running Up That Hill (A Deal With God) (邦題:神秘の丘)」が3位に到達。ストリーミングは前週比10%ダウンの1930万、ダウンロードは同23%ダウンの10000となった一方、ラジオは同26%アップの3980万となりトップエアプレイゲイナーを記録、この指標で15→10位に上昇しました。

「Running Up That Hill (A Deal With God)」はケイト・ブッシュにとって初のトップ10ヒットにして、100位以内初登場から3位以内到達までの期間が歴代3位となりました。

<ソングスチャート100位以内初登場からトップ3到達期間 歴代最長記録>

・61年2週 ボビー・ヘルムス「Jingle Bell Rock 」(1958年12月22日付~2020年1月4日付)

・59年1週 ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」(1960年12月12日付~2019年12月21日付)

・36年10ヶ月3週 ケイト・ブッシュ「Running Up That Hill (A Deal With God)」(1985年9月7日付~2022年7月30日付)

・19年 マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」(2000年1月8日付~2019年1月5日付)

・16年4ヶ月1週 クイーン「Bohemian Rhapsody」(1976年1月3日付~1992年5月9日付)

最長期間を経てトップ3入りした5曲のうち過半数はストリーミングの興隆に伴うもの。またクイーンにおいては映画『ウェインズ・ワールド』で用いられたことが再浮上のきっかけとなっています。

 

6位をキープしたバッド・バニー & チェンチョ・コルレオーネ「Me Porto Bonito」はストリーミングが前週とほぼ変わらず2110万を記録し、同指標初の首位を獲得(両者共この指標を初制覇)。スペイン語曲のストリーミング指標制覇は2013年の同チャート開始以降初となります。英語以外の作品ではPSY「Gangnam Style」(ほぼ韓国語による)が2013年に6週、ルイス・フォンシ & ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」(ほぼスペイン語による)が2017年に16週首位を記録しています。

 

グラス・アニマルズ「Heat Waves」は7→8位に後退したものの、ソングスチャートにおいて79週目のランクインとなり、最長エントリー記録で歴代3位タイとなりました。また79週以上在籍曲において、79週目にトップ10入りを果たしたのは「Heat Waves」が初となります。

<米ビルボードソングスチャート 最長エントリー記録>

・90週 ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」(最高1位)

・87週 イマジン・ドラゴンズ「Radioactive」(最高3位)

・79週 グラス・アニマルズ「Heat Waves」(最高1位)、エイウォルネイション「Sail」(最高17位)

・77週 デュア・リパ「Levitating」(最高2位)

・76週 ジェイソン・ムラーズ「I'm Yours」(最高6位)

 

ハリー・スタイルズ「Late Night Talking」が11→9位となり、トップ10内に再登場。アルバム『Harry's House』初登場時に4位を記録したこの曲は7月13日にミュージックビデオを解禁、最新チャートで初の1週間フル加算を果たしたことが影響しています。ストリーミングは前週とほぼ変わらず950万、ダウンロードは同2%アップの2000、ラジオは同14%アップの4690万を記録しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) リゾ「About Damn Time」

2位 (1位) ハリー・スタイルズ「As It Was」

3位 (4位) ケイト・ブッシュ「Running Up That Hill (A Deal With God)」

4位 (3位) ジャック・ハーロウ「First Class」

5位 (5位) フューチャー feat. ドレイク & テムズ「Wait For U」 

6位 (6位) バッド・バニー & チェンチョ・コルレオーネ「Me Porto Bonito」

7位 (9位) ビヨンセ「Break My Soul」

8位 (7位) グラス・アニマルズ「Heat Waves

9位 (11位) ハリー・スタイルズ「Late Night Talking」

10位 (8位) ドレイク feat. トゥエニーワン・サヴェジ「Jimmy Cooks」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。7月30日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にビザラップ & ケベード「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」が初の首位を獲得しました。

アルゼンチンのプロデューサー/歌手のビザラップ(Bizarrap)とスペインのケベード(Quevedo)による「Bzrp Music Sessions, Vol. 52」はGlobal 200で前週の5位から、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.では前週の3位から、両チャートにて初の首位を獲得。Global 200ではストリーミングが前週比38%アップの8830万、ダウンロードが同53%アップの700を、Global Excl. U.S.ではストリーミングが前週比36%アップの8470万、ダウンロードが同46%アップの600を記録しています。なおGlobal 200とGlobal Excl. U.S.の動向をみれば、米以外の獲得分がストリーミングでは96%、ダウンロードでは82%に及んでいることが判ります。

ビザラップ、ケベード共にグローバルチャート初制覇。Global 200において、ビザラップはレジデンテとの「Bzrp Music Sessions, Vol. 49」が今年3月に20位に初登場を果たしたのがこれまでの最高位。ケベードは同じく今年3月に「Cayo La Noche」が145位を記録したのが最高位となっていました。またアルゼンチンおよびスペイン出身の歌手による首位獲得はGlobal 200、Global Excl. U.S.共に初となります。

前週もお伝えしたように、”Bzrp Music Sessions”シリーズは2018年に開始されるも当初は計画的なものではなく、地元のラッパーのコディゴ(Kodigo)とのセッションを録音してYouTubeにアップすることがビザラップの当初の目的だったとのこと。ここからシリーズ化したセッションが今回最大のヒットを獲得したことになります。