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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【海外ビルボード】クリスマスソング一掃のチャートは米でアデル、グローバルでゲイルが制覇

現地時間の1月10日月曜に発表された最新1月15日付米ビルボードソングスチャート(Hot 100)。クリスマスソングが一掃され、アデル「Easy On Me」が4週ぶり、通算8週目の首位に輝きました。

アデル「Easy On Me」はストリーミングが前週比3%アップの1580万(同指標5位)、ダウンロードが同12%ダウンの8000(同指標4位)、ラジオが同6%アップの9900万(同指標7週目の1位)を獲得しています。アデルにとっては「Hello」(2015-2016年 10週)に次ぐ首位獲得在籍週数2位の作品となりました。

 

前週まで滞在したクリスマスソングが一掃されたことで今週は再浮上曲が多数。2位にはザ・キッド・ラロイ & ジャスティン・ビーバー「Stay」が前週から4ランクアップ。そして3位にはグラス・アニマルズ「Heat Waves」が同じく4ランク上昇し、最高位を更新しています。

TikTokを機にヒットしたグラス・アニマルズ「Heat Waves」は、登場51週目にして初のトップ5入り。トップ5に至るまでの最長記録はこれまでギャビー・バレット feat. チャーリー・プース「I Hope」が2020年に45週目で到達したのが最高でしたが、「Heat Waves」はそれを6週上回りました。

「Heat Waves」はストリーミングが前週比12%アップの1410万、ダウンロードが同8%ダウンの4000、ラジオが同3%アップの6650万を獲得しています。

 

5位にはディズニー映画『Encanto (邦題:ミラベルと魔法だらけの家)』より、カロリーナ・ガイタン、マウロ・カスティージョ、アダッサ、レンジー・フェリズ、ダイアン・ゲレロ、ステファニー・ベアトリス & エンカント・キャスト「We Don't Talk About Bruno」が45ランクアップし初のトップ10入り。ストリーミングは前週比102%アップの2520万(同指標1位)、ダウンロードは同42%アップの7300(同指標6位)を獲得しました。

『Encanto』サウンドトラックは最新1月15日付米ビルボードアルバムチャートで初の1位を獲得し、アニメ映画のサウンドトラックでは1956年のチャート開始以降で6作目の首位到達となりました。またディズニーアニメ映画からのソングスチャートトップ5入りはピーボ・ブライソン & レジーナ・ベル「A Whole New World」(『アラジン』より 1993年 1位)、エルトン・ジョン「Can You Feel The Love Tonight」(『ライオン・キング』より 1994年 4位)、ヴァネッサ・ウィリアムス「Colors Of The Wind」(『ポカホンタス』より 1995年 4位)、イディナ・メンゼル「Let It Go」(『アナと雪の女王』より 2014年 5位)に続く5曲目となります。

なお、現在はコライト(複数名での曲作り)が定番化した中にあって、今週のソングスチャートトップ5においては単独でのソングライトが行われた曲が2つ。グラス・アニマルズ「Heat Waves」および「We Don't Talk About Bruno」が該当します(前者はメンバーのデイヴ・ベイリー、後者はリン=マニュエル・ミランダ)。

エルトン・ジョン & デュア・リパ「Cold Heart (Pnau Remix)」が13ランクアップし7位に到達。これまで同曲の最高位だった11位を更新しました。ストリーミングは前週比18%アップの1000万、ダウンロードは同53%アップの13300、ラジオは同6%アップの5210万を獲得しましたが、ダウンロードの上昇はiTunes Storeにおける0.69ドル(69セント)での安価販売効果が大きく、同指標トップに立っています。

エルトン・ジョンにとっては「Candle In The Wind」「Something About The Way You Look Tonight」(ダブルAサイドシングル)が1997年10月から翌年1月にかけて首位を獲得して以来となるトップ10入りを達成し、トップ10返り咲きまでには23年11ヶ月と2週を要しています。トップ10の最長インターバル記録は2週前にザ・ロネッツが更新したばかりであり(「Be My Baby」から「Sleigh Ride」までの58年と2ヶ月)。ストリーミングの興隆に伴クリスマスソングがランクインするようになったことでこの記録の上位にはクリスマスソング効果による歌手が2018年以降複数登場しています。それ以外となるとドビー・グレイが「Drift Away」で1973年に登場して以来、アンクル・クラッカーによるリメイクに客演で登場するまでの30年2ヶ月1週が最長となります。

エルトン・ジョンは今回の「Cold Heart (Pnau Remix)」により、ソングスチャートトップ10獲得曲数を28に伸ばしました。これはマライア・キャリー、そしてスティーヴィー・ワンダーに並ぶ歴代7位タイ。最高はドレイクの54曲で、次いでマドンナ(38曲)、ザ・ビートルズ(34曲)、リアーナ(31曲)、マイケル・ジャクソンおよびテイラー・スウィフト(30曲)となります。

さらにエルトン・ジョンは今回のトップ10入りで、1970年代、1980年代、1990年代および2020年代の4つのディケイドでトップ10入りを達成しました。4つのディケイドでトップ10入りを果たしたのはエルトンのほかマライア・キャリー、ジェイ・Z、アンディ・ウィリアムスホイットニー・ヒューストン、マドンナ、エアロスミス、シェールおよびバーバラ・ストライサンドが該当。なお唯一、5つのディケイドでトップ10入りを果たしたのがマイケル・ジャクソンとなります。

さらにエルトン・ジョンは、はじめて米ビルボードソングスチャートで「Your Song」がトップ10入りした1971年1月23日から今回の「Cold Heart (Pnau Remix)」までの期間が51週11ヶ月3週となりました。クリスマスソングを含めればアンディ・ウィリアムスが「It's The Most Wonderful Time Of The Year」によって62年3週という記録を達成していますが、クリスマスソングを除けばマイケル・ジャクソンの42年6ヶ月1週を抜き最長記録を更新しました。

なお、デュア・リパにとっては「New Rules」(2018年 6位)、「Don't Start Now」(2020年 2位)、「Levitating」(2021年 2位)に続く4曲目のトップ10入りとなります。

 

コダック・ブラック「Super Gremlin」が6ランクアップし10位に到達しました。ストリーミングは前週比1%未満アップの2270万(同指標2位)、ダウンロードは同11%ダウンの1200、ラジオは同63%アップの450万を記録しています。コダック・ブラックにとっては「Tunnel Vision」(2017年 6位)、トラヴィス・スコットおよびオフセットをフィーチャーした「Zeze」(2018年 2位)に続く3曲目のトップ10入り達成です。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) アデル「Easy On Me」

2位 (6位) ザ・キッド・ラロイ & ジャスティン・ビーバー「Stay」

3位 (7位) グラス・アニマルズ「Heat Waves

4位 (9位) エド・シーラン「Shivers」

5位 (50位) カロリーナ・ガイタン、マウロ・カスティージョ、アダッサ、レンジー・フェリズ、ダイアン・ゲレロ、ステファニー・ベアトリス & エンカント・キャスト「We Don't Talk About Bruno」

6位 (12位) リル・ナズ・X & ジャック・ハーロウ「Industry Baby」

7位 (20位) エルトン・ジョン & デュア・リパ「Cold Heart (Pnau Remix)」

8位 (19位) エド・シーラン「Bad Habits」

9位 (14位) ドージャ・キャット「Need To Know」

10位 (16位) コダック・ブラック「Super Gremlin」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。1月15日付ではGlobal 200、Global Excl. U.S.共にゲイル「Abcdefu」が初の頂点に到達しました。

ゲイル「Abcdefu」はGlobal 200ではストリーミングが前週比2%アップの5880万、ダウンロードは同2%ダウンの16800を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比1%アップの4450万、ダウンロードが同1%アップの6300を記録しています。

ダラス生まれ、ナッシュビルに拠点を置くゲイルは同曲がTikTokでバイラルヒットを記録しましたが、加えて様々なバージョンを用意しているのも強み。今回の集計期間初日にあたる昨年12月31日には新たなバージョン"The Wild Mix"もリリースされています。なおゲイルは、1月5日にNBCで放送された『ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジミー・ファロン』に登場し、「Abcdefu」をパフォーマンスしています。

デビュー曲がGlobal 200を制したのはGlobal 200、Global Excl. U.S.共にオリヴィア・ロドリゴ「Drivers License」(2021年)およびBLACKPINKのロゼによるソロ曲「On The Ground」以来、ゲイル「Abcdefu」が3曲目となります。

イマジン・ドラゴンズ & J.I.D(元記事ではJIDと表記)「Enemy」がGlobal Excl. U.S.に続きGlobal 200でもトップ10入り、前週から12ランクアップし9位に到達しました。ストリーミングは前週比3%アップの4580万を記録しています。この曲は、ゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』のアニメ版となる『アーケイン』(Netflix)において、各話の冒頭で流れています。