年齢はただの数字でしかない(Age Ain't Nothing But A Number)…アリーヤのファーストアルバム表題曲であり、リリース時15歳だった彼女の実力を存分に示した言葉といえます。ただこの作品は現在収監中のR.ケリーの手によるものであり、彼のアリーヤに対する個人的感情も含まれているものと考えるに心中複雜ではあるのですが。
そのアリーヤのような、卓越した才能をもった10代デビュー組が少なくありません。今回は邦楽を主体に紹介していきます。
・BE:FIRST「Shining One」(2021)
SKY-HIさん主催のオーディション番組、THE FIRSTから登場の7人組によるプレデビュー曲。この曲で個人的に特に注目したのが、14歳のRYUHEIさんによるしなやかさとセクシーさ。さらに最後のサビにおいて激しいダンスを踊りながら一切ピッチがぶれないところに、三浦大知さんを想起した次第です。
BE:FIRSTは本日、11月3日にフィジカルリリースされるデビュー曲「Gifted.」を先行配信していますが、曲調は彼のしなやかさが存分に発揮されるものとなっていますね。そして7人にとって、挑戦し甲斐がある作品と言えるでしょうし、いわゆるJ-Popへの挑戦と捉えていいでしょう。
デビュー曲として、いい意味であり得ない曲調。J-Popのキャッチーさとは真逆ですが、この曲がテレビで披露されることはめちゃめちゃ痛快ですね。 https://t.co/TSUB3I3q2C
— Kei (@Kei_radio) 2021年10月31日
・Folder feat. Daichi「Everlasting Love」(1999)
BE:FIRST同様BMSGに所属するRUIさん(THE FIRST出身)はRYUHEIさんと同じ14歳。SKY-HIさんのアルバム『八面六臂』(2021)に参加した彼の声に、三浦大知さんの初期の名曲を想起した方がいて強く納得した次第。
「Everlasting Love」のリリース当時、三浦大知さんは12歳。声変わりの時期と考えられ、その時にしか出せないスウィートネスが内包されていますが、この時からとんでもない実力の持ち主だったのだとあらためて実感させられます。
・MONDO GROSSO feat. BoA「Everything Needs Love」(2002)
BoAさんは13歳の時に韓国でデビュー。MONDO GROSSOを代表するナンバーへの参加は、日本で「LISTEN TO MY HEART」が初めてセールスランキングでトップ10入りを果たしたのと同じ年。15歳でこれを歌いこなせるとは、と当時強く驚いたことを覚えています。そして明後日リリースされる『MONDO GROSSO OFFICIAL BEST』にてこの曲が19年ぶりに再録され、日本語詞の形で登場。声の瑞々しさと艶は変わっていませんね。
・宇多田ヒカル「time will tell」(1998)
先週放送の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日)ゴールデンSP、プロが選ぶ豪華アーティスト最強ベスト10にて宇多田ヒカルさんも取り上げられましたが、ここにこの曲が入っていないのが個人的に違和感を覚えたこともありピックアップした次第。15歳でリリースした「Automatic」も勿論名曲ですが、本場R&B感がより強いダブルAサイドシングルのもう一方の曲もまたきちんと評価されるべきだと感じています。
・Ado「阿修羅ちゃん」(2021)
「うっせぇわ」の大ブレイクにとどまらず、「ギラギラ」や「踊」も着実にヒットし今年を代表する顔となったAdoさんが19歳になって初めてリリースしたのが、『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日)第7シリーズの主題歌に起用された「阿修羅ちゃん」。第5シリーズまでをSuperfly、第6シリーズをピンク(の既存曲)が手掛けたドラマ主題歌という大役を見事に果たしています。ブラスに負けない声の持つ強さたるや。
・SASUKE「Part.2」(2020)
現役高校生の18歳で、今年の東京パラリンピック閉会式にも登場したSASUKEさん(閉会式はこちらで確認できます)。おそらくは元号の変遷に伴う曲が馴染み深いかもしれませんが、個人的には昨年3月の私的トップ10ソングス(→こちら)で取り上げた「Part.2」を紹介。直近ではミックスやマスタリングまでも手掛けた「PULL ME OUT!」がリリースされたばかりです。
洋楽では今年、リリース当時17歳だったオリヴィア・ロドリゴ「Drivers License」が8週、同じく17歳だったザ・キッド・ラロイがジャスティン・ビーバーと共演した「Stay」が現段階までに7週、米ビルボードソングスチャートを制しています。年間チャートを賑わせるのみならず、来年開催のグラミー賞にも大きく関わってくることでしょう。
洋楽では、この曲を紹介しないわけにはいきません。
・モニカ「Before You Walk Out Of My Life」(1995)
ファーストアルバム『Miss Thang』(1995)はわずか14歳でリリースした作品集ですが、声のあまりの熟しっぷりは衝撃的。セカンドアルバムにはサザン・ソウルを代表するドロシー・ムーアのカバーでもお馴染みの「Misty Blue」がカバーされていますが、それもまた似合っていましたね。
「Before You Walk Out Of My Life」は当時から好事家がこぞってお気に入りに挙げていた、1990年代を代表すると言っても過言ではないR&Bクラシック。実はこの曲のソングライトで一躍注目を集め、後に歌手デビューも果たしたアンドレア・マーティンが先日、49歳という若さでこの世を去っています。あまりにも若い旅立ちです。
“Before You Walk Out Of My Life” has always had a special place in my heart.. Now it has a deeper meaning for the incredibly talented songwriter. Rest well Andrea Martin. We love you always 🖤 pic.twitter.com/Y4khjWsXaa
— Monica (@MonicaDenise) 2021年9月28日
モニカの公式YouTubeチャンネルではアンドレア・マーティン追悼として、「Before You Walk Out Of My Life」の(おそらく直近の)ライブにおける冒頭部分が投稿されています。彼女にとってこの曲は宝物であり、そしてアンドレア・マーティンはかけがえのない方だったのだと感じずにはいられません。
モニカのデビュー当時は、後に「The Boy Is Mine」(1995)で共演を果たすブランディや先述したアリーヤ等10代半ばで鮮烈なデビューを果たした歌手が多く、男性R&B歌手でもアッシャーやテヴィン・キャンベル等次々登場していました。また先週、共に10代デビューとなったマリオとクリス・ブラウンによる共演曲もリリース。アリーヤは亡くなってしまいましたが、今も多くの歌手が現役なのは頼もしい限りです。
日本でも三浦大知さんが進化を続けている中、新たに登場したAdoさんやBE:FIRSTがどのようにキャリアをステップアップさせ、日本の音楽業界のみならず世界へ轟かせていくか、強く期待する自分がいます。個人的にはRYUHEIさんと三浦大知さんによる共演にも期待したいところです。
最後に、Spotifyに今回のプレイリストを作成しています。是非ご活用ください。