昨日のブログではこんなことを書きました。
複合指標から成るビルボードジャパンソングスチャートや先述したSpotify等で時折急上昇を果たす曲に出会うとその動向が気になり、理由を探りたくなるものです。
ここ最近においてはAwesome City Club「勿忘」がその代表例。日本におけるSpotifyデイリーチャートにおいて、2月16日火曜から5日連続で最高再生回数を更新し続けているのがまさにその証拠であり、「勿忘」は大ブレイク間違いなしと言えます。
では、「勿忘」に続くのはどの曲か? 今日はチャート動向を踏まえ、気になる2曲を紹介します。
・Vaundy「napori」
アルバム『strobo』(2020)に収録されながら、先行シングル化されていないためかミュージックビデオは未制作。しかしながらこの曲が突如勢いを増しています。
ビルボードジャパンソングスチャートでは1月18日付で100位以内にエントリーを果たすと、最新週は1ランクダウンながら31位にエントリー。ミュージックビデオがないものの動画再生指標(上記チャート推移(CHART insight)における赤の折れ線で表示)も高位置につけていることから、YouTube経由でもよく聴かれていることが解りますが、この曲の最大のポイント源はやはりストリーミング指標。
上記チャート推移では青で表示されるストリーミング指標の基となるデジタルプラットフォームのひとつで、再生回数が可視化されているSpotifyでは面白い動きが。Vaundyは以前同サービスのCMソングに「不可幸力」が起用されたこともありSpotifyに強いのですが、その「不可幸力」を「napori」が先週遂に逆転したのです。上記表において同曲の最高再生回数を黄色で示していますが、「napori」は最新2月20日付で最高記録を塗り替えたのみならず、「不可幸力」の最高再生回数も超えました。
「napori」の勢いの理由についてはおそらく、ここ最近のTikTokやYouTubeにおけるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の増加が原因と考えられます。
@com.yamato0515 徳川ちゃんにオススメのスタンプ教えてもらった🙌🙌 ##コムドット ##徳川家康 ##コムドットしか勝たん @minnakowaikarayada7
♬ napori - Vaundy
有名無名に限らずユーザーが日常のシーンのBGMとして「napori」を用いることが多いのですが、面白いのはお酒関連の動画の多さ。
@ayaka_official_jp napori歌ってみた🙋♀ ##コーヒーもハイボールも飲めないけど ##napori ##Vaundy ##絢香 ##cover ##アカペラ ##歌ってみた ##TikTokバレンタイン ##大切な人へ愛と感謝を伝えよう ##メッセージも募集中 ##TikTok生配信は2月13日 ##お楽しみに
♬ napori - Vaundy
歌手の絢香さんの動画のハッシュタグにあるように、この「napori」にはコーヒーとハイボールというフレーズが登場するのですが(歌詞はこちら)、2番頭のこのフレーズを用いた動画が多く見受けられるのです(ただし絢香さんの上記動画で歌われているのはサビの部分)。お酒関連の動画に使われるのは勿論のこと、ハイボールを飲む彼女(そしてその彼女のかわいらしさ)にちなんだものが増えているだろうと推測。またサビ以外にもインパクトのある箇所が「napori」に存在することで、カバーや日常系の動画がより多く生まれているのではないでしょうか。
「napori」がさらに勢いを増すには、ミュージックビデオを用意することが必要かもしれません。それこそ作者のVaundyさんが「napori」に太鼓判を押しているのですから、尚の事期待は高まります。
とりあえずnaporiがいい曲だっていうことは理解してもらえたんでぃか? https://t.co/edqt0fFD9T
— Vaundy (@vaundy_engawa) 2020年5月23日
・back number「水平線」
昨夏突如登場した「水平線」。リリックビデオともとれるミュージックビデオが公開された一方、ダウンロードおよびサブスクは未解禁のまま。この曲の内容や意義については、スタッフによるTwitterアカウントがリツイートした記事に分かりやすく記載されています。
back numberは、混沌とした“今”聴き手に寄り添う 新曲「水平線」に込められたメッセージを読む https://t.co/xxKr1H6Qta @realsoundjpより
— back number staff (@backnumberstaff) 2020年8月23日
ビルボードジャパンソングスチャートでは未だ100位以内にランクインしていませんが動画再生指標が牽引。当該指標が再浮上を果たしたのは、昨秋の配信ライブで披露されたことでこの曲がback numberにとって大きな意味を持つ曲だという認識が拡がったゆえではないでしょうか。また、昨年末開催予定だった音楽フェスではセットリストの最後に「水平線」を据えていたことも、この曲の位置付けをより強固なものにしたと言えるはずです。
いよいよ明日開催!
— back number staff (@backnumberstaff) 2020年10月24日
配信ライブ
「back number live film "ASH"」
新曲「エメラルド」に加え、8月に発表したもう1曲の新曲「水平線」もライブ初披露予定!
配信だからこそできる特別なライブを是非お楽しみに!
10/25(日) 19:00-20:30(予定)https://t.co/QTuFEz23ug pic.twitter.com/Dnckg6EKxP
(後にこちらのライブレポートで「水平線」が披露されたことを確認。)
CDJ20/21でback numberがやろうと思ってたセットリスト
— 清水依与吏 (@iyotter_bn) 2020年12月22日
1.スーパースターになったら
2.大不正解
3.花束
4.半透明人間
5.ハッピーエンド
6.HAPPY BIRTHDAY
7.クリスマスソング
8.エメラルド
9.高嶺の花子さん
10.水平線
back numberは先週、BTSへの曲提供をアナウンスしていますが(記事はこちら)、「水平線」についての配信アナウンスはまだ出ていない模様。しかしながら、音源化を心待ちにしている方は少なくないだろうことが想像できます。
Vaundy「napori」そしてback number「水平線」のチャート動向で共通するのが、カラオケ指標の高さ。最新2月22日付ビルボードジャパンソングスチャートでは「napori」が60位、「水平線」が19位につけ、2曲とも最高位に至っています。カラオケの支持は曲が広く認知されてきていることの証明であり、ミュージックビデオの制作やデジタルプラットフォームでの配信という一押しがあれば、いつでも大ブレイクに至れるに十分なポテンシャルを秘めています。加えて、メディアがこれらの楽曲の動向に気付き、フィーチャーしてくれたならばとも思っています。