イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

TikTokで人気のReol「第六感」がビルボードジャパンで最高位を更新した要因は

ビルボードジャパンではソングスチャート(Hot 100)、アルバムチャート以外にも様々なチャートが用意されているのですが、昨日発表された2つのチャートでは共にReol「第六感」が取り上げられています。

当週のトップ20デビューは、16位のReol「第六感」、18位のVengaboys「Boom, Boom, Boom, Boom!!」、20位のRedfoo「New Thang」の計3曲。「第六感」は、BOAT RACEのCMソングとして書き下ろされた新曲。ReolがYouTubeのグローバル・キャンペーン“Artist On The Rise”に選出されたことも重なり、自身最大のヒット曲となった。TikTokでは、主にフィンガー・ダンスの投稿が多くみられる。

キンモクセイ」と同じく、全指標前週超えを果たしたReol「第六感」は、当週5位にチャートイン。Reolは、10月10日に放送された『シブヤノオト and more FES.2020』で、東京ゲゲゲイと共に本楽曲を披露。その反響があってか、ダウンロード40位、ストリーミング53位、動画再生数11位を獲得し、前週11位から6ランクアップを果たした。

Reolさんは『シンガーソングライターであり、自身のアーティスト活動全般をセルフ・プロデュースするマルチ・クリエイター』(Reolオフィシャルサイト|プロフィールより)。7月にリリースされたデジタルシングルはHeatseekers Songsチャートで5位に、そして10月19日付ビルボードジャパン総合ソングスチャートで45位にランクイン。デジタル指標群の順位が軒並み上昇し、ダウンロード指標の好調に伴う初登場時の46位を上回りました。

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この「第六感」については以前、LINE MUSICキャンペーン後のチャートアクションを取り上げています。

LINE MUSICキャンペーンといえば"沢山聴いた方が当選もしくはその条件に該当する"再生回数上位対象プレゼントキャンペーンが多く行われていますが、同キャンペーンは実施中こそサブスク再生回数にブーストがかかる一方、終了後は極端に下がるゆえ長期的な効果が得られにくいという欠点がありました。しかし「第六感」はキャンペーン終了後も勢いが持続。BGMキャンペーンの訴求力自体への疑問は否めませんが、特筆すべき動きをみせていることは確かです。

 

最新週の動きにおいて、無論テレビ番組出演効果も上昇の要因に挙げられますが、出演した『シブヤノオト』が最新週の集計期間7日目の放送と考えれば、TikTokのフィンガーダンスの効果がやはり大きいと思われます。

@rrreol999

choreography by 水中めがね∞ ##第六感チャレンジ ##Reol ##第六感 ##Reol6

♬ THE SIXTH SENSE - Reol

Reolさんが8月にTikTokアカウントを開設したタイミングで既に、「第六感」を使ったフィンガーダンスを投稿していたことはのですが、『シブヤノオト』出演後にTikTokに投稿した動画ではダンスの形が変更され、10万を超えるいいねが集まった複数の投稿動画と同じフィンガーダンスとなっています。『シブヤノオト』でも同種のダンスがみられたため、パフォーマンスの振り付けにおいては当初からこのダンスだったのかもしれませんが、この投稿の変化は興味深いところです。

@rrreol999

NHK ##シブヤノオト ##第六感 feat. ##東京ゲゲゲイ ご覧いただきありがとうございました💖 ##Reol

♬ オリジナル楽曲 - Reol れをる

 

実際、「第六感」がCMに用いられていることでテレビ露出量は多く、その浸透も影響しているとは思われます。

Reolさんについては上記以外にも「第六感」の関連動画が数多く公開され、ミュージックビデオにリリックビデオ、そしてライブ映像は今週公開分も含め2本登場しています。興味深いのはリリースビデオで、スマートフォンでの視聴を見越した縦型となっています。

Reolさんについてはリリックビデオではありますが、縦型のミュージックビデオ(英語ではVertical Video)はビリー・アイリッシュ「Bad Guy」をはじめホールジーサム・スミステイラー・スウィフトも用意するなど近年多く制作されています。縦型ビデオは、スマートフォンでの視聴を見越しているのは勿論のこと、チャートを押し上げる施策として通常のミュージックビデオに追加されているのです。

 

その他、以前も紹介しましたがファンとのエンゲージメントの確立を行っているのも特徴。

冒頭で取り上げたふたつの記事へは所属レコード会社がコメントを付けてリツイートしており、ツイート内にはYouTubeのリンク先も用意。またスタッフによるTwitterアカウントではミュージックビデオの1000万再生をファンと共有し、TikTokの記事にもコメントを残しています。Reolさん本人のTwitter発ではないものの、好感が持てることは確かです。

 

 

TikTokを契機としたヒット曲が多いことは今年の特徴であり、アメリカでは43年前に米ビルボードソングスチャートを制したフリートウッド・マック「Dreams」がTikTokによってリバイバルヒットとなっていることは昨日紹介したばかりです。

TikTokスマートフォンで見やすい縦型となっていることで、先述したリリックビデオの需要がさらに喚起されるかもしれません。そうなれば尚の事、TikTokYouTubeへの移行が進むはずですし、何より歌手側がきちんと乗っかっていることが加速に貢献していると言えます。この勢いがたとえば『ミュージックステーション』や『CDTVライブ!ライブ!』への出演につながれば、さらに勢いを増していくことでしょう。