イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) これから日本でも人気になるかもしれない「Baby Shark」、その日本語カバーへの疑問

メジャーリーグ(以下MLB)で昨年ナショナルズワールドシリーズ制覇に導き、今年読売ジャイアンツに招聘されたヘラルド・パーラ選手。

("ジェラルド"と書くところもありますが、上記記事を元にヘラルドと記載します。)

スポーツ報知が"サメ男"と呼ぶのは、彼が打席に向かう際のBGMが「Baby Shark」という曲ゆえ。この曲に合わせたシャークダンスも含め、MLBの公式YouTubeアカウントにて取り上げられています。

この「Baby Shark」を発信しているのは、ピンクフォンという幼児向け教育コンテンツのブランド。日本ではピンキッツという名で、韓国のスマートスタディー社が展開しています。そして下記動画は、本日の段階で44億回以上再生されているというのですから凄いことです。

実はこの「Baby Shark」、和歌でいうところの詠み人知らず、ゴスペルでいうところのトラディショナルという、元々は誰が作ったものかは不明な曲。ジョニー・オンリーが2011年に「Baby Shark」を作っていたため、ジョニーが韓国の裁判所に権利侵害を訴えたとのことですが、この曲が昔の童謡を元に作られているため似るのは自明と考えられます。聴き比べるとピンクフォン版のほうがキャッチーだと思うのですが、いかがでしょう。

ピンクフォン版はTWICE等韓国をはじめとするアジアの歌手が取り上げたのを機にSNSでチャレンジモノとして流行、一昨年にアメリカでもブームに。そこでヘラルド・パーラ選手もピンクフォン版を用いたようになったのかもしれませんし、アジア発の人気ゆえアジアに興味を抱き、最終的に日本球団への仲間入りを決めたのかも…というのはさすがに突飛な考えでしょうか。

『レイト×2ショー with ジェームズ・コーデン』(CBS)で、ジェームズがソフィー・ターナーおよびジョシュ・グローバンと共にパフォーマンスする映像も。

ピンクフォン「Baby Shark」は昨年、米ビルボードソングスチャートでトップ40入りを果たし年間チャート(→こちら)でも75位を記録するヒットを記録しています。この「Baby Shark」については下記記事を読むと一層理解が深まるでしょう。

ピンクフォン「Baby Shark」は海外の様々な言語版が用意され、日本語版も上記動画同様2016年には既に公開されています。曲名も「サメのかぞく」と訳されています。

 

さて、ここからが本題。『おかあさんといっしょ』(Eテレ 月-土曜8時)で"パント!"のおねえさんとして昨年春まで活躍していた上原りささんが今月デビューシングルをCDリリース。既に配信がスタートしているオリジナル曲「はみがきジョーズ」とのダブルAサイドとして収録されるのが「ベイビーシャーク」なのです。

が、レコード会社の説明には引っかかるところが。

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本日の段階でのホームページの文言を残すべくキャプチャさせていただきました(問題があれば削除いたします)。この「ベイビーシャーク」の説明において、詠み人知らずであり且つピンクフォン版が世界中の流行になったはずの「Baby Shark」が『オリジナル:Johnny Only』と表記されていることに違和感を覚えます。さらにヘラルド・パーラ選手がBGMに用いたのはピンクフォン版であることは上記MLB、そしてこちらのワシントン・ポスト紙のYouTube動画からも明らかであり、レコード会社の説明は誤りと言えるかもしれません。動画で確認可能な曲は、ジョニー・オンリー版とはサビのメロディのリズムが異なります。

上原りささんによるバージョンが『世界初のオフィシャル日本語カヴァー』とのことですが、この"オフィシャル"とは誰に対して許可をもらったのかも気になります。仮にジョニー・オンリーに許可をいただいたのだとしたら、サビのメロディはジョニー・オンリーの通りにしないといけないはずです。ピンクフォン版のメロディを拝借したのであれば(歌詞も引用したならば尚の事)、この説明文は間違いということになります。

仮にピンクフォン版を踏襲したならば。

2曲目は、全世界累計40億回再生の超話題曲で、世界の子どもたちに大人気の「ベイビーシャーク(Baby Shark)」(オリジナル:Johnny Only 童謡をベースに韓国の教育ブランド、ピンキッツが発表したバージョン)、世界初のオフィシャル日本語カヴァー!

と説明文を変えればよいはずですし、ジョニー・オンリー版が元ならばヘラルド・パーラ選手のくだり等は削除しないといけないでしょう。

 

レコード会社がこのような違和感の残る説明文を用いたのはなぜでしょう。ピンクフォンの名を出したくなかったのかそれとも韓国企業への過度な対応なのか…無論これは邪推と言われればそれまでですが、この表記はしこりを残すに十分であり問題だと考えます。

 

 

※追記 (2月1日8時16分)

上原りささんによるカバーバージョンが公開されましたので、聴き比べた上で私見を別エントリーにて記載しました。