堂本剛さんによるプロジェクト、ENDRECHERIのファンクネスを極める姿勢は好事家を中心に支持を集めていますが、一方で接触手段がレンタルのみとなる上に購入手段も少ないことは以前記載しました。
接触手段はレンタルに限られるのですが、先週土曜に解禁されながらも自分の住む地域では酷い状況です。青森県内のTSUTAYAでは五所川原店に通常盤が1枚あるのみ、さらに旗艦店と銘打ったTSUTAYA MORIOKAでは全種類置いていません。他方GEOでは青森柳川店が通常盤の在庫を確保しているのですが(在庫の有無は両チェーンのアプリより確認可能)、この状況は以前書いた森口博子『GUNDAM SONG COVERS』と酷似していますね。
GEO青森柳川店が突出している一方で、高い音楽性やチャートで上位を獲得した実績などを追わず過去の(およびそこから想定される)データばかりを重視するかのような店舗やチェーンの姿勢は問われるべきでしょう。
さて『NARALIEN』については、配信したほうが好いかをENDRECHERIのファンの方に呼びかけたところ、"レコチョクでは配信されているけれど物足りない"的な解答をいただきました。たしかにジャニーズの作品群は、レコチョクではダウンロード可能となっています。
実はここでも、ジャニーズ事務所が運営するレコード会社に所属する歌手の作品と外部レコード会社所属歌手のとで扱いは異なります。たとえばavex所属のV6が今夏リリースした「ある日願いが叶ったんだ」はフルバージョンで配信される一方、KAT-TUNやHey! Say! JUMP、NEWS等はショートバージョンやサビのみの部分配信。価格は抑えてあるとはいえ、シングルCDレンタルの解禁日を遅らせるのと同様の不便さを強いる姿勢には疑問を覚えます。
堂本剛さんおよびKinKi Kidsもジャニーズ事務所運営のレコード会社に所属しているため、ENDRECHERI『NARALIEN』においてもやはりフルバージョンでのダウンロード配信はなく、物足りないという意見が出てくるのも理解出来ます。が、面白い動きが。
アルバムから全曲ではないものの配信され、KAT-TUN等のようにショートバージョンやサビのみの部分配信もありますが、「FUNK TRON」では"FUNKと化せ皆人"および"Let's ENDRE IT UP"部分が、「Pani9 disorder man」ではサビの他に"Scream!!!!"部分が、「4 10 cake」では"Your BUTTER"および"I'm HOT CAKE"部分がそれぞれ配信されているのです。昨年までの配信は全てショートバージョンだったことから、ENDRECHERIが配信にこだわりを持っていることが伺えますし、配信に明るくないレコード会社および所属事務所の中にあって出来る範囲でやってみようという抵抗めいたものも伺えるのですがいかがでしょう。
惜しむらくは試聴が出来ないこと。強いインパクトがあるために配信したであろうこれらの部分が仮に試聴出来たならば、レコチョクでの購入を経てゆくゆくはアルバム購入や接触に至る方もいるのでは? そのプロセスを無下にしてやいないかと思ってしまいます。先述したようにレンタル店で借りられないのならば、オンラインでの販売やレンタルにつなげるべく動線を作ったほうが好く、その上でレコチョクがレコード会社とオンラインストア、そしてユーザーとのハブになるべきだと思うのですがいかがでしょう。そもそもジャニーズ事務所所属歌手の作品はデジタルに明るくないという認識が広く世間に伝わっていることを踏まえれば、ダウンロードも出来ること自体訴求しないといけないのですが。
ジャニーズ事務所所属歌手では今年、山下智久「CHANGE」がダウンロード販売効果により高いチャートアクションを示したことを書きました。その際、ダウンロードがCD販売を駆逐しないことも取り上げています。
ENDRECHERI側の配信へのこだわりをみるに、少なくともENDRECHERIはデジタルに明るくなってほしいと思っているのではと考えますし、ファンの多くも配信を希望しています。事務所側にはデジタルの姿勢を再考してほしいと切に願います。