2月25日から3月3日を集計期間とする、3月11日付チャートが昨日発表されたビルボードジャパン。総合ソングスチャートは欅坂46「黒い羊」が制しました。
【ビルボード】745,566枚を売り上げた欅坂46「黒い羊」3冠で総合首位獲得 UVERworld「Touch off」総合4位に初登場 https://t.co/tmU5UN8vnB pic.twitter.com/QEc94iPoAu
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) March 6, 2019
この「黒い羊」、欅坂46の公式YouTubeチャンネルにミュージックビデオが登場したタイミングが発売日直前だった件を以前記載しました。
エントリーの中でWASTE OF POPS 80s-90sさんのブログエントリーを引用したのですが、WASTE OF POPS 80s-90sさんは後に、「黒い羊」同様2月27日にシングルCDをリリースした他の楽曲についても、ミュージックビデオのYouTubeへのアップ状況を調べられています。
「黒い羊」がおそらく懸念していたであろうYouTube Musicとの兼ね合いについて、2月27日発売シングルCDを比較した上で、『わかりやすく気にしているのは欅坂46だけ』と結論されていました(『』は上記リンク先より)。それ以前にミュージックビデオがフル尺でアップされない等日本の音楽市場の状況の閉塞性には個人的に強く思うことがあり、欅坂46側はまだ一歩先んじていると捉えることも出来るのですが。
さて、気になるのは欅坂46の総合ポイント。「黒い羊」のシングルCDセールス加算初週の総合ポイントは4万超えとハイレベルではあるのですが、しかしながら下がってきているのです。そこで、昨年第1弾シングルであり、「風に吹かれても」(2017)の次作にして前作を超えるポイントを獲得した「ガラスを割れ!」以降のシングルCDセールス加算初週および翌週の動向をみてみると。
※各指標について
・ポイント:総合ポイント
・ポイント前週比:前週および当週共に50位以内にランクインした場合のみ計算(50位未満は総合ポイントが表示されない)
・上記の理由により50位未満、総合ポイントで比較不能時は※で表示
・各指標について
(詳細はビルボードジャパンの自問自答 | Special | Billboard JAPANをご参照ください)
CD:シングルCDセールス
DL:デジタルダウンロード
ST:ストリーミング
RA:ラジオエアプレイ
LU:ルックアップ
TW:Twitter
MV:動画再生
KA:カラオケ
・各指標毎順位における[-]はランク圏外、[ ](ブランク)はランクインせず。これらはCHART insight | Billboard JAPANから曲名をクリックすると確認可能
・「ガラスを割れ!」(→YouTube CD発売:2018年3月7日)
日付 ポイ
ント前週
比総合
順位CD DL ST RA LU TW MV KA 2018/3/19 45449 - 1 1 2 3 17 1 1 3 ※ 2018/3/26 11534 25.4% 3 3 5 1 36 2 7 5 ※ ・「アンビバレント」(→YouTube CD発売:2018年8月15日)
日付 ポイ
ント前週
比総合
順位CD DL ST RA LU TW MV KA 2018/8/27 42352 - 1 1 1 5 24 1 1 13 ※ 2018/9/3 8593 20.3% 5 2 9 3 32 2 9 25 ※ ・「黒い羊」(→YouTube CD発売:2019年2月27日)
日付 ポイ
ント前週
比総合
順位CD DL ST RA LU TW MV KA 2019/3/11 41626 - 1 1 2 5 10 1 1 18 2019/3/18 ? 0.0% ? ? ? ? ? ? ? ? ? (※カラオケ指標は2019年度からの導入ゆえ、「ガラスを割れ!」「アンビバレント」のシングルCDセールス加算初週およびその翌週は未加算となっています。)
ミュージックビデオのYouTubeでの公開を発売日直前に遅らせた(それにより、YouTube Musicでの解禁が他のストリーミングサービスとほぼ同時となった)「黒い羊」ですが、動画再生指標の順位は「ガラスを割れ!」に遠く及ばず、「アンビバレント」よりも低くなっています。これについては。
が、昨年のシングルにおける、シングルCDセールス初加算週(総合チャートを2曲とも制覇)の動画再生指標の順位を見ると、「#ガラスを割れ!」は3位ながら、「#アンビバレント」は13位という結果に。そして「#黒い羊」は18位。コアなファンのニーズは公式サイト先行アップ分で満たされていたのかも
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) March 6, 2019
と昨日は一旦結論づけました。
しかしツイート直後、トップ100が公表された後で気になったことが。それは総合ポイントの落ち込みです。
同日付総合ソングスチャート https://t.co/xSeazzJUK2 、#欅坂46「#黒い羊」は4万超えという驚異の記録をマークした一方、「#ガラスを割れ!」以降のシングルCDセールス加算初週の総合ポイントは45449→42352→41626とダウン。気掛かりです #ビルボードジャパン最新チャート速報
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) March 6, 2019
実は「ガラスを割れ!」の前のシングル、「風に吹かれても」(2017年10月25日発売)のシングルCDセールス加算初週、2017年11月6日付の総合ポイントは40950であり、「ガラスを割れ!」は前作比111.0%と1割以上増加。ところが「アンビバレント」のシングルCDセールス加算初週の動向は前作比93.2%、「黒い羊」は前作比98.3%と2作連続でダウンしているのです。
無論これには動画再生指標の高くなさや、タイアップの力(メディア露出量等)も影響しているかもしれません。が、過去3作品で最も大きな差が生じているのは、シングルCDセールス。「ガラスを割れ!」が893632枚、「アンビバレント」が837390枚、そして「黒い羊」は745566枚…2作連続で減少し、「ガラスを割れ!」と「黒い羊」とでは15万近い差が発生。この差を大きいと感じるのは自分だけでしょうか。なお、「風に吹かれても」のシングルCDセールス、初週売上は722954枚であり(【ビルボード】欅坂46「風に吹かれても」が計4冠で総合首位獲得 WANIMA「ヒューマン」ダウンロード急伸で総合16位に初登場 | Daily News | Billboard JAPAN(2017年11月1日付参照)、次作の「ガラスを割れ!」では急伸しているのですが。
無論、カラオケ指標が導入されたこと、シングルCDセールスにはユニークユーザー数等を加味した"係数"が用いられ作品ごとにその係数が異なるだろうこと、総合チャートを構成する各指標のウェイトが時代に沿って変化しているだろう等を踏まえるに、欅坂46の総合ポイントを単純比較し、ダウン傾向を危機と決めつけるのは早計かもしれません(ちなみに、カラオケ指標導入のような大きな変化は発表している一方、係数がいくらかなのかやウェイトの変更等細かな(といえど決して小さくない)チャートポリシー変更に関しても、ビルボードジャパンには公表を願う気持ちがあります。これは以前から記載していることです)。とはいえ、たとえ複合指標の獲得に長けている欅坂46といえど、特にアイドルにおいては人気のバロメーターたるシングルCDセールスの落ち込みが目立つ以上、そして「風に吹かれても」以降のシングルを公式サイトのディスコグラフィーで確認するとすべて5種リリースであり種類増減がない以上、もしかしたら人気に…?と思うのは決して大袈裟ではないでしょう。
今回欅坂46が、「黒い羊」のミュージックビデオをYouTubeでアップするのを遅らせたのはYouTube Musicへの危機感ゆえだろうとはいえ、また最新のビルボードジャパンソングスチャートにおける動画再生指標が前作とほぼ変わらないことを踏まえればコアなファンは公式サイトでチェックしたであろうと推測出来たとしても、もしかしたらライトなファン(CDを買うかどうか迷う方々)からすれば、YouTubeへ発売直前まで未アップのままだった事態は彼らにとって極めてアンフレンドリーだったのではないか、それがシングルCD購入を減らしたのではないか…というのが自分なりの結論です。ライト層だけで10万枚前後の購入控えが発生したとはさすがに考えにくいでしょうし、先述のようなタイアップ等の状況も加味しなければいけませんが、ミュージックビデオの公開がシングルCDの宣伝として機能すると考えれば、公式YouTubeチャンネルへの未アップは極めてマイナスだったのではないかと捉えています。
(※追記 3月7日 21時36分)
このエントリーをアップした後、今回のシングルCDセールス減少は個別握手会の影響が大きく関わっている、日向坂46(旧けやき坂46)の独立直前ということも影響している…とのご指摘をいただきました(さらには欅坂46の次作において、セールスが更に減少する可能性もあるとのことです)。
欅坂46公式サイトの握手会ページをみると、今回比較した「風に吹かれても」以降のシングルはいずれも9回ずつ、全国握手会が開催されていますが、その参加メンバーにより個別握手会参加券が封入されたシングルCDの売上は増減するとみられ、日向坂46の独立に伴う参加機会の減少が特に「黒い羊」のセールスに大きく関わったとみられます。それに伴うセールスの大幅減(前々作よりおよそ15万ダウン)も想定内というのがご指摘の内容であり、納得した次第です。
というよりも、握手会の想定が今回抜けていたことは非常に単純かつ初歩的ミスでした。謹んでお詫び申し上げるとともに、ご指摘くださった方へ感謝申し上げます。