欅坂46が今日リリースする8枚目のシングル「黒い羊」の動向に異変です。今週のシングルCDセールスは来週水曜発表の3月11日付ビルボードジャパンソングスチャートに反映されるのですが、その直前のチャートアクションにおいて、シングルCDセールス指標加算2週前の順位がはじめて100位を下回ったのです。
グラフにおける黒の線がソングスチャートの総合順位。そしてこれまでの週で加算対象となった指標はデジタルダウンロード、Twitterおよびラジオのみ。2月1日に公開がはじまった動画再生指標はカウントされていません。
欅坂46はこれまでのシングルすべてで、【ミュージックビデオ公開→シングルCDリリース】という流れを行っており、ミュージックビデオによる動画再生指標がシングルCDセールス指標加算前から総合順位で比較的高い位置を維持する原動力になっていることは間違いありません。
以下はこれまで7作品におけるビルボードジャパンソングスチャート序盤の推移。グラフの黒は総合、黄はシングルCDセールス指標、青はストリーミング指標、赤は動画再生指標の各順位(他指標は外した上でキャプチャしています)。なお円グラフは2019年2月25日付における構成比となっています。シングルCDセールス指標が加算された週に同指標、および総合順位とも1位となっていますが、その2週前も総合順位は100位以内にいることが解ります。
・「サイレントマジョリティー」(→YouTube)
(CD発売:2016年4月6日 ビデオ公開:2016年3月15日)
・「世界には愛しかない」(→YouTube)
(CD発売:2016年8月10日 ビデオ公開:2016年7月11日)
・「二人セゾン」(→YouTube)
(CD発売:2016年11月30日 ビデオ公開:2016年11月16日)
・「不協和音」(→YouTube)
(CD発売:2017年4月5日 ビデオ公開:2017年3月22日)
・「風に吹かれても」(→YouTube)
(CD発売:2017年10月25日 ビデオ公開:2017年10月2日)
・「ガラスを割れ!」(→YouTube)
(CD発売:2018年3月7日 ビデオ公開:2018年2月13日)
(CD発売:2018年8月15日 ビデオ公開:2018年7月26日)
しかし今作「黒い羊」が2月1日ミュージックビデオ公開→2月27日シングルCD発売というこれまで同様のスケジュールでありながら、おおよそこれまでとは異なる動きをしているのが気掛かりなのですが、実は今作においてミュージックビデオの”公開先”が大きく影響しているのです。
欅坂46の新曲「黒い羊」のミュージックビデオがグループのオフィシャルサイトで公開された。
YouTubeではなく公式サイトでの公開。弊ブログでは公式サイトで公開されているミュージックビデオの動画を引用(貼付)出来ませんでした。そして。
また、当週MVを解禁した欅坂46「黒い羊」は、ビルボードが測定するプラットフォームでの公開ではなかったため、再生数を総合チャートに合算することが出来なかった。
・【ビルボード】ジャニーズWEST「ホメチギリスト」、シングル143,651枚を売り上げ3冠で総合首位獲得 | Daily News | Billboard JAPAN(2月6日付)より
ビルボードジャパンでは現在の動画再生指標のカウント対象を『ニールセンが提供するYouTube再生回数、YouTube Musicの再生回数および株式会社GYAOが提供する「GYAO!」の音楽コンテンツ動画再生回数』(About Charts│Billboard JAPANより)としており、つまり公式サイトでの公開は『』内のフォーマット以外ゆえカウントされないことになります。となると、これまでのシングル7作品のような(シングルCDセールス指標加算前の)チャート推移は見込めないと欅坂46サイドは見込んでいたでしょうが、それにしても100位未満というのはさすがにショックが大きい気がします。
ではなぜ、これまでと同様のチャートアクションが見込めないとしても実施しないといけなかったのか…その答えはこちらのブログエントリーにあるでしょう。
そして、YouTube Premiumで可能になるのがオフライン再生。他のサブスクサービスにもある機能ですが、「取扱い範囲に既存YouTubeの資産が含まれている」ことで他のサービスと圧倒的に差別化されることになります。 サブスクどころか配信も行っていない音源でも、シングル曲等でフルVer.がYouTube上で公開されていれば、実質上月額定額でダウンロードできる、他のサブスクサービスの提供楽曲と同様に扱える、ということになります。
(中略)
考えてみれば「黒い羊」のリリース日は2/27で、MVはそれに先駆けての公開。でもそのMVの音源データが自由にダウンロードできてオフラインで取り回せるのであればそれは既にリリースしたのと同じということになってしまいます。 YouTubeにアップしないのは、それはちょっといくら何でもないやろ、ということだと思います。
YouTube Premiumについては下記記事が解りやすいですね。
先程のグラフをみると、「黒い羊」以前の欅坂46のシングルはすべて、シングルCDセールス指標とストリーミング指標の初登場がすべて同週であり、ストリーミングはシングルCD発売週の解禁であることが解ります。仮に「黒い羊」がこれまで同様YouTubeにて公開されていれば、YouTube Premium会員が使用出来るYouTube Musicサービスにて同曲を”ストリーミングとして”聴くことが出来るようになるわけです(なお、ビルボードジャパンではYouTube Musicでの再生回数は動画再生指標としてカウントされます)。となると、これまでストリーミングはシングルCDリリースのタイミングまで待っていたのだからYouTubeでの公開は控えたい、という狙いが透けて見えます。
…と、ここまで書いたのが2月25日のこと。そして昨夜になって遂に、「黒い羊」のミュージックビデオがYouTubeでも公開されました。
このタイミングでのYouTube公開については、WASTE OF POPS 80s-90sの管理人、O.D.A.さんもつぶやいています。一方、プロデューサーの秋元康さんが坂道グループ同様に手掛けるAKBグループにおいては、YouTubeでの新曲公開のタイミングが前倒しされているというのは非常に興味深いですね。
#欅坂46「#黒い羊」は今朝の段階で未だYouTube未公開。他方、#AKB48 が3月13日にリリースする「#ジワるDAYS」のミュージックビデオが昨日YouTubeで公開されました https://t.co/NY0P1hObLF 秋元康さん的にはYouTubeでの新曲公開を止めるつもりはない…そんな姿勢が見えてくるようです https://t.co/yNO3WKdurV
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) February 25, 2019
YouTube Premiumの登場によって、『欅坂46以外にもリリース日前にはYouTubeにはアップしない人がいそうな気がします』と懸念したこと(『』内はYouTubeが始めた新しいサービスのこと。 - WASTE OF POPS 80s-90s(2月10日付)より)が現実になりそうな予感がしますが、芸能事務所やレコード会社は今は様子見といったところでしょうか。YouTube Music等YouTube側の問題もある一方、WASTE OF POPS 80s-90sさんが例として挙げたsumika、そして欅坂46はいずれもソニー・ミュージックレコーズ所属であり、もしかしたらソニーが他のレコード会社よりも過敏に反応しているのかもしれません。とにかく今後は、これから登場するミュージックビデオの公開タイミングや公開先の動向を注視する必要があります。