先日、てれびのスキマさんがTwitterで紹介していたのを興味深く拝読。タイトルにゾッとさせられましたが、実はこの惨状は乗田氏が指す地方都市にだけ該当するものではない、というのが私見でもあります。
今年大阪に三度伺い、その際ノートパソコンを携行しました。青森で手に入りにくいレンタルCDを見つけて音源を手に入れようとしたため。東京におけるSHIBUYA TSUTAYAのような店に出向き実行しようとしたのですが、関西最大級の店舗らしいとネットで見つけたTSUTAYA EBISUBASHIは、レンタルCDの取扱を中止してしまっていました。
・TSUTAYA EBISUBASHI 大阪府 大阪市中央区 - TSUTAYA 店舗情報 - 店舗検索
店の一角に使用済レンタルCDが中古販売されているのですが、ゾッとしたのは棚一面を覆った正体不明の歌手や制作者によるヒット曲のカバーを寄せ集めたコンピレーションアルバムの数々…以前良質なというか"ちゃんとした"コンピレーションアルバムが『"見知らぬ歌手によるカバー集"の勢いに飲まれる』(レコード会社等のサポート不足のために埋もれてしまいそうな良質コンピレーションアルバム(2015年5月4日付)より)と危惧したのですが、回転数も高いとは言い難いそれら作品がレンタル時も、そしてレンタル業務を止めてからも棚を占領している姿はキツいものがありました。その大阪ではあべの橋店がレンタルCDに力を入れていると記載されていましたが、東北の旗艦店であるMORIOKA TSUTAYAとさほど変わらない印象。日本第二の都市でレンタルCDを取り巻く状況がここまでとは…と愕然としていたところでした。
そこに、この知らせを見て愕然。
最寄りのTSUTAYAの改定…シングルの当日レンタル倍以上に… pic.twitter.com/BGSBSWcfKa
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) July 25, 2018
こちらは弘前店の改定。シングルCDのレンタル価格がアルバムとほぼ同額となり、1泊2日の設定もなくなっています。当日価格で翌日13時まで返却可能という利便性はあれど、さすがにこれは…と思わざるを得ません。
尤も先述した東北の旗艦店、MORIOKA TSUTAYAでもシングルCDの品揃えは悪いのです(アルバムが揃っているだけに尚の事そう見えます)。ビルボードジャパンのソングスチャートを追いかけていると、シングルCDの売れ筋はアイドル、K-Pop、アニソンやキャラソン、バンド系に絞られるのですがそれらを揃えようとする気概も感じられませんし、ましてやDA PUMP「U.S.A.」も当初置かれていなかった状況を勘案するに、本気度が伝わってこないという点は否めません。いろいろ施策を行ってみたけれどどうしようもなかったので値上げを断行するというようにみえないのは自分だけでしょうか。まあ、デジタルダウンロードが諸外国に比べて浸透度が高くないもののある程度普及し、1曲250円での販売が成り立っていることを踏まえればシングルCDレンタルの当日価格100円(+消費税)という価格設定が安すぎたという側面は否めませんが。
このシングルCDレンタル価格の大幅な値上げ、調べてみると他店も同じような動向に至っているようで、もしかしたらTSUTAYAにおいてはデフォルトとなるのかもしれませんし、このままではレンタルCD事業自体から手をひくことだって考えられそうです。しかしその前にやるべきことは沢山あるのではないでしょうか。【レンタルCD予算の"見知らぬ歌手によるカバー集"への配分縮小】【クーポンやセールの定期的な開催実施による回転数の上昇】【値上げしたのであれば、解禁当初置かなかった「U.S.A.」などの中堅~ベテランJ-Pop作品群の網羅】【ぬくもりとやる気のあるPOPの展開】…それでも改善しないならば【TSUTAYA不良採算店舗の清算やレンタルCD取扱店舗の集約】を行い、それでもどうしようもなかったら、最終的に(そこではじめて)レンタルCD事業からの撤退を考えればいいはずです。他方GEOはレンタルCD取扱店舗の集約を最初に実行し、定期的にレンタルCD半額クーポンを配信しています。店舗の集約により津軽地区のレンタル店ではGEOのほうが品揃えが優れている(かゆいところに手が届く)ように感じています。仮にGEOがシングルCDレンタル価格の値上げに追随しないとすれば、レンタルCDにおいてユーザーがどちらのチェーンを信頼するかは明白な気がしてなりません。
現在ひとつだけ明らかなのは、CD自体が斜陽と言えるかもしれないということ。利益を確保しつつ、ユーザーにどう提示していくかがレンタルCD店には求められます。なぜなら店側はユーザーに、音楽という商品のみならず"文化"も提示しているのですから。