イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

年々聴取者が減っているといわれるラジオ業界、その一因を自分なりに考える

金曜日はラジオの話。

 

TLCの久々の新曲、「Way Back」がアメリカのiHeartRadioで公開されました。

ジェームス・ブラウンマイケル・ジャクソンの名前も歌詞に織り込まれたこの曲、ラッパーのスヌープ・ドッグをフィーチャーしていますが今回iHeartRadioで公開されたバージョンはスヌープ抜きのもの。

90年代前半の雰囲気を踏襲した心地よいTLC節。T・ボズの低音もピッタリハマっていますね。この「Way Back」、Spotify他でも確認できるそうで、下記記事のリンク先ではスヌープの声も確認出来ます。

 

 

さて、首都圏のラジオ局では来週月曜からの1週間がスペシャルウイーク(という名の聴取率調査週間)。長らくトップを続けるTBSラジオTwitterおよびFacebook上でキャンペーンを実施します。

ネットとラジオの親和性、またネットと連動したキャンペーンを踏まえれば、聴取率調査にradikoタイムシフト分を加えても(もしくは別途radiko側が数値を発表しても)いいと思うんですが…それは今は置いておいて。このスペシャルウイーク最終日には、不定期で放送されながら人気の高い特別番組『ぼんやり審議会』も放送されます(4月23日 日曜19時)。今回の審議会ではスペシャルウイークのハイライトなどを取り上げる他、『今回は、年々聴取者が減っている…という、ラジオ業界全体の今後についてもぼんやり考えます』(上記リンク先より)とのことで、今の段階で自分が思っていることを書くならば。

 

FM局に関してですが、以前に比べて音楽に真摯に直面しようとしていないよなあというのが、長い時間をかけて人々がラジオから離れていった最大の要因ではないかと。音楽を雑に扱う人が増えたというのもありますが(これについては近日中にまとめます。ちなみに今週それに関連してこんなツイートを載せました…あまりに悲しくなったのでついつぶやいてしまった次第)、新曲をかける機会だったり、もしくは新曲の初公開の場がラジオではなくなったことが増えたのも一因ではないかと考えています。

勿論、現在ではストリーミング(定額制音楽配信サービス、およびYouTube等)が浸透しそこで聴くことは出来るのですが。

YouTubeとかアーティストのホームページとか見ればいいのでは?”との声もあるはず。ですが、YouTubeなどはあくまで見る人の”主体的、能動的な行動”によって聴くことが出来るもの(動画再生中に画面横に表示されるお勧めを辿って曲に触れる、という手段はありますが)。普段の生活の中で”受動的に音楽に触れてその好さを知る”という機会は、普段の生活でラジオを流しているときにこそ発生しますよね。自分が知らなかった(なんなら毛嫌いしてすらいた?)歌手やジャンルに触れてその好さを知るというのは、自分が普段聴く音楽を自分主観でのみ選ぶ場合には得られない喜びだと思います。

AMラジオで最新曲をかけることの意義(2015年1月23日)より

特に好きな歌手については能動的に新曲に触れようとして行動するかもしれませんが、自分の範疇にはない歌手や音楽については能動的に探そうとはしません。ゆえにラジオから流れる音楽を聴く、受動的になることによって良い音楽に出会える機会が生まれるはず。しかもそれが新しい音楽ならば購入意欲にもリンクするでしょう。となると、局やスタッフ、DJが選ぶ音楽のセンスにかかっているわけですが(そしてそれをより心地よく届けることもまた重要です)、近年はその点に対し尽力しなくなった気がするのは自分だけでしょうか。もっと言ってしまえば、ストリーミングの登場によりハナからあきらめモードなのではないかとすら。ですので、今回冒頭で紹介したTLCの新曲については、ラジオならではの仕事をきっちりこなした成果といえるでしょう。

(尤も今回のTLCの新曲を発したiHeartRadioはネットラジオではないかというツッコミも来そうですが、ラジオ局をネットで介して聴くという意味では日本におけるradikoのようなものではないかと。)

 

最近では新曲をきちんとかけるという点において、『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)がしっかりしていると思います。次回、4月16日放送回では大沢伸一さんのプロジェクト、MONDO GROSSOの14年ぶりとなる新曲を解禁するということ。楽しみです。同番組の姿勢については以前記載しました。

ここでも"受動的/能動的"の引用をしているのでくどいかもしれないのですが…とはいえこの点は音楽を扱う全てのラジオ局がきちんと考えないといけないと思うため、何度も伝えていかなければと感じています。