イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

RABまつりで観客を魅了したDa-iCE「エビバディ」

余計な先入観は失くしたほうがいい、と実感する記事。

「この日、ゲネプロが始まる前の記者たちの空気は『川栄がどこまでやれるのか……』くらいな冷めた感じで『この舞台終わったら川栄どうするんだろ?』という声も聞こえていました。ですが、終わった瞬間、『思っていた以上にすごかった』と想像を超えた出来に驚きの声が多数あがってました。

AKB48から女優転身した川栄李奈、初舞台『AZUMI』のマスコミ評価は“意外な結果”に……|おたぽる(2015年9月15日付)より

”アイドルから女優へ”という見方に懐疑的な人々は多いでしょう。しかし、前田敦子さんや大島優子さんへの好事家の評価は高いと聞きますし、『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』(TBS系 毎週土曜22時)での映画評論においても、客観視した論評の宇多丸さんがふたりの演技を賞賛しており、上記記事の記者や市井が勝手に”アイドルから女優へ、ってどうせダメでしょ”というレッテルを貼っているだけかと(とりわけAKBグループへの風当たりは強いと感じています)。川栄李奈さんについては『ごめんね青春!』(TBS系 2014)でも評価が高かったですし実際に自分も観ていいなと思っていましたので、そのレッテル貼りを続けることがナンセンスではないかと想うんですよね。

ちなみに上記記事は昨日付のYahoo! JAPANトップにも掲載されたもの。最近は新聞記事以外の引用元も目立つのですが、雑誌記事やゴシップ記事にはこの手の”記者の主観が入りまくる”というものが目立ち過ぎる気がします。無論新聞等の記事にも主観が観られることがありますが、最近は”取材もせずに対象者を意図的に貶す”という文章も目立つのが気になります。アクセス数を稼げればそれでいいという考えだとしたら、その記事が少なからず閲覧者の思考や見方に影響を与えかねないという点において間違っているように思います。Yahoo! JAPANサイドには掲載媒体をふるいにかけるよう願う次第です。

 

 

とはいえ、先入観やレッテル貼りというのは人間誰しもに備わっている感覚であり、かくいう自分も持ち合わせていたことは否定出来ません。ヴィジョンファクトリーの実力と、そして決して使ってはいけない”干される”という言葉(1月14日付)のエントリーを書く前は、特にアイドル(と呼ばれる人たち)を、観もしない段階で”観なくとも判る”としてその視界を自ら遮っていたものです。なので最近はまずは観聴きした上で判断するようにしています(そして個人的に評価が高くなかったものについては基本的には言及しないように努めています)。YouTube等のチェックもそうですが、なにより生で観られる環境があるならば行って判断しようと。

 

 

その点において、最近生で観て魅了されたのがのがダンスボーカルグループ、Da-iCE(ダイス)でした。先週末の『RABまつり』に登場したDa-iCEのステージに、素直に感動したものです。

旬のお笑い芸人と歌手とが十組近く登場するステージで、特に後方の観客はDa-iCEを知らない人が多いためアウェー感もあったでしょうが、最新シングル「エビバディ」披露前、サビでの手のフリをみんなでやろうとレクチャーするところで、”手を挙げなくてもいいからタイミングが来たらうなずいて!”と、照れくさくて出来ないでいる、もしくは保守的な観客にハードルの低い要求をしたのがかわいらしかったですね。そういう楽しいやり取りもあったゆえにより一体感が高まったのかと。

 

以前、安室奈美恵さんのライブを観て、激しいダンスをしながらそれでも一切ボーカルがぶれない姿にプロフェッショナルの何たるかを実感したのですが、Da-iCEのボーカル、想太・雄大両氏もほぼぶれない上に力強さや伸びやかさがあり、それでいてたとえばEXILE一派のボーカル担当に比べてダンスも激しく、曲の魅力が声、ダンスの両面によって増幅されているなと実感。『RABまつり』のステージ両サイドにステージを映すモニターがあれば、今回遠目で確認出来なかった”顔面偏差値75”についてもはっきり判るだろうなと思うのですが(そういう意味ではRABサイドにモニターの用意をお願いしたいところ。そして”顔面偏差値75”というキャッチフレーズも凄いなあと)、一緒に行った友人に付き添う形で握手会会場に行った際の五人の爽やかさには、(例えそれがビジネスであると解っていても)非常に好感が持てましたね。

 

ちなみに「エビバディ」は曲自体もよく出来ていて、サビ前の ♪Ready to go? という盛り上げの合図やサビ後半の変則的なメロディのリズムの刻み方が癖になりました。作曲担当の一人がステファン・エルフグレンというスウェーデン出身の方で、嵐「Endless Game」やKAT-TUN「TO THE LIMIT」、SHINeeLUCKY STAR」、GENERATIONS from EXILE TRIBE「Hard Knock Days」等を担当しており、現在のアイドルやダンスボーカルグループに欠かせない作家と言っても過言ではないでしょう。J-Popを手掛けるのが外国人というのも面白いところですが、そのステファン等が描いた変則的なメロディを自在にこなすDa-iCEの実力にはあらためて唸らされます。

 

次のシングル、「HELLO」は11月4日発売。ともすればヴィジョンファクトリーのメンバー同様、音楽番組での露出が様々な理由により制限されているかもしれませんが(これについての私見ヴィジョンファクトリーの実力と、そして決して使ってはいけない”干される”という言葉にて掲載)、より実力を高めて限界突破してほしいと切に願います。