イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

今年の夏を涼しく彩るセヴン・ストリーター「Before I Do」

最新の米ビルボード、7月8日付アダルトR&Bソングスチャートで11位に上昇しているのがセヴン・ストリーター「Before I Do」。この曲が今年の夏を席巻しそうな気がします。アレンジに漂う清涼感たるや。

それもそのはず、この曲は今は亡きアリーヤが1994年にリリースしたアイズレー・ブラザーズのカバー「(At Your Best) You Are Love」をサンプリング。当時アリーヤのパートナーだったR・ケリーによるアレンジは、アコースティックギターを絶妙に配し彼女の透明感ある声の魅力を更に引き出しています。

この美しい曲がサンプリングされているのだから抗うだなんて無理な話、なのです。

 

セヴン・ストリーターはこれまでガールズグループでの活動やクリス・ブラウンへのソングライティングを行ってきた方。詳細はbmrにありますのでそちらを是非。

そのセヴン、『Call Me Crazy, But...』(2013)、『Shoulda Been There, Pt. 1』(2015 CD未発売)という2枚のEPを経て、遂にフルアルバムをリリースするとアナウンス。先述した「Before I Do」を含むアルバム『Girl Disrupted』は来週、7月7日のリリースだそう。

トラックリストには、ミュージックビデオが制作されながらもザ・ドリームとの「D4L」(→YouTube)、およびグッチ・メインとの「Prolly」(→YouTube)が未収録。昨日書いたことの続きになりますがおそらくはアルバムカラーに馴染まない曲を排除したのでは?と。先行曲のうち「My Love For You」(→YouTube)や、タイ・ダラー・サインとキャム・ウォレスをフィーチャーした「Fallen」(→YouTube)がアルバム収録となっているわけで、今回は大人ミディアムな作品群で統一されるのかもしれません(よくよく考えたら、ヤンチャなイメージのあるクリス・ブラウンは今作に参加していない模様ですし)。

 

『Girl Disrupted』はCDでのリリースも予定されているらしいのですが、今現在日本で取り扱っているオンラインショップは見当たりません。ワーナーミュージック・ジャパン彼女のページがあるので、そこでの動向をチェックしてみようと思います。

【(プレイリスト) Diggin'】オリジナルアルバムに様々な理由で未収録となった曲達

昔行っていたシリーズ、【Diggin'】を復活することにしました。たとえば1時間のラジオ番組があるとしてその中で特集を組むとしたら、その週にリリースされた作品から一つを選びちょっと広く、ちょっと深く掘ってみたいと日頃考えており、その架空コーナー名を”Diggin’(掘り下げる)”と名付けた次第。

 

 

さて復活第一回目は、今日全世界同時発売となる、著名DJカルヴィン・ハリスによるニューアルバム『Funk Wav Bounce Vol.1』について。プレビューも非常にお洒落、そして今回はR&B/ヒップホップに特化したサウンドとなっているのです。

が、R&B/ヒップホップ特化したゆえ、昨年リリースしたあの大ヒット曲が未収録に終わっているのが個人的には非常に残念だったり。そこで、ニューアルバムを気に入ったならばこっちにも耳を傾けて欲しい(ですし、逆もまた然り)という思いを込めて、埋もれてしまいそうなシングル曲にもっと光を当てたいという意味も含め、【オリジナルアルバムに様々な理由で未収録となった曲達】と題し、以下に取り上げてみます。

 

 

カルヴィン・ハリス feat. リアーナ「This Is What You Came For」(2016)

R&B/ヒップホップという【アルバムのコンセプトに合わない】ためか、未収録に終わった楽曲。個人的に、昨年の洋楽の中でトップクラスに聴いた曲ゆえ残念ですがアルバムカラーを考えればやむなし、ですね。全米最高3位。昨年同じくリリースされた、本人歌唱の「My Way」(全米24位)も未収録となっています。

 

・アッシャー「Good Kisser」(2014)

音数を極度に抑えながらファンキーに仕上がったナンバー。米ビルボード総合ソングスチャートでは65位とヒットに至らなかったためか、直後に予定されていたアルバムは延期。後にリリースされた『Hard II Love』(2016)には未収録に終わりました。つまりは【アルバムの先行シングルとしての成績が芳しくなかった】ため未収録に。ただし国内盤ではボーナストラックとして収録。この曲はまだ救われているほうで、全米11位且つ全英8位とスマッシュヒットとなった、ジューシー・Jをフィーチャーした「I Don't Mind」(2014)は国内盤にすら未収録なのです。アルバム『Hard II Love』については以前ブログに記載しています。

 

・モニカ「All Eyez On Me」(2002)

同年リリース予定だった、同名アルバムからの先行シングル。マイケル・ジャクソン「P.Y.T.(Pretty Young Thing)」を使ったもののヒットせず、更には権利関係のトラブルがあったと聞きます(プロデューサーはマイケルのアルバム『Invincible』(2001)に関わったロドニー・ジャーキンスゆえ、権利等はスムースにクリアしたものとばかり...)。結局アルバムは日本のみの発売にとどまり、翌年の出し直し盤、『After The Storm』リリース時にはこの曲の収録が見送られることに。アッシャーと同様の理由に加え、【権利関係の問題】も見受けられます。

ちなみにその?マイケル・ジャクソンにも似た曲が。ただしこちらはシングルリリースがないためお蔵入りという状況ですが。

没後、アルバム「Michael」にて初めて日の目を見た作品。元来はモンスターヒットとなった『Thriller』に収録予定だった、Yellow Magic Orchestraの同曲を元とした歌詞有りカバーバージョン。未収録となった理由を検索すればいろいろ出てきますが、おそらくはモニカと同様の理由かと。

 

ブルーノ・マーズ「It Will Rain」(2011)

映画『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part1』のサウンドトラックに収録され全米4位を記録。しかしこの曲、前年リリースのファーストアルバム『Doo-Wops & Hooligans』、そして翌年リリースとなる『Unorthodox Jukebox』共に未収録となっています。カルヴィン・ハリス同様、アルバムのコンセプトに合わないと判断してのことかもしれませんしまた【サウンドトラック用の楽曲はオリジナルアルバムに収録しない】という決まりがあったのかもしれません。映画関連では他にも、たとえばアデル「Skyfall」(映画『007 スカイフォール』主題歌)も、後にリリースされた『25』には未収録となっています。

 

松任谷由実 小田和正 財津和夫「今だから」(1985)

オリジナルはこちらに。今年に入り、野口五郎さんがアルバム『風輪』の中で、信近エリさん、小野賢章さんを招いてカバーしています(ここでの信近エリさん、いい仕事してますね。『風輪』はApple Musicで聴取可能)。以前もこの曲が”オリコンシングルチャート1位曲で唯一の未CD化”であることを伝えましたが、今も状況は変わらず。

この曲が制作された理由は判りかねますが、おそらくは【後のオリジナルアルバム収録が何かしらの理由で叶わなかった】ということかもしれません。今後、たとえば松任谷由実さんにコラボレーションアルバムをリリースしていただき、その際収録して欲しいと切に願います。

 

 

オリジナルアルバムに漏れた曲でも、後からベスト等アルバムに収録されるものも少なくないでしょう。まずは漏れがあるとしてもその歌手のオリジナルアルバムを手に取り、聴いていけば、漏れた曲以外にもいい曲が沢山見つかるかもしれませんね。

オースティン・マホーンが狙っている?”日本の夏祭り”市場

今年上半期を席巻した洋楽といえばオースティン・マホーン「Dirty Work」ですね。

しかしながらこの曲を含むアルバムはリリースされず、結局デジタルダウンロードのみでしか手に入れることが出来ませんでした。その事態については、アルバムリリースの期待を込めて以前記載しています。

アルバムがリリースされないことにはCD化されない事態に業を煮やしたのか(?)、ユニバーサルが遂に動き出しました。この曲を”シングル”として、来月リリースする運びとなったのです。

自分が以前参加した結婚披露宴でも余興でブルゾンちえみさんネタが用いられており、CDリリースによって出し物用に購入する方は少なくないでしょう。

さて気になったのが、”盆ダンス”リミックスというもの。え...洋楽が盆踊りに?と思ったのですが、これが実は存在するんですよね。

ボニーM「Bahama Mama」(1979)が用いられているというのは衝撃的でした。他にも新宿の花園神社で流れたという報告も。

(勝手ながらブログを紹介させていただきました。問題があれば削除させていただきます。)

この、洋楽が盆踊りに用いられているというのは『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(TBSラジオ 土曜22時)の特集コーナーで知った次第。上記動画はおそらく特集の最中に宇多丸さんとライターの大石始さんがチェックしたものと思われます。みやーんさんによる書き起こしもありますので是非ご確認ください。

「Bahama Mama」が盆踊りに使われたその起源は完全には解っていないそうですが、ボニーM側が盆踊りに使ってくれと言ったとはちょっと考えにくいんですよね。ゆえに、今回のオースティン・マホーン「Dirty Work」盆ダンスリミックスが盆踊り市場向けに”狙って作った”というのは策士すぎやしないかという点は否めないのですが...といいつつも、その志は買いたいなと思っています。ただ、オースティン本人はこのリミックスをどう思っていることでしょう。

水森かおりコンサートに触れて演歌の楽しさを知る

先週火曜は弘前市にある弘果の、市場移転45周年記念謝恩コンサートへ。津軽の市場として親しまれている弘果では、お得意さまやお客さまへ感謝の意味を込めて、著名な歌手を招いた無料コンサートを行うのですが、今年来てくださったのがあの”ご当地ソングの女王”水森かおりさん。演歌好き、特に実力派が大好きな(というか、実は結構プロに厳しい耳を持っている)母親を連れて行ってきたのですが、その母親も、そして自分も大満足の一日に。自分は水森さんはおろか、演歌歌手のコンサート自体はじめてだと記憶しています(以前地元でのイベントにボランティアで参加した際、袖から西尾夕紀さんの40分近いコンサートを見たことはあります)が、新しいジャンルに触れることって大事なのだと学んだ次第。

 

この日の公演は昼夜2回×2時間。会場となった第3市場は普段はりんごの競り市で使われているため空調は期待出来ず(?)、熱のこもり具合が半端なかったのですが、その熱が本番では水森さんへの熱気に変わったと実感。コンサート後の水森さんのブログからはコンサートの充足感がひしひし伝わってきたのですが、それにしても3500人収容とは!昼夜公演ゆえ合計7千人ものお客さまが来場...青森県では屈指の動員人数ではないかと。そしてその会場奥まで握手しに行った水森さんの体力たるや。しかも2回。並大抵の体力ではありませんね。

 

それにしても、演歌のコンサートってなんて楽しいのでしょう。

まず、なんといっても歌唱力の高さ。演歌歌手は他ジャンルより歌が上手いのは当たり前かもしれませんが、その中でも水森さんの安定感たるや。特に第2部(とでもいうべきか)、過去の名曲のカバーコーナーで取り上げた楽曲における低音の重厚感。りんごの名産地ということで取り上げた、美空ひばり津軽のふるさと」の完璧なまでのカバーも圧倒的でした。演奏陣も素晴らしかった、とは母親の談。

先述したように水森さんの魅力はご当地ソングの数々にあるわけですが(後半には青森県を題材とした「五能線」も披露)、一曲目の「安芸の宮島」の披露後立て続けにご当地ソングが...と思いきや、曲の倍の時間を使って司会の藤沢一義さんと掛け合い。嬉しいときはぴょんぴょん跳ね、楽しいときはガハハと笑う...その姿が実年齢よりはるかに若い! とにかくかわいらしいのです。ちなみに女性の年齢について書くのは失礼かもしれないのですが、たとえば会場の男性とやり取りするコーナーにおいてその男性の未婚の息子の年齢が自身と近いことが判明するや”紹介してください”と言う、演歌歌手鉄板のネタ?も披露したり、会場の年齢層を踏まえてか”私を皆さんの娘だと思っていただければ嬉しい”みたいなことを言ったりしていて、なるほど年齢を公表するのはより親近感を抱いてもらうということなのかと納得。彼女の話術、親しみやすい雰囲気作りは演歌の伝統なのかもなあと。更には第2部後半、客席に降りて観客と触れ合う際に会場の端から端まで渡り歩き、汗をかきまくっても音程ブレることなく名曲を心地よく歌い上げ、握手に応じまくるその姿。ちょっとしたアクシデントや無礼だった観客の立ち居振る舞いも笑いのネタに、それも決してその人を傷つけることない形で昇華していたのも巧いなあと。ちょっとした謙譲の姿勢というか、こちらが気持ちよくなるような世界観を構築していているのが印象的でした。

 

水森さんを見て思ったのは、演歌歌手はゆるキャラだということ。可愛さがあり動きに茶目っ気がある、そして誰かを傷つけることがなく見るものを癒やす…水森さんについては跳ねること、そして全国各地に自身の作品を残しているという意味で、”ふなっしーがキティちゃんを着ている”と感じたのですがいかがでしょう? 

 

音楽面から言えば、演歌歌手が如何に『NHK紅白歌合戦』を大事にしているかを強く理解。この曲は何回目の紅白にとか、「鳥取砂丘」で初めて出場することが出来たとか、演歌歌手の知名度や浸透度に今も紅白が大きく左右していることに加え、それが目標になっているんだというモチベーションを実感しました。今年の勝負曲、「早鞆ノ瀬戸」を応援したいという思いで1枚CDを買わせていただき、母親に渡したところそのCDを手に取って水森さんに振り、水森さんに見つけてもらった、目が合った!と喜んでいました。

 

 

実力の高さ、かわいらしさと愛嬌たっぷりのところ、そしてご当地ソングの質の高さ…一度触れたら間違いなく応援したくなるのが水森さんの魅力なんだろうなと感じ、ほんわかな気持ちで帰路に。ゆえに今年の紅白出場を心から応援したくなりました。そして、演歌というジャンルのエンタテインメント性の高さに、今後また行ってみたいなと考えています。

米ソングスチャート、凪の状態に飛び込んだチャート常連女性歌手

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の6月26日月曜(日本時間の火曜早朝)に発表された、7月8日付最新チャート。ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」が7週目の首位に、そしてDJキャレドがトップ5内に2曲ランクインを果たしました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

全体的には凪の傾向ですが、DJキャレド feat. リアーナ&ブライソン・ティラー「Wild Thoughts」が4位に初登場。しかもこのチャートアクションが結構いいのです。

 

7週目の首位を記録した「Despacito」はデジタルダウンロードおよびストリーミングの2指標で首位、ラジオエアプレイでは1ランクアップし2位に到達。ラジオエアプレイの伸びは鈍化したものの前週比6%アップの1億3400万回を記録。デジタルダウンロードおよびストリーミングが共に僅かながら数値を落としているものの、未だ完全には衰えていないことが解ります。一方総合3位のブルーノ・マーズ「That's What I Like」はラジオエアプレイで8週目の1位(前週比2%ダウンの1億5200万回)。「Despacito」が追いつくにはまだまだ差があると言えそうです。

 

4位に初登場を果たしたのは「Wild Thoughts」。

今夏アイズレー・ブラザーズとのコラボアルバムをリリースする(それも当初の発表より前倒しで、輸入盤は7月28日に発売すると後日発表した)サンタナが、プロダクト・G&Bをフィーチャーして全米10週1位の大ヒットとなった「Maria Maria」(2000)をサンプリングしたのがこの曲。

6月16日にリリースされ、デジタルダウンロード、ストリーミング共に2位発進。ラジオエアプレイの23位発進も決して低くなく、最近ではメーガン・トレイナー「No」が昨年3月26日付で記録した21位以来となる、高位置での初登場となります。

2位の「I'm The One」、そして4位の「Wild Thoughts」はいずれも、先週23日にリリースされたDJキャレドのニューアルバム『Grateful』収録曲。豪華メンバーが参加していることで話題なのですが、そこからの先行曲がジャスティン・ビーバー、リアーナというチャートアクションに長けた面子の参加曲というのがマーケティングを熟知しているかのよう。なにせリアーナは、今回のランクインでトップ10入りが通算31曲目(トップ100においては60曲目)となり、2位のビートルズまであと3に迫っているのです(なお、1位はマドンナの38曲)。一方、DJキャレドにとっては3曲目、そしてブライソン・ティラーにとっては初のトップ10入り。ブライソンにおいては3週前にセカンド・アルバム『True To Self』をデジタルで前倒し発売し(自身はこの発売を当初から予定していたものと語っています)、アルバムチャートは制している一方、ソングスチャートにおいてはこれまで「Don't」の13位が最高ゆえ、念願のトップ10ヒットといえます。ブライソン・ティラーについては以前エントリーしていますのでよろしければ。

 

それにしても、今年のチャートアクションにおける”男性上位時代”たるや。「Wild Thoughts」でリアーナがトップ5入りしたことで、実は女性歌手が13週ぶりにトップ5にランクインしたのです。

4月8日付で3位を記録した、ゼイン&テイラー・スウィフト「I Don't Wanna Live Forever (Fifty Shades Darker)」以来13週ぶりとなる「Wild Thoughts」でのリアーナのトップ5入り。これは今から45年前に記録した14週ぶり以来となる長き不在(ロバータ・フラックダニー・ハサウェイと組んだ「Where Is The Love」(1972年8月12日付 5位)からヘレン・レディ「I Am Woman」(1972年11月18日付 4位)まで)。他方アルバムチャートではこの3週、ホールジー(6月24日付)→ケイティ・ペリー(7月1日付)→ロード(7月8日付)と女性ソロ歌手が立て続けに首位に。ソングスチャートでも女性がもっと活躍して欲しいなと。

 

 

11位以下をみると、イマジン・ドラゴンズ「Believer」が4ランクアップし11位に、セレーナ・ゴメス「Bad Liar」が3ランクアップし20位に。一方、凪に近いトップ10において、今週9位にコールドプレイとの「Something Just Like This」がランクインしたザ・チェインスモーカーズは、今週遂に連続トップ10入りが60週に到達しました。タイトルホルダーであるケイティ・ペリーの69週まではあと9週...今週2ランクダウンしたこともあり正直かなり厳しいかもしれませんが、どこまで伸びるのか期待しましょう。

RHYMESTERは“演歌”だ

先日、『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)にRHYMESTERMummy-DさんとDJ JINさんが出演。その際、クリス・ペプラーさんが新曲について”王道のライムス節”と話していたのが印象的でしたが、直後にMummy-Dさんが演歌だと例えていたことに、めちゃめちゃ納得した自分がいました。

クリス:「マイクの細道」ライムス節って感じですね。

Mummy-D:演歌ですね!ライムスターしかやらないヒップホップみたいな意味では演歌、ライムスター節ですね。

J-WAVE TOKIO HOT 100 - GUEST ROOM 6月11日付より

その”RHYMESTER的演歌”はこちら。

自分はRHYMESTER好きゆえ、こういう曲展開はいかにも彼ららしいと思うのですが、今の日本のヒップホップ界ではもしや異端なのかも?とふと思うことが。たとえば最近のヒップホップムーブメントを最も端的に示すような、Dungeon Monsters「MONSTER VISION」における高速ラップ等を踏まえるに、トレンドセッターとは別の立ち位置にいるであろう彼らの状況を大丈夫かと一瞬思ってしまったのですが、彼らから”自分たちしかやらない” ”演歌”というワードが出てきて激しく納得した次第。このスタイルで四半世紀以上活躍し続け、そして日本のヒップホップ界の土台を築き、牽引してきたんですよね。

Monster Vision - Single

Monster Vision - Single

  • Dungeon Monsters
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250

聴いた瞬間に自分の中でクラシック化し、昨日掲載した今年上半期邦楽ベストにも「マイクの細道」を選出したのは言うまでもありません。

 

そのRHYMESTERJ-WAVEの夏フェス【J-WAVE LIVE SUMMER JAM 2017】7月23日日曜に初見参。しかも大橋トリオによるスペシャルバンドをバックに従えてという異例づくめ?の状況ですが、宇多丸さんは”アウェイ大好き”と常日頃から語っているので(たとえば先日、自身のラジオ番組では、スキマスイッチとの対バンにおいてその考えを述べています。宇多丸 RHYMESTER×スキマスイッチ対バンライブ in 新潟を語る - miyearnZZ Labo(6月25日付)をご参照ください)、観客に対しどれだけの存在感を、”キングオブステージ”の凄さを見せつけてくれるのか、非常に楽しみです。

2017年上半期 私的邦楽ベストを選んでみた

個人的な趣味ながら、毎年上半期と下半期、そして年間を通して邦楽のベストソング集を選出しています。というわけで、今年もこの季節がやってきました。

 

<2017年上半期 私的邦楽ベスト (2017年6月25日作成)>

 

◯ 作成時のルール

 ・今年上半期に発売されたシングル、またはアルバムからの先行配信曲で、基本的にミュージックビデオが制作された曲から選出(ただし一部例外有り)

 ・1組の歌手につき1曲。ただし客演曲の場合はその限りではない

 ・1枚のCD-R(80分弱)に収まるように編集。歌手名の前の数字はトラックNo.であり順位ではない

YouTubeにミュージックビデオが掲載されている曲はYouTubeのリンクを、弊ブログで言及している曲にはブログのリンクを掲載

 

01.T-Groove feat. B.Thompson「Move Your Body (Radio Edit)」(→YouTube)

02.藤井隆「守ってみたい」(→ブログ)

03.G.RINA feat. 土岐麻子「All Around The World」(→YouTube)

04.女王蜂 feat. DAOKO「金星」

05.土岐麻子「PINK」(→ブログ)

06.w-inds.「We Don't Need To Talk Anymore」(→YouTube ブログ)

07.Doughnuts Hole「おとなの掟」

08.平井堅「ノンフィクション」(→YouTube ブログ)

09.ONE OK ROCK「We are」(→YouTube ブログ)

10.MONDO GROSSO「ラビリンス」(→YouTube ブログ)

11.椎名林檎トータス松本「目抜き通り」

12.小沢健二「流動体について」(→YouTube)

13.ゴスペラーズ「Fly me to the disco ball」(→YouTube ブログ)

14.レキシ「KATOKU」(→YouTube)

15.ベッド・イン「男はアイツだけじゃない」(→YouTube)

16.NakamuraEmi「大人の言うことを聞け」(→YouTube ブログ)

17.Alfred Beach Sandal + STUTS「Horizon」(→YouTube)

18.RHYMESTER「マイクの細道」(→YouTube)

19.三浦大知「Darkest Before Dawn」(→YouTube ブログ)

 

total time:1:18:52

ミュージックビデオ未制作、もしくは制作し公開しながらも期間限定のものが少なくなく、映像等で紹介出来ないのは残念です。

 

一曲目に選んだT-Grooveについては下記に詳細が掲載されています。

青森県出身ということ、そして以前リーダー作を取り上げた、ゴスペル/R&Bギタリストの上條頌さんなどが参加していることなどで個人的に要注目のプロデューサー。フランスからのリリースゆえ邦楽に入れるのはどうなのかなと思いつつも、その音には抗えず選出した次第。至極勝手ながら、『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)の今月エンディングテーマに同曲を選ばせていただきました。1970~80年代のディスコティークを現代にブラッシュアップさせたT-Groove氏の楽曲群、当時ディスコで遊んだ方なら間違いなく惹かれるはずです。

前半は「Move Your Body」からの流れで80年代を意識したサウンドから最近の流行を完璧に自身のモノにしたw-inds.まで、ダンスミュージックを網羅。シリアスで刺さる音や詞世界の作品群を経て、復活したMONDO GROSSO小沢健二さん、そして新鋭のベッド・インに至るまでを配置。ベッド・イン...失恋を忘れて次へ行こうという思いと後悔の念とが絶妙にブレンドされた歌詞が巧いなあと唸らされまくり。同性に支持されるのがよく分かりますね。

Alfred Beach Sandal + STUTS「Horizon」は6月18日付のJ-WAVE TOKIO HOT 100で初登場していたのを機に知り、ひと聴き惚れ。そのタイミングで音楽プロデューサーの松尾潔氏もお気に入りだとつぶやいています。こういうざらつきのあるヒップホップ的音世界なR&Bが好きなんだよなあと再認識した次第。そして最後は希望を謳う、切り拓く歌達で締めてみました。

 

下半期はどういう音楽と出逢えるでしょうか。RHYMESTERのニューアルバムも出そうな雰囲気ですし、復活した小沢健二さんがフジロックに出るということはもしや同日のCorneliusと...?との噂(という名の希望)も。そして椎名林檎さんにはそろそろアルバムを期待したいところです(Doughnuts Holeのフィジカル化も希望)。