表題曲のうち、”UP-IN-HEAVEN MIX”がオリジナルアルバム『Distance』(2001)およびベストアルバム『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1』(2004)に収録されながら、このバージョンに関してはシングルのみの収録となっており、若干手に入れにくい状況といえるかもしれません。両方ともジミー・ジャム&テリー・ルイスによるプロデュース。ちなみに”UP-IN-HEAVEN MIX”は下記に。
”UP…”がハープ的なウワモノの効いたオリエンタルなアレンジ(それこそ当時、ブランディ&モニカ「The Boy Is Mine」(→YouTube)を大ヒットに導いたロドニー・ジャーキンス的な仕様。後にロドニー自身が宇多田ヒカルさんのシングル「タイム・リミット」(2000)に参加しています)を施し当時の流行に即したものであるのに対し、”UNDERWATER…”ではジャム&ルイス自身がプロデュースしたジャネット・ジャクソン「That's The Way Love Goes」(1993)を彷彿。動画サビ、1分46秒から挿入される音とかまさにジャネットのそれ。このアレンジをはじめて聴いたとき、R&B好きな自分は歓喜したものでした。「That's…」はリリースされた瞬間からクラシック化したといっても過言ではなく、ゆえに”UNDERWATER MIX”は(”UP…”の流行に即したのとは逆に)タイムレスと表現していいでしょうね。
そういえば自分が好む曲が世間の支持とずれることは往々にしてあることだったりします。たとえばMISIAさんについては、1999年に同時発売された2つのシングル、「忘れない日々」と「sweetness」で後者が好きなのですが、セールス面では前者が4位、後者が7位(いずれもオリコンより)と差が開いたのみならず、15周年記念ベストアルバム『Super Best Records-15th Celebration-』(2013)には「忘れない日々」が収録されたものの「sweetness」が未収録というのは残念で仕方ありません。
現地時間の2月27日月曜(日本時間の火曜)早朝に発表された、3月11日付最新チャート。グラミー賞効果が薄れる中、エド・シーラン「Shape Of You」が4週連続、通算5週目となる1位を記録しました。
記事は下記に。
そしてトップ10はこちら。
「Shape Of You」、デジタルダウンロードは大きく後退(前週比27%ダウン)するもののそれでも147,000という驚異的な数値をマーク。ラジオエアプレイは同6%アップと更に数値を伸ばし1億5400万回、ストリーミングでも二桁の伸びをマーク(同12%アップ)し、4180万再生を記録しました。
これを今週2位の「Bad and Boujee」と比べると、ストリーミングこそ「Shape…」に勝るものの前週比3%ダウンの4640万再生、ラジオエアプレイは6200万回、デジタルダウンロードは35,000とその差は絶大。ラジオエアプレイで3倍、デジタルダウンロードで4倍以上の開きがあるわけで、「Shape…」はもはや誰も手がつけられないほどの独走態勢に入っています。
トップ10内で勢いが増しているのはまず、3ランクアップで4位に到達したブルーノ・マーズ「That's What I Like」。アルバム『24K Magic』から2曲目のトップ10入りで、タイトルトラックの最高位に並びました。グラミー賞での披露曲はケイティ・ペリー feat. スキップ・マーリー「Chained To The Rhythm」(前週4位→今週8位)のように下がるのが通常ですがこの曲は別。たしかにデジタルダウンロードは下がったものの前週比11%ダウンに留まり、ストリーミングは同29%、ラジオエアプレイでは同26%もの大幅アップに。
ミュージックビデオが今月16日に公開され、ストリーミングは前週比20%上昇し同部門でトップ10入り。ザ・チェインスモーカーズは遂に4月、初のフルアルバムとなる『Memories…Do Not Open』をリリースするとアナウンスしており、アルバムへの期待度上昇に合わせてこの曲も伸びる可能性があります。
そして「Shape…」の刺客は自分自身になる可能性も…とでも言うべきか、エド・シーランの新曲「How Would You Feel (Paean)」が41位に初登場を果たしました。「Shape…」および「Castle On The Hill」が初登場で同時トップ10入りしたことに比べればその勢いはまだまだといえますが、デジタルダウンロードで初週6万近いセールスを記録しているのは立派と言えます。アルバム『÷ (Divide)』がいよいよ今週リリースされることから、再来週のチャートで先行曲3曲がどうなっているのかも楽しみです。
ちなみに。これは『J-WAVETOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)で聞いたのですが、『÷』が出来上がった際、どの曲がいい?とエドが彼女に尋ねたところ、曲が出来たときにメールで送ってくれたという「How…」は入ってないの?と彼女が聞き返したとか。たしかにこの曲の美しさには老若男女問わず誰もがうっとりしますよね…。
前作からは「Thinking Out Loud」というあまりにも美しいバラードが誕生しました。エド・シーランが奏でるまっすぐでポジティブな愛の歌は多くの方の背中を押してくれる…この曲にもそんな力が宿っている気がするのです。
ホイットニー・ヒューストンが主演した映画『Waiting To Exhale (邦題:ため息つかせて)』(1995)のサウンドトラックに収録されたのがこの「And I Gave My Love To You」。サントラはベイビーフェイスが全曲をプロデュース、「My Funny Valentine」を除く全曲をソングライティングしたいわゆる”美メロ”満載の良質R&B作品。1997年のグラミー賞では6部門でノミネート(曲単位では5部門で10曲も)、そしてアルバムは主要部門である最優秀アルバム賞にノミネートされているのです。サントラには主演のホイットニーをはじめベテランのアレサ・フランクリンやチャカ・カーン、当時新鋭のブランディ等が参加していましたが、その中で唯一ポエトリーリーディングで登場したソーニャ・マリーの流麗さにはものすごく惹かれたものでした。その美しさを更に際立たせるピアノを担当するのは、なんと同じR&B歌手のパトリース・ラッシェンというのだから驚きです。パトリースといえば、ディスコクラシックの「Forget Me Nots」がウィル・スミスの大ヒット曲「Men In Black」に大胆に用いられていましたね。
その『Waiting…』以来、彼女のアルバムを首を長くして待ち続けたものの一向に音沙汰なく…ようやく11年後、2006年に届けられたアルバム『Black Album vol.1』は自主レーベルからのリリースで、メジャー発でなかったことを若干憂いたものの、ポエトリーリーディングは変わらずでしたので安堵した次第。アルバムはApple Musicで確認出来ます。
『The Doctors』というアメリカのテレビ番組出演時のもの。昨年12月にアップロードされていますが、左下の番組ロゴが画面比4:3時代のものなので大分前かもしれません(とはいえFacebookの写真とこの映像を観るに、本人であることはほぼ間違いないでしょう)。で、この動画のタイトルには”Horoscope”とあり、彼女が占星術師でありその観点から医療について話していると考えていいでしょう。彼女の公式ページのバイオグラフィーにも西洋占星術と記載されています。占星術師、そして吟遊詩人という複数の顔を併せ持つことで、音楽活動に集中というのが出来かねる環境かもしれませんが、いつの日か「And I Gave My Love To You」に勝るとも劣らない名曲を生み出してほしいと願うばかりです。