イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ゴロワーズは吸ったことも見たこともないけれど

自分の中で、「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」といえばおおはた雄一さんのカバーでした。関東に住んでいた頃に何度か、間近で拝見させていただきました。

ゴロワーズ”は吸ったことがありませんし、器官が弱く副流煙すら受け付けない自分には1ミリのタバコにすらも距離を置くのですが、こんなに素晴らしい曲を作った方が亡くなると知り、吸わないまでも手にしておけばよかった、実物をみてみたかった、そしてご本人によるオリジナルバージョンを聴きたかった…と痛感させられます。

 

ムッシュかまやつさんのご冥福をお祈りします。

普段聴きの局と化しているNHKラジオ第1放送の”強み”

毎週金曜はラジオの話。

 

 

このブログでは、青森県のラジオ番組について何度か取り上げてきたのですが、最近、特に平日帯の番組はRABラジオからNHKラジオ第1放送へと、聴取番組がシフトしている自分がいます。特に午後の時間帯は『ごごラジ!』(月-金曜13時05分)を聴く機会が増えました。

その理由は様々あり、マイナスの理由もあるのですが、NHKラジオ第1放送を聴く理由は何かと考えたところ、【帯で同じ方がパーソナリティを務めている】ことでは、と行き着いた次第です。

 

たとえば『ごごラジ!』では曜日ごとのパーソナリティとは別に、進行役として神門光太朗アナウンサーが毎日担当しています。しかし進行役といいながら、パーソナリティがメッセージを読むこともあれば神門アナウンサーがメッセージにまつわる意見や思い出等を話してやり取りが弾むなど、番組を聴くと2人のパーソナリティが同等の立場で存在しているといえます。神門アナウンサーの立ち位置はでしゃばりすぎず適切な場所にいるゆえ心地よいのです。

また、帯で毎日同じ方が出演されるというメリットのひとつが、ある曜日に出た話題を他の曜日と共有出来る点。リスナーからのメッセージを元に膨らむ話題は数多くあるわけで、その話題が他の曜日に派生出来ればリスナーも喜ぶはず。それにより、各曜日に連帯感(一体感)が生じるのではないかと思うのです。

 

他方、曜日ごとにパーソナリティが異なれど同じフォーマットで番組作っているんだから同じでは?という見方は無論正しいと思います。とはいえ、平日帯を同じパーソナリティが務めていないと、曜日によってレベルの差がより大きくなると思うのです。個人的に、聴取頻度を下げた番組における、(どの曜日とは申し上げませんが)やり取りする相手を軽視するかのような態度が散見される模様には辟易したもの(声だけのメディアゆえ、その声の細かな機微でそういうのは伝わっていくものなんですよね)。そうすると、別の曜日は面白いとなっても、先述したような聴いて辛くなる曜日があるから全体的に聴かなくなっていく(フェードアウトしていく)…というリスナーは自分だけではないでしょう。

 

 

この、平日帯番組でパーソナリティ(FMならばDJ。局によって呼び名は異なりますが)が全曜日で共通していないという件は、なにも自分の住む青森に限らず、今では東京の放送局でも、または全国でネットされるJFN系(ジャパンエフエムネットワーク)などでも数多くみられますし、最近特に増えているように思います。たとえば青森の午前の番組においては、『今日も!あさぷり』(月-金曜9時)では3名のアナウンサーが担当していますが(以前は2名でした)、対するNHKラジオ第1放送『すっぴん!』(月-金曜8時05分)ではアンカーとして藤井彩子アナウンサーが全曜日出演しています。

藤井アナウンサーの姉御的キャラの強さが曜日別男性パーソナリティに刺激を与え相乗効果を発揮することも多い『すっぴん!』はある意味、”藤井カラー”が通底しており、平日午前と言えば藤井さんの声…というラジオ好きな方は少なくないでしょう。

 

 

ラジオはメディアの中でも、出演者とリスナーの距離感が特に密なものであり、また”ながら”(勉強や学習、家事等)で聴くことが出来る、そばに寄り添ってくれるものです。特に後者において、出演者の声やコーナーを聴いて”今は何時頃だ”と感じる、いわば生活リズムの基礎にラジオがあるというリスナーの方は多いのではないでしょうか。その際、曜日毎にパーソナリティが完全に異なるとその時間感覚が少しわかりにくくなる…ということもあるかもしれず、リスナーひとりひとりの生活に密着しづらくなるのは勿体無いと思うのです。

 

いや、局側からすれば、曜日に共通したパーソナリティを置けないという事情はあるでしょう。特にアナウンサーが担当する場合、別番組の出演だったりロケや出張などがあることは容易に想像出来ます。とはいえ先述したような生活密着感が薄れること、またはこの局、そしてラジオといえばこの人という”ラジオの鑑”的な人が生まれにくいという点でこれまた勿体無い気がするのです。局側の事情には他にも、万一の不祥事を踏まえたリスク回避策というのもあるかもしれませんが、ラジオに適した強力なキャラクターがいればそのリスクもひっくるめて起用した局がきちんと責任を負うと明言し、誇りを持って接すれば好いと思うのですが如何でしょう。リスクの中はアクの強さによる一部リスナーからの反発もありますが、アクにもいいアクとそうでないものとがあることは、たとえば個人的な主観で例を挙げるならば前者は小島慶子さん、後者は『ごごラジ!』の前番組を務めた山田まりやさんがおり、アクが強くても自分が前へ行き過ぎないか、周りに気を配れるか等をリスナーからの反応を確認しながら(この反応は意識してもしすぎないようにしないといけないとは思いますが)、半期の改編毎に継続する/しないの英断を下していけな好いと考えます。

 

 

『ごごラジ!』も『すっぴん!』もこの春以降の継続が決定しています。現にネット等では民放からNHKラジオ第1放送への移行という声も目に(耳に)しており、民放局は意識してNHKラジオ第1放送の番組群と対峙、無論吸収出来るところはしていかないといけないでしょう。少なくともパーソナリティ配置については、NHKスタイルを採ってほしいと切に願います。

自分が好きな曲が世間とズレていると思う事案

昨夜ふと思い出したこの曲。実はアルバム未収録のバージョンのほうが好みだったりします。

宇多田ヒカルAddicted To You (UNDERWATER MIX)」(1999)

表題曲のうち、”UP-IN-HEAVEN MIX”がオリジナルアルバム『Distance』(2001)およびベストアルバム『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1』(2004)に収録されながら、このバージョンに関してはシングルのみの収録となっており、若干手に入れにくい状況といえるかもしれません。両方ともジミー・ジャム&テリー・ルイスによるプロデュース。ちなみに”UP-IN-HEAVEN MIX”は下記に。

”UP…”がハープ的なウワモノの効いたオリエンタルなアレンジ(それこそ当時、ブランディ&モニカ「The Boy Is Mine」(→YouTube)を大ヒットに導いたロドニー・ジャーキンス的な仕様。後にロドニー自身が宇多田ヒカルさんのシングル「タイム・リミット」(2000)に参加しています)を施し当時の流行に即したものであるのに対し、”UNDERWATER…”ではジャム&ルイス自身がプロデュースしたジャネット・ジャクソン「That's The Way Love Goes」(1993)を彷彿。動画サビ、1分46秒から挿入される音とかまさにジャネットのそれ。このアレンジをはじめて聴いたとき、R&B好きな自分は歓喜したものでした。「That's…」はリリースされた瞬間からクラシック化したといっても過言ではなく、ゆえに”UNDERWATER MIX”は(”UP…”の流行に即したのとは逆に)タイムレスと表現していいでしょうね。

2つのアレンジともにR&B的ではありますが、より流行りに乗っかった方をメインに選んだのは当時の時流を踏まえ、よりセールスをあげるためには自然のことではあるでしょう。とはいえ埋もれさせたくない名バージョンですので、ひとりでも多くの方に”UNDERWATER MIX”を手に取ることをお勧めします。

シングルCDは中古で100円台で手に入れること出来るかもしれません。

 

 

そういえば自分が好む曲が世間の支持とずれることは往々にしてあることだったりします。たとえばMISIAさんについては、1999年に同時発売された2つのシングル、「忘れない日々」と「sweetness」で後者が好きなのですが、セールス面では前者が4位、後者が7位(いずれもオリコンより)と差が開いたのみならず、15周年記念ベストアルバム『Super Best Records-15th Celebration-』(2013)には「忘れない日々」が収録されたものの「sweetness」が未収録というのは残念で仕方ありません。

実はこの考えは以前も記載していました。

日曜ラジオのスタッフと、”昔はシングル同時発売ってよくありましたよね”という話をした際に「忘れない日々」と「sweetness」も話題に上がったのですが、その際のスタッフからの、”もしかしたらJ-PopとR&Bという異なるタイプの楽曲を同時発売してセールスの結果を見ることで、今後の方向性を見極めようとしてたんじゃないか?”という意見に納得。なるほどもしかしたら「忘れない日々」の成功がMISIAさんの分岐点になったのかもしれませんね。

今月後半、発売開始から1年未満で解禁されるユニバーサル洋楽国内盤一覧

このブログでは以前から、【洋楽国内盤の発売後1年未満でのレンタル解禁】について発信してきました。昨年7月のユニバーサルの解禁再開、昨年11月のソニーの初解禁、そして先月遂にワーナーが解禁したことにより、大手レコード会社が足並みを揃えました。

 

さて、今月はユニバーサルが、新たなタイトルを前倒しで解禁します。以下は3月25日に解禁される作品群。

ノラ・ジョーンズ『Day Breaks』

 …国内盤発売:2016年10月5日

ロバート・グラスパー・エクスペリメント『ArtScience』

 …国内盤発売:2016年9月16日

・スティング『57th & 9th (ニューヨーク9番街57丁目)』

 …国内盤発売:2016年11月11日

アヴェンジド・セヴンフォールド『The Stage』

 …国内盤発売:2016年10月28日

ボン・ジョヴィ『This House Is Not For Sale』

 …国内盤発売:2016年11月4日

メタリカ『Hardwired…To Self-Destruct』

 …国内盤発売:2016年11月18日

レディー・ガガ『Joanne』

 …国内盤発売:2016年10月21日

・ワンリパブリック『Oh My My』

 …国内盤発売:2016年10月7日

・DNCE『DNCE』

 …国内盤発売:2016年11月18日

アリアナ・グランデ『Christmas & Chill』

 …国内盤発売:2016年11月18日

・ザ・ウィークエンド『Starboy』

 …国内盤発売:2016年12月23日

以上、TSUTAYA掲載、3月4週(20~26日)にレンタル開始されるアルバム一覧より。ちなみに同じ日にはワーナーより、バーディーとルーカス・グラハムが解禁されますが、こちらはいずれも昨年春の国内盤発売。おそらくは前回の解禁時に何かしらの理由で出さなかったものかもしれません。

今回のユニバーサル版の目玉は、アカデミー賞に登場した(その直後にアメリカで売上が急伸した)スティング、J-WAVE冬のキャンペーンソングを担当したDNCE、そしてタイトル曲が全米チャートを制したザ・ウィークエンドでしょうか。その他にも先月のスーパーボウルで世界中を唸らせたレディー・ガガや日本で根強い人気を誇るノラ・ジョーンズなど、どれも話題作といって過言ではないでしょう。気になる方は是非解禁日にレンタル店を訪れてみてください。

 

 

先述した大手3社、そして以前から邦楽同様のレンタル解禁を徹底しているエイベックスや、リリース後半年程度での解禁を行うPヴァイン…というように、大手や準大手はそのほとんどが、”洋楽国内盤レンタルは発売開始から1年後”というこれまでの慣習を変えてきました。そんな中で、先述した作品群と同じ3月25日に解禁となるこの作品の発売元は、未だ1年にこだわっているようです。

アレスタ/アレクサンドラ・スタン レンタルCD - TSUTAYA 店舗情報 - レンタル・販売 在庫検索

国内盤はビクターエンタテインメントより昨年3月9日発売。ビクターの洋楽国内盤は決して多いとはいえませんが、たとえばヒップホップの重鎮であるスヌープ・ドッグの、昨年8月24日に国内盤が発売された『Coolaid』は、現段階で今年9月上旬のレンタル開始予定となっています。邦楽では勢いを増している(および、RHYMESTERぼくのりりっくのぼうよみサカナクションやレキシなど個人的に好きな歌手が多いゆえ好感を抱いている)のですが、洋楽については他社と、悪い意味で差別化されてきているような気がします。

米ビルボードソングスチャート、独走態勢のエド・シーランを破るのは誰か?

ビルボードソングスチャートを定点観測。

 

現地時間の2月27日月曜(日本時間の火曜)早朝に発表された、3月11日付最新チャート。グラミー賞効果が薄れる中、エド・シーラン「Shape Of You」が4週連続、通算5週目となる1位を記録しました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

「Shape Of You」、デジタルダウンロードは大きく後退(前週比27%ダウン)するもののそれでも147,000という驚異的な数値をマーク。ラジオエアプレイは同6%アップと更に数値を伸ばし1億5400万回、ストリーミングでも二桁の伸びをマーク(同12%アップ)し、4180万再生を記録しました。

これを今週2位の「Bad and Boujee」と比べると、ストリーミングこそ「Shape…」に勝るものの前週比3%ダウンの4640万再生、ラジオエアプレイは6200万回、デジタルダウンロードは35,000とその差は絶大。ラジオエアプレイで3倍、デジタルダウンロードで4倍以上の開きがあるわけで、「Shape…」はもはや誰も手がつけられないほどの独走態勢に入っています。

 

 

ではそのエド・シーランを破るのは誰になるでしょう?

 

トップ10内で勢いが増しているのはまず、3ランクアップで4位に到達したブルーノ・マーズ「That's What I Like」。アルバム『24K Magic』から2曲目のトップ10入りで、タイトルトラックの最高位に並びました。グラミー賞での披露曲はケイティ・ペリー feat. スキップ・マーリー「Chained To The Rhythm」(前週4位→今週8位)のように下がるのが通常ですがこの曲は別。たしかにデジタルダウンロードは下がったものの前週比11%ダウンに留まり、ストリーミングは同29%、ラジオエアプレイでは同26%もの大幅アップに。

こちらは今月22日に公開された、英ブリット・アワードでのパフォーマンスの模様。本人のYouTubeアカウントで公開されておりもしかしたらストリーミングの加算対象かもしれません。そしてさらにミュージックビデオが公開されれば更なる上昇も見込めます。

 

6位にはザ・チェインスモーカーズ「Paris」がみたびのトップ10入りにして最高位を更新。

ミュージックビデオが今月16日に公開され、ストリーミングは前週比20%上昇し同部門でトップ10入り。ザ・チェインスモーカーズは遂に4月、初のフルアルバムとなる『Memories…Do Not Open』をリリースするとアナウンスしており、アルバムへの期待度上昇に合わせてこの曲も伸びる可能性があります。

ちなみに先週、ザ・チェインスモーカーズ feat. ホールジー「Closer」がホットダンス/エレクトロニックソングスチャートで同チャート単独最多となる27週1位を記録したことを書いたのですが(米ソングスチャート、グラミー賞効果&新記録が満載(2月22日付))、今週同チャートでトップに立ったのが「Paris」となり、「Closer」の28週目の1位を自身が阻んだことに…ザ・チェインスモーカーズの勢いは凄まじいものがありますね(本人的にはちょっと複雑かもしれませんが)。

 

7位は、先週自分が「Shape…」の最大の刺客と称したリアーナ「Love On The Brain」。ラジオエアプレイでは前週比7%上昇とさらに勢いを増したものの総合では1ランクアップにとどまっています。

 

そしてトップ10以下を見てみると、カイゴ feat. セレーナ・ゴメス「It Ain't Me」が前週の93位から大きく上昇し12位につけました。

健康上の理由から現在休業中のセレーナですが、客演を機に少しずつ復活する可能性はあるかもしれません。「It…」は今月16日にリリースされ、今週はデジタルダウンロードで3位に上昇、ストリーミングでは14位に初登場を果たしています。

 

また、先述した『Memories…Do Not Open』から、ザ・チェインスモーカーズがなんとコールドプレイを客演に迎えた「Something Just Like This」が56位に初登場を果たしました。

ブリット・アワードでも披露されたこの曲は2月22日のリリース。集計期間3日でデジタルダウンロードは33,000を記録しています。

 

そして「Shape…」の刺客は自分自身になる可能性も…とでも言うべきか、エド・シーランの新曲「How Would You Feel (Paean)」が41位に初登場を果たしました。「Shape…」および「Castle On The Hill」が初登場で同時トップ10入りしたことに比べればその勢いはまだまだといえますが、デジタルダウンロードで初週6万近いセールスを記録しているのは立派と言えます。アルバム『÷ (Divide)』がいよいよ今週リリースされることから、再来週のチャートで先行曲3曲がどうなっているのかも楽しみです。

ちなみに。これは『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)で聞いたのですが、『÷』が出来上がった際、どの曲がいい?とエドが彼女に尋ねたところ、曲が出来たときにメールで送ってくれたという「How…」は入ってないの?と彼女が聞き返したとか。たしかにこの曲の美しさには老若男女問わず誰もがうっとりしますよね…。

前作からは「Thinking Out Loud」というあまりにも美しいバラードが誕生しました。エド・シーランが奏でるまっすぐでポジティブな愛の歌は多くの方の背中を押してくれる…この曲にもそんな力が宿っている気がするのです。

ぼくりりで思い出した、R&Bの吟遊詩人による名曲

昨夜この情報を知り興奮冷めやらぬ状態です。

好きな歌手が来青すること、それもプロモーションで訪れてくださるのは嬉しいですね。ましてや個人的には、昨日旧譜を購入したばかりゆえ尚の事。滞在時間は短いと思いますが、青森で美味しいものを食べて、素敵な人に触れて、”また訪れたい!”と思っていただけたならば嬉しいです。

 

 

さて、以前ぼくのりりっくのぼうよみさんを取り上げた際に”吟遊詩人”なるフレーズを用いたのですが。

その流れで思い出した歌い手を今日は紹介します。その名は、ソーニャ・マリー。

ホイットニー・ヒューストンが主演した映画『Waiting To Exhale (邦題:ため息つかせて)』(1995)のサウンドトラックに収録されたのがこの「And I Gave My Love To You」。サントラはベイビーフェイスが全曲をプロデュース、「My Funny Valentine」を除く全曲をソングライティングしたいわゆる”美メロ”満載の良質R&B作品。1997年のグラミー賞では6部門でノミネート(曲単位では5部門で10曲も)、そしてアルバムは主要部門である最優秀アルバム賞にノミネートされているのです。サントラには主演のホイットニーをはじめベテランのアレサ・フランクリンチャカ・カーン、当時新鋭のブランディ等が参加していましたが、その中で唯一ポエトリーリーディングで登場したソーニャ・マリーの流麗さにはものすごく惹かれたものでした。その美しさを更に際立たせるピアノを担当するのは、なんと同じR&B歌手のパトリース・ラッシェンというのだから驚きです。パトリースといえば、ディスコクラシックの「Forget Me Nots」がウィル・スミスの大ヒット曲「Men In Black」に大胆に用いられていましたね。

 

その『Waiting…』以来、彼女のアルバムを首を長くして待ち続けたものの一向に音沙汰なく…ようやく11年後、2006年に届けられたアルバム『Black Album vol.1』は自主レーベルからのリリースで、メジャー発でなかったことを若干憂いたものの、ポエトリーリーディングは変わらずでしたので安堵した次第。アルバムはApple Musicで確認出来ます。

更にその4年後には『Nativity Screams』(→Apple Music)をリリース。2014年にはラサーン・パターソンの新曲「ForeverMyDarlin'」にフィーチャーされていますが、おそらく彼女の現在における最新曲はこの客演作かと思われます(そしてそれはラサーンにとっても同じなのかも)。

 

 

さて彼女、Facebookページでは頻繁に更新しているようで安心しました。そのページでは音楽より、どちらかというと星関係の写真が多いのが気になったのですが、最近?出演したであろうテレビ番組の動画を観てその理由が(自分なりに)判明。

『The Doctors』というアメリカのテレビ番組出演時のもの。昨年12月にアップロードされていますが、左下の番組ロゴが画面比4:3時代のものなので大分前かもしれません(とはいえFacebookの写真とこの映像を観るに、本人であることはほぼ間違いないでしょう)。で、この動画のタイトルには”Horoscope”とあり、彼女が占星術師でありその観点から医療について話していると考えていいでしょう。彼女の公式ページのバイオグラフィーにも西洋占星術と記載されています。占星術師、そして吟遊詩人という複数の顔を併せ持つことで、音楽活動に集中というのが出来かねる環境かもしれませんが、いつの日か「And I Gave My Love To You」に勝るとも劣らない名曲を生み出してほしいと願うばかりです。 

 

 

ちなみに、先述したサウンドトラックには、「And…」並に不思議な浮遊感をもつ、シャンテ・ムーア「Wey U」も収められています。このサントラ、たとえばブックオフ等では300円以下で購入出来るはずで、良質R&Bや美しいメロディライン、最近のベイビーフェイスやアフター7といった良盤が気に入った人にはマストアイテムと断言します。是非とも手に入れていただきたいと思います。

ゴスペラーズ「Fly me to the disco ball」を聴いて宙に舞えるかの勢い

それくらい、ひと聴き惚れしました。

 

ゴスペラーズが今週リリースしたシングル、「Fly me to the disco ball」の歌い出し、そのメロディに心が溶ける思いがしました。素晴らしいの一言に尽きます。

80年代感のあるシンセのウワモノの心地よさもさることながら、歌い出しの♪Ah がこの名曲を想起。イメージとしてはジャパニーズR&Bの先駆者、久保田利伸さんによる初期の名曲「永遠の翼」と相俟っているような気がして、得も言われぬ快感を覚えます。

しかも「Fly…」は自分が大好きな三連リズムゆえ、より心地よく感じています。

 

リードを担当する酒井雄二さんが作詞および共作曲を手掛けるこの「Fly…」。酒井さんは前作のダブルAサイドシングル、「Recycle Love」も作っていて、独特の作り方(これもある種の"ループソング"ですね)によって生まれたこの曲は自分が昨年下半期の邦楽ベストに選んだほど。独特の作り方、構築の仕方が解るミュージックビデオについては下記リンク先に。

 

「Recycle Love」のカップリングにしてダブルAサイドとなるシングル、「GOSWING」ではニュージャックスウィングに挑戦しており、ブルーノ・マーズ『24K Magic』よりも前に挑戦しているということに。こちらも以前記載しました。

これら最近のシングルに共通しているのは、メロディラインの着地点に若干の差異はあれど、歌謡曲的な落とし込みをほとんど行っていないという点。J-Popからいい意味で逸脱出来るようになった…売れ線を作らないといけないというしがらみから解放されたと言い換えても良いかもしれない、そんな彼らが放つ近年の楽曲群が心地よさや抜けの良さを持ち合わせているのは非常に嬉しいこと。来月にはニューアルバム『Soul Renaissance』がリリースされるということですが、間違いない内容となっていることでしょう。楽しみです。