通常は木曜に紹介する、水曜に発表された最新10月14日付ビルボードジャパンソングスチャート。昨日はサブスクリプションサービス解禁案件を優先して取り上げた関係で、今日あらためてソングスチャートの注目点を紹介します。
・坂道グループとAKBグループの差はシングルCDセールス加算初週に表れる
今週ソングスチャートを制したのは、日向坂46「こんなに好きになっちゃっていいの?」でした。
日向坂46に限らず、坂道グループはシングルCDセールス指標が強いものの他指標もきちんと稼いでいるのが特徴。
#ビルボードジャパン最新チャート速報
— Kei / ブレストコナカ (@Kei_radio) October 9, 2019
ソングスチャートを制した #日向坂46「#こんなに好きになっちゃっていいの?」はシングルCDセールス主体のチャート構成比ながら8割強であり、坂道グループが他指標をまんべんなく稼いでいることが解ります https://t.co/G2lIDFxleh
では、2週前に首位を獲得したAKB48「サステナブル」はどうでしょう。2週前のCHART insightをみると。
「サステナブル」は9割以上をシングルCDセールスで占めたことでCDセールスが急降下した翌週は他指標が補填出来ずに39位に急落。そして首位獲得からわずか2週後の今週、100位圏外(300位以内)へ急落してしまいました。
#ビルボードジャパン最新チャート速報
— Kei / ブレストコナカ (@Kei_radio) October 9, 2019
ソングスチャートを2週前に制していた #AKB48「#サステナブル」は前週の39位から今週は100位圏外(300位以内)に急落。ストリーミング、動画再生という接触指標群が加算ゼロという状況をみるに、ライト層に浸透していないことが解ります https://t.co/UyRIUMnnnv
こちらが今週。
シングルCDセールス加算以降の100位以内在籍週数は「センチメンタルトレイン」(→CHART insight)、「NO WAY MAN」(→ CHART insight)より1週、「ジワるDAYS」(→CHART insight)より2週短く、あまりにも短期的と言わざるを得ません。これが坂道グループとAKBの如実な差となっていますし、AKB48の人気に陰りが…と言われてもおかしくないでしょう。
ただ坂道グループで今年デビューした日向坂46についても気になる点が。シングルCDセールス加算初週における接触指標群が芳しくありません。デビュー曲の「キュン」、セカンドシングルの「ドレミソラシド」と比べて落ち込みが目立ちます。ストリーミングは11→24→41位、ラジオエアプレイは3→7→34位、ルックアップは1→1→2位、そして動画再生は30位→100位圏外(300位以内)→100位圏外(300位以内)といずれも低下。次週の動向次第では坂道グループも近いうちにAKB的方向にシフトするのでは? そう考えるのは早計でしょうか。
・”J-Pop的K-Pop”は支持されないことが今回も証明される
前週ソングスチャートを制したIZ*ONE「Vampire」が今週は17位。こちらも首位獲得週のシングルCDセールス指標がチャート構成比の9割を超えており、シングルCDが失速したことと他指標が伴わないことでの反動による急落。AKB48等日本のアイドルグループと似たチャートアクションとなってしまいました。
他方、前週初登場したTWICE「Feel Special」。
ミニアルバムの表題曲で前週4位に初登場。日本でシングルCD未発売ゆえシングルCDセールスおよびルックアップ未加算の状況ながら前週4位に初登場し、今週はトップ10落ちするも11位。IZ*ONE「Vampire」を逆転しています。
シングルCD関連指標がない中で「Feel Special」を支えたのがストリーミングおよび動画再生の2指標。これはK-Popアクトが韓国をはじめ世界へ向けてリリースした作品の特徴であり、IZ*ONEの「Violeta」についても同様の動きが見て取れます。
K-Popアクトの、韓国向け作品と日本向けのとでチャートアクションが異なるのは以前ブログエントリーで示しています。
記載から半年が経過しましたが、今回も同様の動きに。コアなファンはCDを購入する一方でライト層や、K-Popならびに韓国文化に興味を抱く方は所有まで至らずも接触する傾向が強いものと考えます。接触指標群はどちらかといえば若年層が好んで利用する傾向があるものと思われますが、彼らにとっては韓国向け作品は好んでも日本独自の、いわばJ-Pop的アプローチの楽曲群にはそこまで興味を示さないことが証明されたと言えるかもしれません。これは、楽曲が世界仕様かドメスティックかの差ではないかと思うのです。
・ストリーミングのヒットはチャートを制すことがより鮮明に
ビルボードジャパンが水曜に発信した記事に、ソングスチャートを構成する指標のひとつであるストリーミングについての興味深い指摘が。
また当週は、トップ10のボーダーラインが初めて200万回再生を超えた。同ボーダーラインが初めて50万回を超えたタイミングが2018年2月26日付チャート、100万回を超えたタイミングが2019年3月4日付チャートであることを踏まえると、この7か月で急速にトップ10入りが困難になったことが窺える。
ストリーミングのカウント対象となるサブスクリプションサービス(の再生回数)が急激に伸びていることを示しており、利用者の増大が考えられます。同指標でトップ10入りすることが一気に困難になったことは言い換えれば、同指標を制するものがチャートを制しブレイクする…Official髭男dismやあいみょんさんの例を見れば明らかでしょう。
そんな中で、ストリーミングを急激に伸ばしているのが前週紹介したNovelbright「Walking with you」。
#ビルボードジャパン最新チャート速報#Novelbright @Novelbright_jp については、#めざましテレビ のOA日にReal Soundにアップされた「#Walkingwithyou」のヒットの理由をよろしければご参照ください https://t.co/6A5cTElahY
— Kei / ブレストコナカ (@Kei_radio) October 9, 2019
TikTok→SNS→サブスクリプションサービス…と聴かれ方が伝播し、遂にはテレビが拡散という流れ。テレビメディアの影響力の大きさを感じずにはいられませんが、そこに至るまでの流れはまさに今の時代のヒットの法則ではないでしょうか。次週、そのメディア効果が薄れた時が勝負の分かれ目と言えそうです。
またNovelbrightと同様にストリーミングで初のトップ20入りを果たしたのがちゃんみな「Never Grow Up」。
アルバムのタイトルトラックであり自身がInterFM897で今夏番組を務めたこともあってか一旦はラジオで火が付きますが、こちらも現在に至るヒットの原動力はTikTokで多くの方が用いたためとみられます。次週以降の動きに注目しましょう。
今週のソングスチャートトップ10はこちら。
【今週の総合ソング・チャート“JAPAN HOT100”】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) October 9, 2019
1位 日向坂46
2位 Official髭男dism
3位 米津玄師
4位 あいみょん
5位 Official髭男dism
6位 Official髭男dism
7位 香取慎吾
8位 Division All Stars
9位 あいみょん
10位 THE RAMPAGE from EXILE TRIBEhttps://t.co/7ZwzOMKhkR pic.twitter.com/dj7ozKdUhP
最後に、10月9日付のSpotifyの日本のデイリーチャートが更新されましたのでそちらを紹介。ストリーミングで大ヒット中のOfficial髭男dismがメジャーファーストアルバム『Traveler』をリリースし、同作をサブスクリプションサービスで解禁しました。
解禁初日の動向は下記に。
1位 (1位) Pretender
2位 (2位) 運命
3位 (4位) イエスタデイ
4位 (3位) ノーダウト (『Traveler』未収録)
8位 (8位) Stand By You
10位 (10位) 115万キロのフィルム (『Traveler』未収録)
49位 (53位) バッドフォーミー
59位 (65位) Amazing
79位 (初登場) Rowan
84位 (115位) FIRE GROUND
96位 (77位) ESCAPADE (『Traveler』未収録)
106位 (101位) 異端なスター (『Traveler』未収録)
108位 (100位) SWEET TWEET (『Traveler』未収録)
115位 (初登場) 最後の恋煩い
126位 (初登場) ラストソング
136位 (初登場) 旅は道連れ
146位 (初登場) Travelers
173位 (173位) Tell Me Baby (『Traveler』未収録)
200位以内に入った18曲中、アルバム『Traveler』収録は12曲。「ビンテージ」、および「Pretender」のイントロダクションとなる「052519」はランクインしていませんが、同日サブスクリプションサービスを解禁したスピッツが8曲(うち今週リリースのアルバム『見っけ』からは4曲)ランクインしていたことを踏まえれば、堂々たる結果だと言えます。ただ、アメリカでは今週のチャートで結果を残したダベイビーやポスト・マローン等、ストリーミングがトップ100以内に大挙エントリーすることが多く、日本におけるストリーミングの浸透や影響度はまだまだかもしれません。