6月10~16日を集計期間とする、6月24日付のビルボードジャパン各チャートが昨日発表され、NEWS「トップガン」がシングルCDセールス等3指標でトップを獲得し、総合でも首位に立ちました。
【ビルボード】NEWS「トップガン」が184,664枚を売り上げ3冠で総合首位獲得 https://t.co/QwerbuhG0h pic.twitter.com/I2z30mMX3d
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) June 19, 2019
前作よりセールスがおよそ2万5千増加したほか、特筆すべきはTwitter指標。3形態で発売されたシングルそれぞれの3曲目(全形態で異なる曲が収録)が3、4、6位に入り、総合でも55~60位以内にランクイン(「weeeek」はリミックスが収録されていますが、オリジナル版がチャートイン)。ここ最近NEWSのTwitter指標は高いと感じていましたがそれが実証された形です。また昨年度成し遂げられなかった2万ポイント超えを達成しています。
今週はシングルCDセールス1~3位の作品が総合でも同じ順位となりましたが、いずれもシングルCDセールス指標が突出。
#ビルボードジャパン最新チャート速報
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) June 19, 2019
ソングスチャート上位3強のうち、チャート構成比に占めるシングルCDセールス指標の割合は #NEWS がおよそ75%、 #MONSTA_X がおよそ95%、#モーニング娘19 が90%弱という結果に。次週の動向が気になります
1指標が突出し、他指標が伴わない曲は翌週急落する傾向にあります。
上記エントリーで例示した曲は極端な例かもしれませんが、しかし全体にこの傾向があるのは間違いありません。たとえばNEWSの昨年のシングルはシングルCDセールス加算2週目の総合ポイント前週比が13.4~17%となっており、「トップガン」が次週4000ポイントを下回る可能性が高いと言えます。そして大ヒットの指標は瞬発力以上に、如何にロングヒットに至れるか、さらには【3週以上7000ポイントを超える】ことが条件だと考えています。
その点においては今週6位のOfficial髭男dism「Pretender」(今週6位)はシングルCDセールス指標初加算週から5週連続で7000ポイント超えを達成、シングルCD未発売ながら菅田将暉「まちがいさがし」は中1週のブランクがありながらも今週まで合計4週7000ポイントを超えています。そして菅田さんに同曲を提供した米津玄師さんによる「海の幽霊」は今週2週目の7000ポイント超えを果たしているのですが…3週目はもしかしたら厳しいかもしれないと思うのです。
順位 | P | 前週比 | CD | 売上 | 前週比 | DL | 売上 | 前週比 | ST | 再生 | 前週比 | |
2019/5/6 | 92 | - | ||||||||||
2019/5/13 | - | ? | ||||||||||
2019/5/20 | - | ? | ||||||||||
2019/5/27 | - | ? | ||||||||||
2019/6/3 | - | ? | ||||||||||
2019/6/10 | 9 | 4449 | ? | |||||||||
2019/6/17 | 1 | 16899 | 379.8% | 1 | 134911 | - | ||||||
2019/6/24 | 5 | 8011 | 47.4% | 1 | 56196 | 41.7% |
(CD:シングルCDセールス DL:デジタルダウンロード ST:ストリーミング
P:総合ポイント
[ - ]:前週数値がなく計測不能、[ ? ]:前週の数字不明につき計測不能)
今週の「海の幽霊」は総合ポイント前週比が47.4%。ミュージックビデオ公開の翌週に配信が開始され前週のチャートで初加算となったデジタルダウンロード(今週はチャート構成比の7割程度を占拠)の前週比は41.7%で全体の前週比に近く、デジタルダウンロードの大幅減に全体が牽引される形となっています。
順位 | P | 前週比 | CD | 売上 | 前週比 | DL | 売上 | 前週比 | ST | 再生 | 前週比 | |
2019/4/8 | - | - | ||||||||||
2019/4/15 | - | ? | ||||||||||
2019/4/22 | ? | |||||||||||
2019/4/29 | - | ? | ||||||||||
2019/5/6 | 54 | ? | ||||||||||
2019/5/13 | - | ? | ||||||||||
2019/5/20 | - | ? | ||||||||||
2019/5/27 | 2 | 10524 | ? | 1 | 114355 | - | ||||||
2019/6/3 | 3 | 7123 | 67.7% | 1 | 74204 | 64.9% | ||||||
2019/6/10 | 8 | 4500 | 63.2% | 1 | 46608 | 62.8% | ||||||
2019/6/17 | 2 | 10024 | 222.8% | 2 | 46267 | 99.3% | 2 | 3425494 | - | |||
2019/6/24 | 4 | 8966 | 89.4% | 2 | 34417 | 74.4% | 2 | 4424776 | 129.2% |
一方、「まちがいさがし」の場合はデジタルダウンロードを配信するもストリーミングおよびミュージックビデオ未解禁の状態が3週ほど続き、6月3~10日付では総合ポイントの前週比が6割台となっていますがこれはデジタルダウンロードの前週比と比例する形。前週、先述した2指標が初加算となり総合ポイントは倍増、同時にデジタルダウンロードもほぼ横ばいに。最新週では総合ポイントは下がったもののデジタルダウンロードの前週比とは乖離しています。
無論、この2曲はタイアップ先の話題性や視聴率および興行収入等に差があるかもしれません(とはいえ、たとえば「海の幽霊」が主題歌に起用された映画『海獣の子供』の質の高さについては伺っており、個人的にも興味を抱いています)。また「海の幽霊」がミュージックビデオ解禁→デジタルダウンロード開始であるのに対し「まちがいさがし」は順番が逆であり、一概に比較は出来ないと言われるかもしれませんが、ストリーミングの解禁と未解禁の差はこの2曲では明確で、【ストリーミング(の解禁)が総合ポイントの減少を緩やかにする】【”接触”(ストリーミング)が”所有”(デジタルダウンロード)を牽引する】ことが示されたように思います。ストリーミングの解禁やフルバージョンでのミュージックビデオ解禁による接触指標の充実がデジタルダウンロードという所有指標を減らすという声もよく聞こえてくるのですが、その指摘は必ずしも正しいとは言えないでしょう。
Official髭男dism「Pretender」も例示すると、より分かりやすいかもしれません。
順位 | P | 前週比 | CD | 売上 | 前週比 | DL | 売上 | 前週比 | ST | 再生 | 前週比 | |
2019/3/25 | - | - | ||||||||||
2019/4/1 | ? | |||||||||||
2019/4/8 | - | ? | ||||||||||
2019/4/15 | ? | |||||||||||
2019/4/22 | - | ? | ||||||||||
2019/4/29 | 26 | 1595 | ? | 16 | ? | - | 54 | ? | - | |||
2019/5/6 | 21 | 1821 | 114.2% | 19 | ? | ? | 20 | ? | ? | |||
2019/5/13 | 20 | 1827 | 100.3% | 20 | ? | ? | 18 | ? | ? | |||
2019/5/20 | 8 | 3494 | 191.2% | 13 | 10452 | ? | 8 | 1612654 | ? | |||
2019/5/27 | 3 | 7986 | 228.6% | 9 | 12914 | - | 2 | 22333 | 213.7% | 2 | 2831825 | 175.6% |
2019/6/3 | 2 | 7267 | 91.0% | 29 | 2636 | 20.4% | 2 | 22449 | 100.5% | 1 | 3750297 | 132.4% |
2019/6/10 | 4 | 7490 | 103.1% | 40 | 1932 | 73.3% | 3 | 22021 | 98.1% | 1 | 4259716 | 113.6% |
2019/6/17 | 4 | 7669 | 102.4% | 33 | 1638 | 84.8% | 4 | 17657 | 80.2% | 1 | 4614979 | 108.3% |
2019/6/24 | 6 | 7430 | 96.9% | 33 | 1478 | 90.2% | 5 | 15661 | 88.7% | 1 | 4845726 | 105.0% |
「Pretender」はデジタル解禁後にシングルCDをリリース。タイアップ先の映画の大ヒットも相俟ってデジタル2指標が伸びているのが解りますが、他方シングルCDセールスは2週目に前週比20.4%と大きくダウンしています。それでも総合ポイントが前週比91.0%と高く推移し、デジタルダウンロードも前週超えを達成していることから、ストリーミングが全体を、またデジタルダウンロードを牽引していると言えるでしょう。「Pretender」からも、ストリーミングを解禁することの重要性を実感するのです。