楽しみにしていた曲の先行配信がはじまりました。
きたーっ^_^!ライムスターとの「今夜はローリング・ストーン」、各種サービスで配信始まりました! / NONA REEVES、ニューアルバム「未来」より RHYMESTER参加曲を先行配信 - 音楽ナタリー https://t.co/t4bvy560x7
— 西寺郷太 『未来』3月13日発売 (@Gota_NonaReeves) February 22, 2019
ミュージックビデオも後日公開となるこの曲、"ダチーチーチー"というドラムフィルをリリックも含め上手く活用していることもさることながら、カントリーを用いているのが特徴的。カントリーサウンドを配した邦楽の名曲という意味でこの曲を思い出したり。
バンジョーという楽器が入るとカントリー風味が一気に増しますね。
先週月曜の『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)でこの曲が解禁された際、第一印象で下記の内容を呟いたところ、NONA REEVESの西寺郷太さんがリツイートしてくださいました(ありがとうございます)。もしかしたら現代の潮流を上手く採り入れたその最良型が「今夜はローリング・ストーン」なのかもしれません。
カントリーと他ジャンルとの融合も実はここ数年よくみられていて、ケイシー・マスグレイヴスとダンスミュージック、フロリダ・ジョージア・ラインとラッパーのネリーやポップのビービー・レクサとのコラボ等あるのだけど、日本ではNONA REEVESとRHYMESTERがそれを成し遂げるとは! #utamaru
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) February 11, 2019
というわけで、現在のカントリーにおける他ジャンルとのコラボレーションを取り上げてみます。実は昨年、既にいくつか紹介しているのでまずはそちらをあらためて。
ビービー・レクサとフロリダ・ジョージア・ラインによる「Meant To Be」はビービー・レクサのアルバム『Expectations』に収録。ビービーはジャンルレスに活躍しており、デヴィッド・ゲッタやG・イージーとの共演も果たしています。またフロリダ・ジョージア・ラインはラッパーのネリーを招聘した「Cruise (Remix)」も人気に。
そして先週リリースされたニューアルバム、『Can't Say I Ain't Country』には、「Meant To Be」のカントリーラジオバージョンに加え、R&B歌手のジェイソン・デルーロを迎えた「Women」も収録。先月末にはミュージックビデオも公開されています。
・フロリダ・ジョージア・ライン feat. ジェイソン・デルーロ「Women」
元ネタとしてハリー・ベラフォンテを採り入れた「Don't Wanna Go Home」(→YouTube)をヒットさせるなど、R&Bの枠にとらわれず活躍しているジェイソン・デルーロとはいえ、カントリーでも存在感を示すとは!と意外に思いつつ、フロリダ・ジョージア・ラインの音楽への柔軟さゆえのことかもしれません。なんせアルバムタイトルが"俺をカントリー歌手じゃないなんて言うことなど出来ない (Can't Say I Ain't Country)"(意訳)ですから、挑戦的で大胆ですよね。
カントリーというジャンルは保守的であり、そのジャンルが好きな方には共和党支持者が多いのが特徴。以前、ジョージ・W・ブッシュ元大統領を批判したカントリーグループのディクシー・チックスが、ラジオ等のボイコットやCD踏み潰しという、批判を非難や非礼で返された事件がありました。
(詳しくはディクシー・チックスの戦いに掲載されていますのでご紹介します。勝手ながらリンクを貼らせていただきました、問題があれば削除いたします。)
カントリーはその傾向が未だ強く残っていますが、昨年日本でもスマッシュヒットしたこの曲からは、ジャンル的にもそして考え方的にもカントリーが変わりつつあることがはっきりと見えてきます。
・ケイシー・マスグレイヴス「High Horse」
アルバム『Golden Hour』で今年のグラミー賞最優秀アルバム賞を獲得したケイシー・マスグレイヴスによるこの曲はかなりディスコティーク。そして歌詞からは、自分の凝り固まった偏った考えこそ常識であり正義だと信じて疑わない人(現大統領を示唆している、と伺っています)への批判という内容が見えてきます。
またケイシー・マスグレイヴスは、今回のグラミー賞で次のシングルとなる「Rainbow」を披露しました。レインボーといえばLGBT(LGBTQ)のシンボルカラー。共和党やその支持者、(共和党支持に回る)保守強硬派のカトリック信者にはアンチLGBTの方が少なくないのですが、その逆風吹きかねない中にあって自身の意見をきちんと表明するケイシーの姿勢はまさに、今の潮流(今年のグラミー賞が掲げたテーマ、【多様性と包括性】)を捉えているといえますね。
昨秋リリースのアルバム、『Experiment』が初の全米ナンバーワンを獲得したカントリー歌手のケーン・ブラウンに関しても、R&Bでの客演仕事が少なくありません。カミラ・カベロの、「Havana」に続く全米トップ10ヒットとなった「Never Be The Same」のデュエット版に登場したり。
また、アルバム『American Teen』のヒット等で昨年グラミー賞最優秀新人賞候補となったカリードの「Sunday Nights」にも客演参加。カリードは4月にセカンドアルバムをリリースしますが、共演版が収録されるのかは不明です。
「Sunday Nights」は配信のみでリリースされたEP『Suncity』からのカット。セカンドアルバムからの正式な先行曲はディスクロージャー作の「Talk」であり、2曲の毛色は異なりますが、カリードの柔軟性がよく解ります。
勢いのある若手R&B歌手に次々共演を依頼されることで、今後ケーン・ブラウンに他ジャンルからの仕事がどんどん増える予感がします。
カントリーは音楽ジャンル的にも、そしてその保守的な姿勢においても柔軟になりつつある気がします。特にこの2年ほどのヒット曲を見れば明らかかもしれません。もしかしたら、NONA REEVES feat. RHYMESTER「今夜はローリング・ストーン」を機に日本でも、カントリージャンルが積極的に採り入れられていくのではと感じています。