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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャート、トップ10に4曲初登場という史上初の快挙達成

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の4月30日月曜に発表された、5月5日付最新チャート。ドレイクが「Nice For What」および「God's Plan」で3週連続でのワンツーフィニッシュを達成、そしてトップ10では4曲が初登場という史上初の出来事が誕生しました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

初登場から3週連続で1位をキープしたドレイク「Nice For What」はストリーミング1位(前週比10%ダウン)、デジタルダウンロード4位(同34%ダウン)、ラジオエアプレイ17位(同27%アップ)。実は全体的にそこまで高い数値ではないのですが、ラジオエアプレイに強いのがドレイクの特徴で、「God's Plan」も同指標3位となりしかも未だ伸びています(前週比2%アップ)。ヒップホップ勢は基本的にデジタル2指標(デジタルダウンロードおよびストリーミング)に強く、初登場で高位置につけても2週目に失速...というパターンが目立っていて、ドレイクのような強さを如何に身につけるかが今後の課題と言えるはずです(なお「God's...」のデジタル2指標は共に前週比8%ダウンしています)。一方、ドレイクに風穴を開けるかと思われたビービー・レクサ&フロリダ・ジョージア・ライン「Meant To Be」は遂にラジオエアプレイが前週比マイナスに転じ(4%ダウン)、1位を獲れないまま失速しそうです。

 

初登場は4曲。3位はアリアナ・グランデ「No Tears Left To Cry」。

一聴してサビを覚えたのですが、後で制作がマックス・マーティン等と知りなるほどこれがマックスの凄みか...と実感した次第。「No Tears...」はデジタルダウンロード1位、ストリーミング5位、ラジオエアプレイ35位で発進していますが、デジタルダウンロードとストリーミングの勢いが逆転していく状況においてデジタルダウンロードの売上100000という数値は立派。デジタルダウンロードの10万超えはドレイク「God's Plan」が2月3日付で127000を売り上げて以来13週ぶりとなり、これだけ長期間空くのはデジタルダウンロード指標誕生となる2004年10月以降では最長とのこと(ただし同指標誕生後、63週もの間10万超えセールスは生まれていませんでしたが)。

グランデに話を戻すと、9曲目のトップ10入りにして初登場でのトップ10入りが6曲目。初登場でのトップ10入りはレディー・ガガ、リアーナに並ぶ記録で、最多はテイラー・スウィフトの14曲、次いでドレイク(12曲)、エミネム(8曲)、ジャスティン・ビーバーおよびリル・ウェイン(7曲)の順。そして「No Tears...」が仮に彼女の4枚目のアルバムに収録されるとなると、過去3作および次作の計4枚のアルバムからのファーストシングルを全て初登場にてトップ10入りさせた初の歌手となるわけです(『Yours Truly』(2013)→マック・ミラーをフィーチャーした「The Way」(10位)、『My Everything』(2014)→イギー・アゼリアをフィーチャーした「Problem」(3位)、『Dangerous Woman』(2016)→タイトルトラック(10位)。ただし『Dangerous...』の本編には収められずボーナストラック等の扱いとなった「Focus」も7位に初登場しています)。アリアナが如何に初動に強いかが理解出来ます。

そして、3曲を送り込んできたのがJ・コール。3曲同時に初登場でトップ10入りさせたのは史上初となります。

・6位「ATM」

・8位「Kevin's Heart」

10位の「KOD」は動画なしのため割愛。

J・コールの勢いは、アルバム『KOD』が5月5日付米ビルボードアルバムチャートで1位に初登場したゆえ。セールスでは2位、ストリーミングによるセールス換算分では1位、合計(ユニット数)ではジャスティン・ティンバーレイク『Man Of The Woods』を10万以上上回るというメガヒットを記録し、これがソングスチャートにも反映された形です。アルバムの勢いについては下記bmrに詳しく記載されています。

ソングスチャートにおける「ATM」での6位は、昨年の「Deja Vu」の初登場7位を上回る自己最高位。そしてこの3曲でJ・コールは計4曲のトップ10入りを果たしたことになります。3曲が初登場という成績は史上初で、以前エド・シーランおよびドレイクが"2曲同時初登場を2度"行っていますが、今後デジタル2指標に長けたヒップホップアクトではこのような記録がどんどん生まれそうな気がします。

また、今週は4曲が初登場でトップ10入りを果たしましたがこれも史上初。過去には2度、3曲が初登場トップ10入りという記録がありました(2012年3月3日付でケイティ・ペリー「Part Of Me」、ニッキー・ミナージュ「Starships」、クリス・ブラウン「Turn Up The Music」が1位・9位・10位。および同年10月20日付でワン・ダイレクション「Live While We're Young」、テイラー・スウィフト「Red」、アデル「Skyfall」が3位・6位・8位)。

 

今週は記録づくしの週となりましたが、デジタル2指標に強いヒップホップアクトがラジオエアプレイでの興隆まで耐えきれずに急激に失速するパターンが目立っており、J・コールが次週どの位置にいるかが気になるところ。その次週は、タイ・ダラー・サインを迎えた「Psycho」を今週5位に送り込んでいるポスト・マローンが4月27日にリリースしたアルバム、『beerbongs & bentleys』の首位初登場は間違いなさそうで、収録曲がソングスチャートにも影響を与えそうです。