私にとって、マライア・キャリーといえばゴスペルなのです。
今秋ニューアルバムをリリースする模様のマライア、そのアルバムからの先行曲(正式なシングルとは異なる模様らしいのですが)、「GTFO」が昨日の『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)で89位に初登場を果たしています。この曲は”Get The F**k Off (出て行け!)”の略だそうで、この曲自体はゴスペルとは似ても似つかないのではあるのですが。
自分がマライア…いや洋楽にどっぷり浸かるきっかけのひとつが彼女のEP、『MTV Unplugged』(1992)で、全曲を自宅で熱唱しソラで歌えたほどでした。その中でも「Someday」「Make It Happen」といったアップが気に入ったのですが、後にデビューを果たすケリー・プライスも参加した重厚なコーラスが気持ち良すぎて…もしかしたらそれが後に自分をゴスペルの世界に誘う動機にになったのかもしれません(尤も「Someday」は別れの曲ではあるのですが)。
それゆえ、毎回現行R&Bに寄った作品をリリースする中にあって、原点と思しきゴスペルに帰ってくるかのような曲が時折みられたのは嬉しかったり。何より、「We Belong Together」(2005)で復活を果たし(同年、さらには2000年代の米ビルボードソングスチャートを制覇という快挙も達成)、全世界で1千万枚を売り上げたといわれる『The Emancipation Of Mimi』(2005)を締めくくるナンバーを聴いて、その格好良さとひたむきな思いに胸打たれた次第。それが「Fly Like A Bird」という逸品。
クワイアを従え、歌詞には神様(Lord)という言葉があることから間違いなくゴスペル。そしてこの曲、昨日マライア自身がつぶやきの中で引用していました。
Big Jim, Thank you for years of your musical genius and for your friendship. May you rest in peace. Love, Mariah ♥️ pic.twitter.com/ypvft60hk1
— Mariah Carey (@MariahCarey) September 30, 2018
「Fly Like A Bird」を共作したプロデューサーのジェイムズ”ビッグ・ジム”ライトが亡くなったのです。
ジャム&ルイスの舎弟(フライト・タイム一派)だったビッグ“ジム”ライトが亡くなったらしい。R&B/ゴスペルのクリエイターとして数々の名曲に関わってきた男。この10年ほどアレサ・フランクリンとも仕事をしていた。サウンズ・オブ・ブラックネスの新作は...? 残念すぎる https://t.co/lsiJ2xOCm2
— RIN-GO (@hystys) September 30, 2018
ジャネット、マライア、ルーサー、アッシャー、MJB、ビヨンセ、パティ、ヨランダなどなど、ジャム&ルイスのもとで数々の大物をサポートしてきたビッグ・ジム。チャーチな感覚が滲む鍵盤/サウンド・メイキングはマチュアなR&B/ゴスペル作品を輝かせたものでした。安らかに...https://t.co/N0QDpT4tAp
— RIN-GO (@hystys) September 30, 2018
音楽評論家の林剛氏のツイートで訃報を知りました。その林氏も「Fly Like A Bird」を取り上げてくださったことに、同曲の素晴らしさをあらためて実感。マライアの数多ある曲の中でも、地味かもしれませんが今もそしてこれからも愛されていくことになるでしょう。マライア自身が取り上げたわけですからなおのことです。
ジェイムズ”ビッグ・ジム”ライトへの冥福を祈ると共に、マライアがこれから先も「Fly Like A Bird」をはじめとするゴスペル曲を歌い続けてくれたなら嬉しい限り。新作にも収めらたなら…そう切望しています。