ラッパー/プロデューサーのマック・ミラーが亡くなりました。26歳でした。
BREAKING: Mac Miller reportedly dead at 26 https://t.co/UHYCJrMZZO pic.twitter.com/ON4fTDvqSw
— billboard (@billboard) September 7, 2018
原因は薬物の過剰摂取と伝えられています。
マック・ミラーについては、bmrにおける最新アルバム『Swimming』(2018)の紹介がディスコグラフィー/バイオグラフィーとして端的にまとまっていますのでそちらをご参照ください。
ここでも冒頭には以前交際していたアリアナ・グランデの名前が出てくるのですが…個人的には"アリアナの元カレ"なる冠は不要に思います。特に訃報においては。円満かどうかは不明でも別離した以上、その後の関係性は当事者しか分からないわけですし、詮索は野暮でしかないと考えます。今回訃報を掲載したメディアの中に、マックとアリアナのツーショットを載せるところが少なくなく、強い違和感というか、メディアの悪意を感じた次第です。
この件に限らず当事者が亡くなったり逮捕された際、既に縁の切れた人のせいと本人が言ったとしてもそれが戯言だったり、相手が物理的に全く関与していないなら、火のないところに煙を立たせるような今回の写真の選択って卑劣ですよ。今回取り上げたメディアの中の人も心あるなら解るでしょうに… https://t.co/dVvMbSS5Pe
— Kei / BreastKonaka (@Kei_radio) September 7, 2018
米ビルボードソングスチャートにおいてトップ100内に8曲エントリーしているものの自身の主演作では「Loud」(2012)の53位が最高であり、アリアナ・グランデに客演参加した「The Way」(2013)の9位が唯一のトップ10ヒットであるゆえ、先述した冠を用いるメディア等があることは理解出来ます。が、2枚のインディ発を含む5枚のフルアルバムは米アルバムチャートですべて4位以内にランクインしており、いずれも高い人気を誇っているのです(それゆえ、アルバムの人気がソングスチャートにも飛び火していれば…と思うのですが)。しかも最初のアルバムにしてチャートを制した『Blue Slide Park』発売から今作『Swimming』に至るまでわずか7年弱であり、そのコンスタントなリリースからも才能(およびそれが枯渇しないこと)を伺うことが出来ます。自身の作品のみならずプロデューサーとしても活躍しており、冠なくとも素晴らしい才能を示してきたマックの早逝に、心が痛むのです。
『Swimming』にも様々な素晴らしい曲が収められていますが(音楽ジャーナリストの高橋芳朗氏がラジオで紹介した、その内容はこちら)、ここではミックステープ『Best Day Ever』(2011)からの先行曲としてリリースされ、米ビルボードソングスチャートで最高75位にランクインしたこの曲を掲載します。
Wikipedia情報ではあるのですが、この曲を聴いた(そしてネタにされた)ドナルド・トランプ氏はこの曲へのリアクションにおいて、再生回数が大台に乗ったことを祝福→名前の使用について法的手段を取ると示唆→素晴らしい曲だと賞賛…支離滅裂ですね。他方、マック・ミラーはこの曲の制作の際、トランプ氏を金銭と成功の象徴として取り上げていましたが、大統領選直前のインタビューではトランプ氏が大統領になるかもしれないことを『ふざけた可能性』として憂慮していました(『』内はMac Millerが恋人Ariana GrandeやDonald Trumpについて語る - FNMNL (フェノメナル)(2016年9月15日付)より)。実際に大統領になってしまい、傍若無人な態度を続けるトランプ氏を、マック・ミラーはどう思いながら見ていたのでしょう。
個人的には、今週その公開がアナウンスされたマイケル・ムーア監督作『華氏119』(日本では11月2日公開予定。シネマトゥデイより)の中で、マック・ミラーによる「Donald Trump」を使用してほしいと思っています。既に国際映画祭での公開が今週済んでおり厳しいだろうことは承知ですが、主に若年層にトランプ氏の怪しさを浸透させるのに有益であろう意味でも、そしてマック・ミラーへの追悼の意味でも、今から再編集を…と勝手ながら考えた次第です。
マック・ミラーのご冥福をお祈りします。