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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャート、急逝したエクスエクスエクステンタシオンが初の首位獲得

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の6月25日月曜に発表された、6月30日付最新チャート。先週急死したエクスエクスエクステンタシオンの訃報を受け彼の作品が伸び、「Sad!」が自身初の首位を獲得しました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

エクスエクスエクステンタシオンの訃報は先週の月曜(日本では火曜未明)に届き、以降ストリーミングやセールスが急増。同日付アルバムチャートにて『?』(2018)が3位に、『17』(2017)が7位に急伸しました。アルバムチャートおよび彼の訃報に関する情報は下記bmrに詳しく掲載されています。

そしてその影響はソングスチャートにも波及。とりわけ『?』が初登場した3月31日付チャートで7位に飛び込んだ「Sad!」に人気が集中し、遂に自身初となる1位を獲得。

前週52位に登場していた「Sad!」は特にストリーミングでの勢いが凄まじく、前週比264%もアップし4890万を記録(同指標首位)。デジタルダウンロードは同659%上昇し26000、ラジオエアプレイは倍近く伸び290万を獲得しています。

死後に作品が首位に立つのはR&Bグループ、プレイヤの一員であったスタティック・メジャー(2008年2月25日死去)がリル・ウェインにフィーチャーされた「Lollipop」が同年5月3日付で首位を獲得して以来ですが、主演作となるとノトーリアス・B.I.G.(1997年3月9日死去)が「Hypnotize」(同年5月3日付から3週間)およびパフ・ダディ&メイスをフィーチャーした「Mo Money Mo Problems」(同年8月30日付から2週間)を獲得して以来およそ21年ぶりとなります。その他ジョン・レノンオーティス・レディングなども死後首位となっていますが、直近で主演作が首位になった2名とも銃殺というのはものすごく悲しいし辛い…というのが私見です。

なおエクスエクスエクステンタシオンは他の曲も上昇。「Moonlight」が16位、「Changes」が18位そして「Jocelyn Flores」が19位といずれも過去最高順位を更新。全てストリーミングの急伸が主な要因であり、順番に前週比266%、293%そして389%アップとなっています。

 

前週1位のドレイク「Nice For What」が3位に、ポスト・マローン feat. タイ・ダラー・サイン「Psycho」が6位にダウンする中、勢いを増したのが(しかしながらエクスエクスエクステンタシオンに首位を阻まれたのが)カーディ・B feat. バッド・バニー&J・バルヴィン「I Like It」。デジタルダウンロード33000(前週比13%アップ)、ストリーミング3520万(同1%アップ)、ラジオエアプレイ6640万(同25%アップ)と全指標伸び、特にラジオエアプレイは11位に上昇しておりロングヒットが期待出来ます。またヒップホップ関連ではジュース・ワールド「Lucid Dreams」が自己最高となる4位に上昇。デジタル2指標が牽引しておりストリーミングは前週比11%上昇し4320万、デジタルダウンロードは同16%上昇し15000を獲得。なおこの曲に「Shape Of My Heart」がサンプリング使用されているスティングは「Lucid Dreams」にライターとしてクレジットされており、スティングが手掛けた曲としてはポリス時代を含め5曲目のトップ5ヒットとなりました。直近では先述したノトーリアス・B.I.G.の追悼曲として制作されたパフ・ダディ&フェイス・エヴァンス feat. 112「I'll Be Missing You」(1997 11週1位)にポリス「Every Breath You Take」(1983 8週1位)が用いられて以来となります。

 

もうすぐトップ10として、13位に登場したザ・カーターズことジェイ・Z&ビヨンセ「Ape s**t」を紹介。

アルバム『Everything Is Love』からのナンバーでソングスチャート初登場。アルバムは現地時間の16日土曜午後にTIDAL限定で突如発表され、18日月曜にその他ストリーミングサービスで解禁。これがもしストリーミングのカウント開始日である金曜の解禁であったなら、またTIDALと他のストリーミングサービスとで差別化を図らなかったならばトップ10入りは確実ではなかったかと思うだけに、個人的には戦略を誤ったものと考えます。なお、アルバムは最新チャートで2位に初登場しており、ジェイ・Zおよびビヨンセの直近のソロ作が首位発進だったことを踏まえるとやはり戦略ミスという感じが否めません。

 

さて次週は「I Like It」が首位に到達する予感がします。また今月末にリリース予定のドレイクのアルバムは再来週のチャートにランクインすることを踏まえれば、再来週はソングスチャートがドレイク祭りになりそうです。