イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

グラミー賞、来年から主要4部門のノミネート枠を拡大へ

ビルボードが報じています。

来年、第61回より最優秀アルバム賞、最優秀楽曲賞、最優秀レコード賞および最優秀新人賞の枠を5→8にすると発表(5ではなく6になっていたこともありましたがこれはノミネーション5位に2つが同数で並んでいたため)。近年、アカデミー賞の作品賞ノミネートが5→(最大)10作品と変更されたことに刺激を受けた模様で、グラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーのニール・ポートナウ会長は"主要4部門がより幅広く認知され、また投票者に対しては最優秀作品を決める際に投票者がチャレンジングな決断を下すことへの柔軟性となる"と述べているそう。

気になるのはこれにより、主要部門の全ノミネート作品ならびに候補者が賞当日にパフォーマンス出来るのかという点。個人的には、受賞の可能性が低いと思しき候補者がパフォーマンスしていなかったことを快く思っていなかったのですが(ノミネートされても受賞をボイコットする方は別)、5→8になることでパフォーマンスする/しないの差がより明確になるのではという懸念があります。また予想がより難しくなったというのもあるのですが、その分賞をチェックして欲しいという狙いがグラミー賞側にはありそうです。

事実、アカデミー賞においては作品賞のノミネート数を増やしたことで視聴者数(視聴率)が上昇したという例があります。5作品ノミネートの最終年となる2009年(第81回)が3630万だったのが、10作品に変更された2010年(第82回)では4170万と大幅に上昇しているのです。

改革自体は、第81回における"ブーイング"が発端になっている模様。

音楽ライターの中村明美さんが指摘されています(勝手ながら引用させていただきました。問題があれば削除いたします)。枠数を拡大したことでアカデミー賞に対する、娯楽作が選ばれやすくなるのではという期待感が高まり視聴率は上昇…しかし、その後のほぼ右肩下がりの状況を見れば期待感は失望に変わったと言えるでしょう。事実というべきか、今年行われた第90回アカデミー賞は過去最低の視聴者数を更新してしまいました(米アカデミー賞中継の視聴率、史上最低を更新 : 映画ニュース - 映画.com(3月7日付)参照)。

グラミー賞においては、ここ数年はポップ寄り且つ売れた作品が最優秀アルバム賞を受賞している一方、とりわけケンドリック・ラマーがオリジナルアルバム3作品全て同部門にノミネートされ且つ売れているにもかかわらず受賞を逃しているという現状があります。もしかしたらレコーディング・アカデミーはケンドリック・ラマーをはじめとするヒップホップが軽視されているという声を受けて、ノミネート枠拡大に反映させたのかもしれませんが、賞の真摯な改革というより視聴者数拡大を第一義に掲げての変更だとしたら拙策な気もしなくはありません。が、枠拡大が決まった以上は次年度の推移を見守るしかありませんね。