イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ゴスペル界の新鋭、ジャーメイン・ドリーに注目

ビルボードのホットゴスペルソングスチャート。カーク・フランクリン「Wanna Be Happy?」の連続45週にも渡る長期政権(あと1週で最長記録タイ)を先週破ったばかりのヘゼカイア・ウォーカー「Better」が、最新8月6日付チャートで早くも2位に後退。代わって首位に到達したのはターシャ・コブス feat. キエラ・シェアード「Put A Praise On It」でした。「Break Every Chain」「For Your Glory」に次ぐ3曲目の首位獲得で、新進のミュージシャンの中でも頭一つ抜きん出た存在になったと断言していいでしょう。

 

その8月6日付チャートで遂にトップ10入りを果たしたこの曲、そしてこの人に個人的には注目しています。

徹頭徹尾ファルセットという、力強い曲が多いゴスペル界においては異質な曲ですが、聴いていて非常に気持ち良いですね。

 

歌っているジャーメイン・ドリーはフィラデルフィア出身。幼少期から教会に通い歌やピアノ、ドラムに興じていたそう。大学時代、学内のゴスペルクワイアとしてゴスペルシンガー、タイ・トリベットのライブの前座を行った際、タイよりツアーに帯同してくれないかとオファーされ、その後ツアーやレコーディングに参加。タイのアルバム『Greater Than』(2013)およびそこからのシングル「If He Did It Before... Same God」はそれぞれグラミー賞を獲得し、輝かしい実績をジャーメインにもたらしました。

「If He...」のライブ映像はこちら。

タイのバックシンガー達はよく動き回ることからゴスペルクワイアというスタイルではないですね。そしてその中でもジャーメインは時に周りと違う方向に動いたりしていますが...よくよく見たら、マイクを持っておらず驚きました。タイはもしかしたらジャーメインのキャラクターを買ったのかもしれません。

 

そんなジャーメイン、ソロ活動をするつもりは実は”これっぽっちもなかった”と語っています。かなり意外でした。

I NEVER WANTED TO BE A SOLO ARTIST, EEEEEEEVVVVVVVVVVER!!!! So God has kicked my behind several times about pursuing my solo career and I got tired of it so now..... I'm here!!!! Lololol!!!

(意訳:決してソロアーティストになりたいと思ったことはないんだ、これっぽっちも!!!! でも神様が俺の尻を何度か蹴ってきてソロアーティストになれってうるさいから疲れてさ...だから今ソロとして活動してるんだよ!!!!(大笑い)

(上記サイトより)

神様が”尻を蹴る(kick behid)"という表現がジャーメインのキャラクターをよく示しているかもしれません。デビュー曲「You」はマーヴィン・ゲイ的なファルセットが実に気持ちよく、タイがジャーメインをパフォーマンスのみならず実力も優れていることを理由に採用したのが解かります。そして見た目のインパクトも強く、個人的には髭のボリュームに負けないギョロッとした目が、『The World of GOLDEN EGGS』のキャラクターに見えてしまうのですが気のせいでしょうか。

 

まだアルバム等の話は出てきていませんが、「You」がゴスペルソングスチャートでトップ10ヒットとなった以上、アルバムリリースの可能性は高まったと考えます。次にどんな作品を放ってくるか楽しみです。