イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「Panda」の悪夢な仮想世界と真逆の現実

ビルボードシングルチャートを定点観測。

 

日本時間の火曜早朝に発表された4月23日付最新チャート、リアーナ feat. ドレイク「Work」が8週連続で首位に立ちました。これでリアーナは1位獲得週が59週となり、2位のビートルズに並びました。今後のキャリアを予想するにビートルズを抜くのはほぼ間違いなく、79週という断トツの記録を持つマライア・キャリーを近い将来射程圏内に捉えることでしょう。

最新チャートについての詳細は下記をご参照ください(トップ10カウントダウン動画もあります)。

 

注目は、前週の14位から一気に5位まで駆け上がったデザイナー(Desiigner)の「Panda」。ヒップホップの作品でパンダというネーミング...もしかすれば日本でいうところのラップ歌謡的イメージを抱く人もいらっしゃるかもしれません。が、聴いてみると。

音からは可愛らしさ皆無、なのです。この曲を和訳されている方がいらっしゃいましたので勝手ながら紹介させていただきます(問題があればコメント等いただければ幸いです)。

薬に銃声、スキミング...どう考えても非現実的なことばかり出てくるのですが、これはゲームの中の話だそう。世界中で人気の高い『グランド・セフト・オートV』にはいろんな遊び方があり、その中でもとりわけ”ヤバい”遊び方をラップしたのがこの「Panda」なのです。そして”パンダ”とは、ゲームに登場するBMX X6のこと。『白と黒のコントラストでパンダに見える』(上記和訳リンク先より)ことから名付けられているそう。

 

ちなみに『グランド・セフト・オート』についてはRHYMESTER宇多丸さんも大好きなゲームと公言しています。『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』(TBSラジオ 毎週土曜22時)内で特集した他、『爆笑問題の日曜サンデー』(TBSラジオ 毎週日曜13時)にゲスト出演した際もその面白さを説いています(ただし日本版は幾分規制がかかっているそうです)。詳細は『~日曜サンデー』の書き起こしブログをご参照ください。

 

若干18歳のデザイナーが放った「Panda」は、悪夢のような仮想世界を題材にしていますが、この曲の発表して以降の、彼にとってはまるで夢の様な現実のサクセスストーリーが待ち構えていたのです。DJ YANATAKEさんがその点について語っています。

カニエ・ウェストが「Panda」を気に入り同曲をサンプリング使用したのみならず、カニエが自身のレーベルにデザイナーを招聘したという凄い話。そしてそのカニエのアルバム、『The Life Of Pablo』はTIDALのストリーミング以外に”解禁”した結果、4月23日付の米ビルボードアルバムチャートで初登場1位を獲得しました。

カニエのアルバムが広まることで、サンプリング使用された「Panda」にも注目が集まった形に。デザイナーに追い風が吹いているのは間違いありませんね。