先週カヴァーアルバム『MELODY』をリリースした清水翔太。先週金曜のブログで中島みゆき「化粧」のカヴァーが凄いと紹介しましたが、他にも癖になるカヴァーが。といってもこれは歌唱よりもアレンジに特徴があります。
・清水翔太「誰より好きなのに」(古内東子のカヴァー)
イントロこそオリジナルに倣ったとはいえ、そこからが急展開。ネオソウル風味溢れる非常にクールな仕上がりになっています。格好良すぎ。
で、気づいたんですが、これってディアンジェロ(D'angelo)ですよね…!
・D'angelo「Feel Like Makin' Love」(アルバム『Voodoo』(2000)収録)
ロバータ・フラック(Rpberta Flack)などで知られる名曲のカヴァー。現時点で最新作となるアルバム(ってもう12年も前!)に収録。D氏らしい斬新な解釈で発売当時話題になった記憶があります。清水翔太(そして編曲を担当した鈴木渉)の、D氏から受けた刺激を咀嚼して自己流にアレンジするセンスたるや…!
(実際に清水翔太はD氏が大好きらしく、先月NACK5にゲスト出演した際もD氏の曲を用意したり、アルバム『COLORS』リリース時のインタヴューでも『オマージュ』という言葉が本人の口から出てきていますので、D氏から刺激を受けたと解釈するのは自然なことだと考えています)
ちなみに先述した「Eclipse」(iTunes Storeにて試聴可能)はD氏の「Brown Sugar」(アルバム『Brown Sugar』(1995)収録)を意識したと思しき曲ですが、一番D氏に近いと思うのはこの曲。
・清水翔太「Overflow」(アルバム『Naturally』(2012)収録)
特にシングル曲で見られる”ポップソングを歌う清水翔太”には見られないシャウトも披露するこの曲。質感というか肌触りのザラつきにも意外性を感じる方も多いと思うんですが、D氏のこの曲を聴くときっと納得します。
・D'angelo「Untitled (How Does It Feel)」(アルバム『Voodoo』(2000)収録)
(曲の頭の音が切れてるのですが、頭からして”まんま”です。ちなみにレーベルのYouTubeアカウントにて同曲が掲載されているのですが、あまりにもPVがセクシーなためか年齢制限がかかっているため、ログインが必須となっています)
シャウトも、音の質感も、まさしく…! D氏への愛情が「Overflow」には多分に込められています。
決して似ていることを指摘しているのではありません。おそらくは多くの人にとってポップフィールドの歌い手と思われているだろう清水翔太が、D氏の咀嚼に長け、あまりにディープなR&Bを歌いこなせるミュージシャンであるということをもっと多くの方に知ってほしいなと。ここまで振り切ったことをやってくれることは実に凄いこと。なので、アルバム全体を聴いてほしいところです。
(意地悪な言い方をするならば、シングル曲に強くポップネスを求める人がレーベル側、世間一般的な音楽ファン問わず少なくないために、こういった曲をシングル曲として押し出せないのかもしれませんね)