才能ある方が長生きして(無論名曲を出し続けて)、”生ける伝説”になって欲しいと切に願うのですが、他方、才能ある者が突然その生涯を終えて”伝説”になることもあります。悲しいことですが。
今日2月14日は、UKのR&Bミュージシャン、リンデン・デイヴィッド・ホール(Lynden David Hall)の命日です。享年31。
個人的には、ディアンジェロ(D'angelo)等いわゆる”ニュークラシックソウル”の潮流に乗って(とはいえ、きちんと自己の世界観を確立して)登場した際のファーストシングルが印象深いのですが。
・Lynden David Hall「Sexy Cinderella (Live from『Top Of The Pops』)」
(from『Medicine 4 My Pain』(1997))
おそらく、世間一般的に最も知られているのは、映画『ラブ・アクチュアリー』に提供したビートルズ(The Beatles)のカヴァーでしょう。
・Lynden David Hall「All You Need Is Love」(from Soundtrack『Love Actually』(2003))
温もりのある声がアレンジに適度な黒さや深みを与えている…好カヴァーではないでしょうか。
映画への曲提供の2年後に3枚目のオリジナルアルバムをリリース。アルバムはいずれもが、特に批評家に高く好まれ、一目を置かれていた存在だったのですが、血液の癌の一種であるホジキンリンパ腫という病魔に敗れ、7年前の今日、短い生涯を閉じてしまいました。今もし彼が生きていたならば、時流に乗ることなく自分流のR&Bを貫き通していたんじゃないかなと強く思います。
リンデンは『ラヴ・アクチュアリー』のサントラでビートルズの「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ」をカヴァーしていた。 なんでこの歌をリンデンが歌う必要があるのか、当時はまったくもって理解出来なかったのだが、今思えば、この歌に自らのいろんな思いを重ね、願うような気持ちで歌っていたのかもしれない。
・「怒るくらいなら泣いてやる」(音楽ライター・内本順一のブログ)
「All You Need Is Love」の和訳(たとえばコチラ)と照らし合わせてみて、たしかにそうだなあ…と深く納得します。
彼にあらためて冥福を祈りながら、内本氏がブログのラストで取り上げていたリンデンの曲を引用させていただきます。
・Lynden David Hall「Blessings」(from『In Between Jobs』(2005))