イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「あのさよならにさよならを」をもう一度…華原朋美復活へ

遅ればせながらですが…祝、華原朋美復活。

華原本人による直筆文には「私は歌うことしか出来ません。今までお世話になった全ての方々に恩返しのつもりで精一杯頑張るつもりです」と書かれており、その気合のほどが伺える。

・ナタリー - 華原朋美が芸能界復帰「FNS歌謡祭」で名曲披露(11月24日付)より

 TK時代から彼女の歌に触れていますが、自分が彼女の歌ヂカラを強く意識しだしたのはこの曲から。情感あふれる歌い手になったなあと驚いたものです。

華原朋美「あのさよならにさよならを」(詞曲:中島みゆき)

2005年5月7日にオンエアされた「MUSIC FAIR 21」の中島みゆき特集で、岩崎宏美と華原が共演し、「時代」や、中島が研ナオコに提供した「かもめはかもめ」を岩崎の歌唱指導でデュエットした際に、以前から憧れていた中島作品の素晴らしさを改めて痛感し、“みゆきさんの作品を歌いたい”とラブコールを送り続け約1年の時を経て念願の楽曲提供が実現した。

Wikipedia - あのさよならにさよならをより

なるほど、岩崎宏美から直々に歌唱指導受けたんですね…納得です。抑揚をつけた丁寧な歌い方は、詞の感情をより増幅させ、聴くものに直に届くよう。細かな部分の音程の不安定さは否めませんが、落ち着きや風格もあり、まるでメアリー・J・ブライジのよう…というのは大袈裟でしょうか。得も言われぬ味わい深さが宿っているんですよね。今後どんどん彼女は化けるはず…と思っていた矢先の長期休業。強く残念に思ったことを思い出します。

 

 

そういえば、TK時代の彼女、アルバム単位で歌唱面の波が激しく(関係無いですが、当時は全体的な風潮として、パワフルな高音が出ることがイコール歌が巧いと定義付けされていたような気がします)、3枚目となる『nine cubes』(1998)は音楽に詳しい友人との共通認識において、いくらなんでも…と痛感した次第。

 

彼女の事情を詳しく知らない自分が漏れ聞いたことや推測だけで判断するのは好ましくないのですが、敢えて書くならば彼女には本当に心の支えが必要なんじゃないかと。不安定な心に隠れがちな自信や才能を、褒めることなどで伸ばしてあげるという支援。

心が強い人は弱い人の、その不安定さを安易に責める風潮がありますが(ワイドショーでもよく見られますよね)、同じ状況を経験したり周囲にそのような方がいると、安易に責めることはむしろ逆効果になりうるということを、自分は経験上強く感じています。そばにいることを伝え、時間はかかったとしても接し続けようと誓うことが、折れがちな心の幹を徐々に太くしていく力になる、ということ。そういう意味では、一度は解除したプロダクション尾木自身が再度関わっていくことに安堵しました。一度彼女に深く関わった経験を生かし、成功するために今度は長期的な支援を築いていくものと期待しています。

 

 

歌の世界から長らく遠ざかっていたので歌唱面の衰えは否めないかもしれません。また芸能界内外から、先述したような責める空気がまた生じてしまうかもしれません。が、FNS歌謡祭を機に少しずつ再開し、より好い歌い手としてゆっくりでもいいから着実にステップアップすることを切に願います。そして、「あのさよならにさよならを」をまた歌ってほしいですね。その時には更にレベルアップしているんじゃないか…そう思います。