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浜崎あゆみ、3連ロックな新曲「WARNING」で攻める

一昨日ミュージックビデオが(短尺版で)解禁された浜崎あゆみさんの新曲、「WARNING」が格好良いのです。


4月8日発売のアルバム『A ONE』の収録曲。多くのレコード会社が決算期を迎える3月に初動の髙いセールスが見込める作品を集中投下する傾向にある中で、彼女のオリジナルアルバムは前作『Colours』が一昨年の7月、そして今回が4月の発売なんですよね。穿った見方をあえて書くならば、そこまで髙いセールスが見込めなくなったということかもしれませんが、逆に言えば、大仰だったり大団円を迎えるような落としこみを持つ歌謡曲チックなメロディ(そしてそういう作風にしないと売れないとされる風潮)を抱えるJ-Popの”しがらみ”から解放されたということを意味するのかもしれません。『Colours』の現行EDMとの相性の良さ、そしてその延長線上で制作され、宇多田ヒカルさんのカバー集に収録された「movin' on without you」の素晴らしさに触れてそう実感した次第。

 

ゆえに今作の『A ONE』が、”ファン待望の王道J-POPアルバム!!”という触れ込みを見て、個人的には”?”と思ったのですが、前作が攻め”過ぎた”(受け入れられにくかった)のかもしれませんね。週間セールスチャート初登場5位という成績を踏まえての転換だったのかもしれませんが、それでも「WARNING」を聴く限りは保守的なJ-Popではなかったので安心しました。

 

 

この「WARNING」、3連リズムを用いているんですよね(3連リズムについては以前のエントリー、加藤ミリヤ「少年少女」に中島みゆきの魂を見るなどに掲載しています)。イントロから歌い出すところや速めのBPMから思い出したのは、リアーナの大ヒット曲、「SOS」(全米1位、全英2位。アルバム『A Girl Like Me』(2006)収録)。ロックテイストではないですし、一瞬3連とは分かりにくいかもしれませんが、スペイシーなウワモノがたしかに3連リズムを刻んでいるのが分かります。


そして、”開け口ばかりはごめんだわ”という歌詞が当てられたBメロ。この部分のメロディのリズムが一聴すると3連とは思わせないため、バックの3連と合わさることで聴き手が不思議な感覚に陥りかねない非常に格好良いポイントなのですが、そのバックのリズム隊を聴いて真っ先に思い出したのが、(昨日からの流れもあり)中島みゆきさんの「バラ色の未来」でした(アルバム『LOVE OR NOTHING』収録(1994 → iTunes Store))。後藤次利さんが弾く3連ベースが至極格好良い作品で、みゆきさんは後藤さんに無茶なお願いをした、というようなことをエッセイか何かで見聞きした記憶があります(引用元は失念)。個人的に大好きな曲のひとつなので、「WARNING」に触れた瞬間に「バラ色の未来」とリンクし思わず興奮してしまいました。そして、今の浜崎さんの声、EDMもですがロックテイストな曲にも合いますね。

 

浜崎あゆみさん、ロックテイストな曲は以前からも存在してましたし、3連リズムのももしかしたらあったかもしれませんが、一聴すると分かりにくいけれども確実に3連リズムという曲を世に放つことは非常に面白い試みだと思います。生易しいJ-Popはごめんだとばかりに攻めるその姿勢は素直に買いだ!と思うのです。