イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

弘前駅から最短距離のCD店が消える、という現状

日曜夜から今朝まで出張で遠出していたのですが、その際最も驚いたのが、出先でTwitterのタイムラインを見て知った、新星堂弘前店閉店の事実でした。

 

平素より、新星堂弘前店をご利用頂き、有難うございます。

新星堂弘前店は、11月4日(日)をもちまして閉店となります。

新星堂ONLINE - 新星堂弘前店 閉店のお知らせ(2012年11月4日(日))より

 

 

弘前駅にほど近い、イトーヨーカドー弘前店の5階にて長年営業してきた新星堂。自分が高校生になり弘前に足繁く通うようになってからは本当によく訪れ、音楽情報を仕入れていました。学校からの帰り道は土手町の日弘楽器、JOY POPS、新星堂そしてアプリーズ4階にあったCD店をはしごし、アプリーズ1階ミスタードーナツとなりのCD自販機の中身を覗いたりしては売れ線を確認したりもしてました。さらに記憶を遡れば、小学校高学年で祖父母からドデカホーン(当時はたしかニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックがCMやってた記憶が)を誕生日にいただいてすぐ、親にお願いしてはじめて買ってもらったCDもイトーヨーカドーの5階、たしか当時から新星堂のはず。ちなみにそのCDは中山美穂MIND GAME』。当時流行っていたシングル「人魚姫-mermaid-」が欲しくて、シングルと同じ感じのジャケットのアルバムを手に入れたにも関わらず、シングル曲は未収録だったという苦い記憶も蘇って来ました。

 

社会人になり、6年前に帰郷してしばらくして、JOY POPSもアプリーズのCD店もなくなっていたことに気づき、そして今年は新星堂まで。これで、弘前駅周辺、徒歩圏内のCD店はほとんどなくなってしまったように思います。

 

 

さて、新星堂の現状と、最近の動きを知るにはこちらの記事が最適かと。

ワンダーコーポレーションは10月1日、新星堂と資本業務提携すると発表した。

同日付で、新星堂筆頭株主である大和証券エスエムビーシープリンシパル・インベストメンツ(DPI)とグループ会社であるのぞみ債権回収との間で、DPIの保有する新星堂株式の取得とDPI、のぞみ債権回収が保有する新星堂に対する貸付金債権の買受けなどに関する基本合意書を締結した。

(中略)

ワンダーコーポレーションは、新星堂が対応しきれていない事業の環境変化への対応、ITシステムへの対応を行っていることから、連携して事業展開することで、ノウハウを享受することでき、異なる立地環境の2社の連携は市場シェア拡大等の相互補完の関係にある。

・流通ニュース - ワンダーコーポレーション/新星堂と資本・業務提携(2012年10月1日付)より

ワンダーコーポレーションのプレスリリースはコチラ(PDF)。貸付金債権の買受という状況もですが、個人的にはそれ以上に、同業者に”環境変化やITシステムの対応が新星堂は対応しきれていない”とはっきり言われることに虚しさを覚えます。この記事を踏まえた

これ「提携」って言ってるけど事業基盤的には新星堂WonderGoo側へのグループイン的な感じに見える

WASTE OF POPS 80s-90s - 2012年10月05日より

のコメントには深く納得します。

もしかしたら資本業務提携決定の前から弘前店は不採算店舗として閉店することが決定していたのかもしれませんが、弘前駅から歩いて約30分の郊外にWonderGOOがあるので、今回の資本業務提携でWonderGOOに店舗を集約するために閉店に踏み切った可能性もありますね。

 

 

それにしても、弘前市のCD店は郊外型が主流になりました。弘前駅からの距離を調べてみると以下の通り。

●徒歩16分 1.3km 日弘楽器(土手町)

●徒歩18分 1.6km メディアイン城東店(TSUTAYA)

●徒歩25分 2.1km バンダレコード弘前店(さくら野弘前店内)

●徒歩30分 2.6km TSUTAYA WonderGOO(国道7号線沿い)

●徒歩36分 2.9km GEO弘前新町店

●徒歩42分 3.3km メディアイン樹木店(TSUTAYA)

●徒歩42分 3.4km GEO弘前安原店

●徒歩45分 3.7km ヤマダ電機弘前

 ・Google Map 経路検索より

(他にもヴィレッジヴァンガード弘前店がありますが、幅広いジャンルを扱っていないため勝手ながら割愛します。ちなみにさくら野弘前店内、バンダレコードの真向かいにあります)

メディアイン城東店は、個人的には学生時代に”線路をくぐって、もしくは弘前駅の地下道を通っていかないと行けない”というイメージがあり、勝手ながら遠いというイメージがありました。実際距離検索をしてみて、その考えをあらためた次第です(メディアイン関係者の皆さん、失礼しました)。

 

これを見ると、チェーンの台頭と、徒歩圏内で通える店の少なさがわかります。また、日弘楽器は他店より品揃えが豊富とはいえませんが、楽器の販売や演歌の取扱いの多さ、コンサートチケットの販売等で店の着実なファンを抑えているように思います。

 

と考えてみて、実は、多くの街が抱える問題の縮図が、弘前のCD店分布から見えてくるのでは、と。”郊外型チェーン店が栄え、中心部に活気がなくなっている””個人商店は魅力的な差別化を図らないといけない”など…大げさでしょうか。いや、既に20年前に柏村(現つがる市柏。弘前から車で1時間程)にショッピングモールが登場し、そこへHMVが進出したこと、数年後に八戸の郊外である下田町(現おいらせ町)のショッピングモールにタワーレコードが進出したことを踏まえれば、青森・弘前・八戸の県内三大都市よりも郊外に店を構えることが魅力的だったのかもしれず、もしかしたらその頃から既に、都市部の”サバイバル”ははじまっていたのしれませんね。

 

 

それにしても、自分たちが学生(特に都市部に通うようになった高校生の)時代、音楽情報の有力な発信源は実店舗でした。音楽を耳で、目で(”ジャケ買い”など)味わうということが、ネットが一般的になった時代では薄れてきてるのかもしれません。通学ルートそばにある実店舗の減少は、肌で味わうことをより薄れさせるような気がして、至極残念ではあります。

(と書いている自分が、今や購入の大半はネット経由であるというのが事実だったりします。店舗に行く機会が極端に減ったというわけではなく、自分の場合はクレジットカードやネットショップでのポイントが最優先だったり、購入の大半が輸入盤だったりするのですが。現在の高校生がCDを買う時のルートを伺ってみたいところではあります。)

今週、閉店前に一度、新星堂を訪ねてみたいと思います。