米ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の5月4日月曜に発表された5月9日付最新ソングスチャート、トラヴィス・スコットとキッド・カディによるユニット、ザ・スコッツによる「The Scotts」が初登場で首位を獲得しました。
.@trvisXX and @KidCudi's collaborative new single "The Scotts" blasts in at No. 1 on the #Hot100 songs chart 💯https://t.co/d8eAO5g78Q
— billboard (@billboard) 2020年5月4日
現地時間の4月23日木曜から5回に渡り、ゲーム『フォートナイト』内でバーチャルライブを行ったトラヴィス・スコット。その中で初披露された「The Scotts」が4月24日金曜にリリースされ、今回の首位獲得に至りました。『フォートナイト』とのコラボレーションについてはこのブログでも触れています。
通算37曲目となる初登場での首位獲得となった「The Scotts」。ストリーミングは4220万、ダウンロードは67000を獲得し2指標を制覇。他方ラジオエアプレイは550万にとどまっており、ゲーム人気や昨年2月に同じく『フォートナイト』にてバーチャルライブを行いチャートでも実績を上げたマシュメロの例がありながらも、ラジオエアプレイが思うほど伸びなかった印象があります。
なお、ダウンロードについてはフィジカル(シングルCD、カセットテープおよびレコード)も対象となるのですが、トラヴィス・スコットのホームページにてこのフィジカルが販売され、購入のタイミングでダウンロードが可能に。フィジカルの到着は早くて6週間後となるのですが、この施策がダウンロードを押し上げた要因と言えるでしょう。ダウンロードの67000という数値は、2020年においてBTS「On」の86000(3月7日付)、ジャスティン・ビーバー「Yummy」の71000(1月18日付)に次ぐ記録となります。
「The Scotts」により、トラヴィス・スコットにとっては「Sicko Mode」(2018)、「Highest In The Room」(2019)に次ぐ3曲目の首位を獲得。初登場首位は「Highest In The Room」に次ぐ2曲目で、複数曲を初登場首位に送り込んだのはマライア・キャリー、ドレイク(この2組は3曲)、ジャスティン・ビーバー、アリアナ・グランデおよびブリトニー・スピアーズに次ぐ6組目に。一方のキッド・カディ(本名はスコット・メスカディ)にとっては初の首位となり、トップ10入り自体も「Day N' Nite」が2009年に3位を獲得して以来となります。
「The Scotts」の米ビルボードでの名義はユニット名のみならず、トラヴィス・スコットおよびキッド・カディの両名が併記されています。2名以上が(客演ではない)主演名義で首位を獲得したのは昨年8月31日付でショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」が獲得して以来、実に36週ぶりのことです。
また歌手(ユニット)名を含む曲の首位獲得は、ソウルジャ・ボーイ・テレム「Crank That (Soulja Boy)」以来13年ぶり。過去にはヴァニラ・アイス「Ice Ice Baby」(1990)やザ・チップマンクス with デヴィッド・セヴィル「The Chipmunk Song」(1958-1959)も頂点に輝いています。
首位の座を明け渡したザ・ウィークエンド「Blinding Lights」はラジオエアプレイが前週比1%ダウンの1億970万。同指標4週目の首位獲得ながら、3指標中最もピークに達するのが遅いラジオエアプレイがダウンに転じたことで、曲のピークは過ぎたと見ていいでしょう。
4位にはミーガン・ジー・スタリオン「Savage」が10ランクアップし初のトップ10入り。ミーガン自身にとっても初のトップ10エントリーとなります。
この急浮上は、集計期間終盤にビヨンセをフィーチャーしたリミックスが公開されたため。
ダウンロードは前週比160%アップの26000(同指標2位)、ストリーミングは同48%アップの2690万(同指標3位)、ラジオエアプレイは同52%アップの4050万(同指標18位)と、ビヨンセ参加版の加算が「Savage」の上昇に大きく貢献しました。ミーガンにとってはニッキー・ミナージュとタイ・ダラー・サインをフィーチャーした「Hot Girl Summer」(2019)の11位を上回り、自己最高位を更新しています。なお、ビヨンセ参加版はオリジナルバージョンに合算されますが、今週は総合的にはオリジナルバージョンが上回っているためチャート上のクレジットはミーガンのみ。次週はビヨンセもクレジットされるものとみられます。
(なお、以前ブログのコメント欄で、Megan Thee Stallionのカタカナ表記が”ミーガン・ジー・スタリオン”でよいのかというご指摘をいただきました。このブログで新鋭歌手が登場した際には、カタカナ表記化して検索した際の検索数や、音楽評論家やライターの表記を参照にしており、ゆえにブログの途中から表記を変更することがあることをご了承ください。ミーガン・ジー・スタリオンについては音楽ライターで翻訳家の池城美菜子さんの最近のツイートを参考にしています→こちら。)
今週1ランクダウンし6位に入ったドージャ・キャット「Say So」は、5月1日金曜にニッキー・ミナージュを迎えたバージョンが公開されたことで次週のチャートで浮上する可能性があります。「Savage」や「Say So」の新バージョンについて、さらに後述するドレイクについては今週アップしたブログエントリーにて取り上げています。
最新のトップ10をあらためて。
[今週 (前週) 歌手名・曲名]
1位 (初登場) ザ・スコッツ (トラヴィス・スコット & キッド・カディ)「The Scotts」
2位 (1位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」
3位 (2位) ドレイク「Toosie Slide」
4位 (14位) ミーガン・ジー・スタリオン「Savage」
5位 (3位) ロディ・リッチ「The Box」
6位 (5位) ドージャ・キャット「Say So」
7位 (4位) デュア・リパ「Don't Start Now」
8位 (6位) ポスト・マローン「Circles」
9位 (8位) ジャスティン・ビーバー feat. クエイヴォ「Intentions」
10位 (7位) ハリー・スタイルズ「Adore You」
先に紹介したブログエントリーでも触れているように、次週はドレイク「Toosie Slide」が首位を奪還する可能性が高いでしょう。5月1日に突如ミックステープ『Dark Lane Demo Tapes』をリリースしたことで、「Toosie Slide」を含む収録曲が大挙エントリーするものとみられます。なお「Toosie Slide」は今週ラジオエアプレイが前週比16%アップとなる6790万を獲得し同指標10位に入ったことで、ドレイクにとって同指標23曲目のトップ10入りを果たしました。1990年12月以降のラジオエアプレイ指標トップ10入り曲数はマライア・キャリーに並ぶ史上2位タイ(なお首位はリアーナの29曲)。次週はそのドレイク「Toosie Slide」がザ・スコッツ「The Scotts」から首位奪還なるか、注目しましょう。