水曜日は米ビルボード最新チャートからひとつかみ。
米ビルボードソングスチャートを構成する指標のひとつ、ラジオエアプレイのチャート(ラジオソングスチャート)。最新5月19日付にて50位に飛び込んできたのがカントリー界の大御所、キース・アーバンによる「Coming Home」。驚くことにこの曲、ポップス界の若手シンガーソングライター、ジュリア・マイケルズをフィーチャーしているのです。
ジュリア・マイケルズは、全米を制したジャスティン・ビーバー「Sorry」のソングライターであり、今年のグラミー賞で自身の楽曲「Issues」(米11位)が最優秀楽曲賞且つ自身が最優秀新人賞にノミネートされた、要注目のシンガーソングライター(詳しくはBIOGRAPHY - ジュリア・マイケルズ | - UNIVERSAL MUSIC JAPANをご参照ください)。最近のカントリー界が他ジャンルとクロスオーバーしていることは以前から伝えていますが、四半世紀以上音楽業界に籍を置くキース・アーバンが、最新アルバム『Graffiti U』の巻頭曲にジュリアとの共演作を据えたことは面白いですね。しかもソングライティングにもジュリアがクレジットされています。
実は2016年のアルバム『Ripcord』では、あのピットブルがラップを披露しナイル・ロジャースがギターを担当する「Sun Don't Let Me Down」が収録されており、クロスオーバーはいち早く行われていたわけですが。
先月リリースされたアルバム『Graffiti U』から、「Coming Home」同様にリリックビデオが制作された「Parallel Life」はあのエド・シーランが曲を提供しています(複数名での共作ではありますが)。しかもコールドプレイ「Everglow」を用いているというのですから、今作がキース・アーバンにとってジャンルの枠を超えた作品であることが容易に想像出来ます。
その他、ファンのネイト・ルイスがソングライトに参加し、ケイティ・ペリー feat. ミーゴス「Bon Appétit」(2017)をマックス・マーティン等と共に手掛けたオスカー・ホルター作「Way Too Long」(→YouTube)も今風なバラード。アップテンポな「Gemini」(→YouTube)も、それこそケイティが歌いそうな曲で、ともすればカントリーミュージックファンにとっては敬遠されるかもしれません。面白いことに『Graffiti U』から今回取り上げた4曲は全てジュリア・マイケルズが関与していて(いずれもソングライティング。「Coming Home」のみ客演も)、もしかしたら彼女との出会いがキース・アーバンの大きな転機となったのかもしれません。
実は「Coming Home」、5月19日付米ビルボードカントリーソングスチャートでは前週より1ランクダウンし20位と、チャート上では低迷しています。これまで全てのオリジナルアルバムから一曲は同チャートでトップ10入りしているキース・アーバンですが、『Graffiti U』からは「Female」の11位を最高に、「Parallel Line」が25位、「Coming Home」が19位と振るわずじまい。アルバムは前週初登場2位を記録しながら今週は18位と大きく後退しており、仮にジャンルをまたいだ意欲作が好事家から好評であってもリスナーからそっぽ向かれてしまったならば、次作はカントリー色が強くなる(回帰する)のでは?と睨んでいるのですが果たして?