イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャート、アルバムが大ヒットしたポスト・マローンが3曲トップ10入り

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の5月6日月曜に発表された、5月12日付最新チャート。ドレイク「Nice For What」が4週目の首位を達成し、アルバムチャートで今年最大の数値を叩き出したポスト・マローンがトップ10に3曲を送り込みました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

前週はトップ10に初登場が4曲という結果でした。

が、前週のアルバムチャートを制覇した流れで(特にストリーミングが寄与した関係で)アルバム全曲をソングスチャートトップ100内に送り込み、そのうち3曲がトップ10入りしたJ・コールは早くも全てトップ10落ち、3位に初登場したアリアナ・グランデ「No Tears Left To Cry」はなんとか10位に踏みとどまるという結果に。「No Tears Left To Cry」はデジタルダウンロードが前週比74%、ストリーミングが同31%大幅ダウンし、ラジオエアプレイで同37%アップしたもののデジタル2指標を補完することは出来ませんでした。すなわち、デジタル2指標が牽引して初登場で高位置につけたとしても、2週目の反動が強くその位置をキープもしくはさらにランクアップすることは極めて難しいということです。

 

そのような状況において、ドレイクは強すぎます。今週遂に「God's Plan」が"最低位"の3位となりましたが、「Nice For What」は初登場から4週連続の首位をキープ。ストリーミングが前週比9%ダウン(それでも4850万というのは立派な数字)、デジタルダウンロードも同16%下がってはいるもののラジオエアプレイが同22%の大幅アップで同指標11位まで上昇しており、ラジオエアプレイが追いついてきたと言えます。これでドレイクは主演/客演合わせて通算35週目の首位を獲得し、エルトン・ジョンを抜いて男性ソロ歌手では歴代3位となりました(首位はアッシャーの47週、次いでマイケル・ジャクソンの37週)。全歌手においても8位という位置につけていますが、歴代トップのマライア・キャリーは通算79週という、ドレイクの倍以上の週数首位を獲得しています。

 

ドレイクの4週連続のワンツーフィニッシュを阻止したのはポスト・マローン feat. タイ・ダラー・サイン「Psycho」。3月10日付で2位に初登場し、以降も極端に下がることないまま、ポスト・マローンのアルバム『Beeabongs & Bentleys』が今年最高の初動でアルバムチャートを制したことで主にストリーミングが伸び、再浮上した形です。

ストリーミングにおいて、「Psycho」は前週比40%も上昇(同指標2位)、また総合7位に初登場した「Better Now」は同指標4位に初登場し、21サヴェージを招き総合チャートで8週首位を獲得し前週の32位から8位に再浮上した「Rockstar」は同指標で前週比77%も大幅アップに(同指標6位)。3曲同時トップ10を成し遂げたことで、ポスト・マローンは3曲以上をトップ10に同時に送り込んだ18組目の歌手となりました。しかも今週はドレイクも3曲(先述の2曲、およびブロックボーイ・JBに招かれた「Look Alive」(9位))を送り込んでおり、2組の歌手がトップ10内に3曲という異例の記録が誕生しています。

 

さて新たなトップ10入りはもうひとつ。

ヤング・サグとの「Havana」でチャートを制したカミラ・カベロによる「Never Be The Same」が前週の13位から6位にジャンプアップ。彼女にとってはソロとして3曲目のトップ10入りとなりました。長らくトップ20内を彷徨っていた印象のこの曲ですが、大きな決定打となったのは新たなリミックスの登場。

カントリー歌手のケーン・ブラウンとのデュエットバージョンを4月27日金曜にリリース、そのポイントが大きく加算されたことが浮上の要因。デジタルダウンロードでは前週比120%ものアップを果たし同指標で首位を獲得。ラジオエアプレイは同5%上昇、ストリーミングは同19%アップしました(が、同指標では48位と出遅れています)。カントリー歌手によるジャンルのクロスオーバーは以前書いたことがあるのですが、カントリーにおいてはストリーミングよりセールスやラジオエアプレイ強いとされる傾向がソングスチャート/アルバムチャート共にあるため、なるほど今回はいい起爆剤になったなあと。ちなみにケーン・ブラウンはその風貌や制作陣を踏まえてもカントリー界の中で異質と言えそうです。

 

さて来週ですが、5月4日発売のこのアルバムが大ヒットし仮に全曲ランクインすればトップ100の4分の1以上をレイ・シュリマーが占めることになるんですよね。

そして、世界をざわつかせているチャイルディッシュ・ガンビーノの新曲がどうなるか...あくまで個人的には、肝っ玉小さい等揶揄されるのを覚悟で、それでも敢えて書くならば、ゴスペル歌ってきた身にあの演出は無しです。ああいう世界がアメリカの現実なのかもしれませんが、トラウマのようなものだけがこびりついています(ショッキングな映像がある、とのエクスキューズがない状態で観たことが問題かもしれませんが。ただ、絵文字で"18禁"と書いてあるこのツイート、パソコンでも見にくいと感じるのは私だけでしょうか)。銃社会を批判する意図がある模様ですが、ミュージックビデオ(敢えて直接は載せません。下記リンク先から辿ってください)を観た人から口々に"最高!"というリアクションが出ることにとてつもない違和感を覚えるというのが正直なところです。