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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパン2017年上半期ソングスチャートを分析~「恋」の強さ、AKB<坂道、シングルCDセールス比重の低下?

一昨日、ビルボードジャパンの今年上半期のソングスチャートが発表されました。

星野源さんはトップアーティスト部門も制覇しています。下記リンク先にはトップアーティスト、ソングスチャート(HOT 100)、アルバムチャート(HOT ALBUMS)およびアニメソングスチャート(HOT ANIMATION)、以上4つのチャートのトップ10が掲載されています。

 

ソングスチャートに話を戻すと、トップ10は以下の順。

【2017年上半期JAPAN HOT100】

1位:「恋」星野源

2位:「二人セゾン」欅坂46

3位:「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」ピコ太郎

4位:「不協和音」欅坂46

5位:「インフルエンサー乃木坂46

6位:「前前前世RADWIMPS

7位:「サイレントマジョリティー」欅坂46

8位:「TOKYO GIRL」Perfume

9位:「シュートサイン」AKB48

10位:「ダーティ・ワーク」オースティン・マホーン

「恋」は『シングル以外のダウンロード、ストリーミング、ラジオ、Twitter、ルックアップ、動画再生の6指標で首位となっており、2位以下に大差をつけた』(上記双方の記事より)とあるのですが、どのくらい大差なのか、ポイントが掲載されていなかったため調べてみました。

(なお、上半期の計測期間は2016年11月28日~2017年5月28日とあるのですがちょっと分かりにくいかもしれません。11月28日から12月4日までの計測期間は12月12日付チャートとして反映されることから、計測期間を言い換えれば、上半期は2016年12月12日付~2017年6月5日付、となります。各週の総合ポイント数(1~50位に掲載)を集計したものを下記に。なお51位以下は総合ポイント数が未表示のため、50位の数値を参考として記載し、また総合ポイント数の合計には含めていません。 またチャートインしながら100位圏外のものも合算されていません。)

ビルボードジャパン上半期総合ポイント表 

日付 計測最終日 1位:恋 2位:二人 3位:PPAP 4位:不協和音 5位:インフル 9位:シュート
2016/12/12 2016/12/4 28904 37014 8037      
2016/12/19 2016/12/11 27933 7907 7631      
2016/12/26 2016/12/18 28107 5323 7018      
2017/1/2 2016/12/25 35534 4000 6681      
2017/1/9 2017/1/1 34644 4134 7545      
2017/1/16 2017/1/8 21396 4165 6741      
2017/1/23 2017/1/15 18108 3710 4655      
2017/1/30 2017/1/22 13787 4530 4525      
2017/2/6 2017/1/29 13202 3292 4437      
2017/2/13 2017/2/5 11590 2581 2693     100位圏外
2017/2/20 2017/2/12 11367 2009 2874      
2017/2/27 2017/2/19 9049 1969 2278     100位圏外
2017/3/6 2017/2/26 9047 2162 2021   100位圏外 100位圏外
2017/3/13 2017/3/5 7301 1524 1676   2274 70位(1300未満)
2017/3/20 2017/3/12 6432 1498 1920 100位圏外 2042 100位圏外
2017/3/27 2017/3/19 6559 1315 1821 1579 5291 45819
2017/4/3 2017/3/26 6248 1442 1933 2616 39010 3744
2017/4/10 2017/4/2 5687 1623 1564 2948 9401 1872
2017/4/17 2017/4/9 4594 1792 1389 40595 4842 1337
2017/4/24 2017/4/16 3761 1385 1110 12349 3376 56位(876未満)
2017/5/1 2017/4/23 3910 1254 1018 6146 3006 90位(898未満)
2017/5/8 2017/4/30 3864 52位(1105未満) 67位(1105未満) 4948 2458 100位圏外
2017/5/15 2017/5/7 4828 1229 1176 3931 3565 100位圏外
2017/5/22 2017/5/14 3555 66位(1193未満) 69位(1193未満) 3080 1760 100位圏外
2017/5/29 2017/5/21 3287 66位(1209未満) 74位(1209未満) 2319 1802 100位圏外
2017/6/5 2017/5/28 3125 73位(1142未満) 81位(1142未満) 2012 1915 100位圏外
上半期合計   325819

95858

80743 82523 80742 52772

2位の「二人セゾン」、3位の「PPAP」が上半期全週にチャートインしていますが51位以下の週があるため、上半期の総合ポイント数はもう少し上乗せされます。これは9位のAKB48「シュートサイン」におけるCDリリース前等の100位圏外分も同様です。とはいえ、仮に「二人セゾン」の51位以下のポイントを1週あたり1000としても合計は10万弱であり、「恋」の3分の1未満となるわけですから、如何に「恋」が強いかはこの表を見ても明らかでしょう。

 

また、AKBグループと坂道グループにおける差もはっきりしてきたように思います。いずれも今年リリースしたシングルがトップ10入りしていますが、総合ポイント数の推移は3点において驚くほど異なります。それは【CDセールス加算前の動向】【CDセールス週の翌週における前週比】【CDセールス週から何週で100位圏外に達するか】。特に2つ目においては、翌週の総合ポイント数が「不協和音」は前週比30.4%、「インフルエンサー」が24.1%に対し「シュートサイン」は8.2%と大きく異なります。セールスが抜きん出ていても他指標が伸びない限り年間チャート等で上位に至れないという何よりの証拠であり。上記記事での分析を、今回の数値がきちんと物語っています。

 

 

さて、昨年の年間チャートの首位はそのAKB48「翼はいらない」だったのですが、その件について”CDセールスの比重が高過ぎるのでは?”と苦言を呈させていただきました。

上記エントリーの最後に、ビルボードジャパンのポリシー変更についても掲載しました。昨年末のポリシー変更はストリーミングデータの拡充等であり、ソングスチャートにおけるシングルCDセールスの比重には一切触れられていませんでした。ですが今回、毎週のチャートを調べるうちに、比重変更があったのではと考えるように。それは、昨年度末にリリースされたAKB48「ハイテンション」と、今年度上半期9位の「シュートサイン」を比べれば一目瞭然。「ハイテンション」は昨年11月28日付チャートにおいて、151236という驚異的な総合ポイント数を叩き出しているのです。仮に今年度上半期のチャートに照らし合わせるならば2位となるほどの大ヒットといえます。しかし次のシングル「シュートサイン」のCDリリース週の総合ポイント数は45819と大幅に下がっているのです。しかも、2作品のセールスはそこまで大きな差が見られません。ビルボードジャパンが公表しているシングルCD枚数と比較してみると。

・「ハイテンション」

   初週セールス1438469枚総合ポイント数151236

・「シュートサイン」

   初週セールス1292597枚総合ポイント数45819

CDセールスは前作比89.9%に対し総合ポイント数の前作比は30.3%。これは比重においてもポリシーが変更されたと考えるのが自然ではないかと。

既にアナウンスされていて自分が見逃しただけなのかもしれませんが、チャートを構成する指標の比重はアメリカでもその都度、各指標の社会的影響度等を勘案して変更していますので、ビルボードジャパンでもきちんと発表していただきたいと切に願います。