ラジオ局では、地域差こそあれ数ヶ月もしくは1年に一度、聴取中調査が行われます。視聴率のラジオ版といえるこの数字の調査はアナログで行われることから、集計結果の発表は調査のおよそ1ヶ月後となるのですが、局のバロメーターがよく解る調査だと思っています。
首都圏のラジオ局については偶数月に、月曜から日曜までの1週間行われ、4月調査分の結果が先月下旬に発表されました。その内容および詳細な分析が、下記ブログで行われています。
(勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします。)
自分が考えている内容がほとんど網羅されており、目次などを用意し非常に見やすいブログとなっておりますので、是非ご一読ください。
さて、今回の聴取率調査の結果において、気になったのはFM局の勢力図。
2014年以降、FM局1位の座をJ-WAVEに譲ってきたTOKYO FMですが、2015年の終わりからはJ-WAVEを逆転。今回も0.8%で単独3位につけるなど、FM局1位の座をしっかり固めてきた印象です。
リンク先にはJ-WAVEおよびTOKYO FMの局毎の聴取率推移のグラフが掲載されているのですが、2015年8月以降はTOKYO FMが一度も負けていないという結果には正直驚きました。しかも2014年後半から長らく底だった聴取率(0.6%)が、その2015年8月以降は常時0.7%以上となっています。一方でJ-WAVEは2014年8月以降、ほぼ2年間0.7%で変わらず推移しています。
ブログ記事では、その冒頭にて全局合計の聴取率がグラフ化されているのですが、それを見ると2014年の6月以降2015年12月まで不調期と呼ばれる状態が続いていました。そのグラフと先述したFM2局の聴取率推移を重ねるに、ラジオ局全体の聴取率とTOKYO FMの聴取率がリンクしているような気がしています。つまり、全局の聴取率上昇がTOKYO FMリスナー増加に反映されている印象です。他方J-WAVEは不調期でもリスナーが減ることはほとんどなかったものの、今年に入ってからも聴取率が上乗せされておらず、その現状に危惧感を抱いてしまうのです。ともすれば新規(または再度聴くようになった)リスナーにとってJ-WAVEが敷居が高いのかもしれませんが、とはいえ上乗せ分が流入しないのはちょっと問題ではないかと。
ブログ記事では、好調を維持するTOKYO FMに対して『ニッポン放送のように、知名度をあてにしたパーソナリティの選定をしたりすることなく、優れた企画とそれに合ったパーソナリティをブックすることにより、面白い番組作りを続けていけば、まだまだ聴取率も伸びるのでは』(上記記事より)と推測しています。たしかにTOKYO FMはFMの中でもAM寄りというイメージもあり、"知名度をあてにしたパーソナリティ"を選ぶ傾向にあるとは思うのですが、個人的には今、J-WAVEこそそういうDJ選定をしているのではないかと実感しています。そしてそれが良い結果をもたらしていないのではと思うのです。
後者は今年4月開始の番組での大きなミスを聴いたことをきっかけに記載し、『最早局側は音楽への愛情や技術をナヴィゲーターに求めていないのかと思わざるを得』ないと結論付けましたが、もしかしたら自分と同様の見方を抱き失望した人が離れ(そして新規リスナーと入れ替わっ)た結果が、J-WAVEが聴取率の上乗せに至れない、そしてTOKYO FMに離されつつある現状に反映されている...と思うのは考え過ぎでしょうか。4月開始番組のみならず以前からJ-WAVEがラジオ専用DJ(ラジオで知名度を上げ他メディアに出演するようになった方を含む)の起用を減らし、タレントやモデル等を積極的に登用するようになった結果、聴取率が上昇しないのではないかと。無論他にも、たとえば選曲センス等様々な理由があるとは思いますが、少なくとも自分には、聴取後の後味が落ちているように思うのです。 J-WAVE側が、起用したのがタレント等であれども彼らに技術力を求めそれを身につけることの大事さを説いたなら(そして起用された側もその思いに応えて技術力を磨くなら)、事情は変わっていたかもしれません。しかし起用されたDJ陣をみるに、J-WAVEには"知名度をあてにしたパーソナリティの選定"と、その結果としての聴取率の上昇が狙いにあったように思うのですが、この2年ほどの聴取率の推移をみるに、局の狙いは誤りだった気がしてなりません。仮に今月行われる聴取率調査の結果、数値が下がることがあるならば、J-WAVEには技術力や音楽愛に長けたDJの起用とそれに伴うタイムテーブルの変更、つまりは局自体の意識改革を強く求めたいところです。
今月の聴取率調査週間は6月13日~19日。結果は7月下旬に出るでしょう。その結果に注目したいと思います。